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レーヴァティン

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第九十八話 五都市連合その十一

「ここはね」
「優れた人材を抜擢していくか」
「そして用いる」
「それがいいな」
「ええ、じゃあね」
「半島での戦が一段落ついたらな」
「それまでは私達だけで何とかなりそうだし」
 それでというのだ。
「半島を統一して落ち着いてね」
「それからか」
「人材を本格的に増やしていきましょう」
「そうだな、ただある程度でもな」
 久志は清音の提案に頷きつつ述べた。
「今からな」
「人材登用を進めるのね」
「ローマの源三に伝えてな」
 留守を預ける彼にというのだ。
「そうしてな」
「人材をね」
「集めさせるか」
「そうね、優れた人材ならね」
「どんどん登用していこうな」
 それこそとだ、こう言ってだった。
 久志は実際にだった、文を書いてローマの源三に届けさせた。そうしたことをしてさらにであった。
 トリノとこの街に組する諸都市が率いる一万五千の軍勢が入った要塞の前に来た、そうしてだった。
 その高所に聳え立つ要塞を見上げてだった、久志は仲間達に言った。
「大砲を使うにもな」
「それもだね」
「ああ、肝心の大砲を置く場所がな」
「ないね」
「あの要塞の周りにな」
 高所の頂点にある、言うならば山城である。
「だから無理だな」
「そうだね、これまでみたいにはいかないね」
「そうだな、ここはな」
 久志は考えつつ述べた。
「空船に大砲を積んでな」
「砲撃だね」
「そうしようかって思ったけれどな」
「ああ、まだ空船はね」
「大砲を何門も積んで砲撃するにはな」
「そこまで大きくないから」
「だよな、そこはこれからだな」
 空船の大きさもというのだ。
「本当に」
「今すぐは無理だよ」
「そうだな、じゃあな」
「ここはどうするかだね」
「ああ、大砲は使えないか」
「多分術についてもね」
 双葉が久志に言ってきた。
「そちらもね」
「備えをしてあるか」
「これまでの街と同じでね」
「術を戦でおおっぴらに使うからな」
「魔法障壁はね」
 術を防ぐそれはというのだ。
「この世界だとそれなりの街や要塞だと必須よ」
「そうだよな、じゃあな」
「術で攻めることもね」
「出来ないか」
「ちょっとやそっとの術だとね」
「そうか、じゃあどうして攻めるか」
 久志はあらためて考えた、そうして要塞を包囲したうえで軍議に入るとここで淳二が久志に言った。
「この辺り木が少ないね」
「岩山が多いな」
「そうだよね」
「ちょっと燃料の確保が心配だな」
「しかも土が硬いね」
 淳二はこのことも指摘した。
「どうにも」
「土もか」
「そう思ったよ」
「岩山だからな」
「そうだね、この辺りは」
「今井戸を掘ってるけれど」
 剛も言ってきた。 
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