レーヴァティン
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第九十八話 五都市連合その十
トリノそしてトリノについている諸都市の軍隊の情報を聞いた、彼等は一万五千程で。
「装備はそんな感じか」
「うん、三メートル位の槍ばかりでね」
淳二が久志に話した、事前に彼が放った密偵からの方を述べているのだ。
「鉄砲もあまりなくて」
「騎兵隊も少ないか」
「何か市民やお百姓さんを兵隊に仕立てた感じだよ」
「トリノって傭兵いないのかよ」
「何か今傭兵隊長と揉めてるらしいんだ」
「契約のことでか」
「それで傭兵を使えないらしくてね」
それでというのだ。
「軍もね」
「そんな感じか」
「そう、傭兵じゃなくてね」
「市民や農民の軍隊か」
「徴用したみたいだよ」
「じゃあ碌に訓練出来ていない兵士だな」
そこまで聞いてだ、久志はすぐに言った。
「そうだな」
「うん、ただね」
「それでもか」
「問題は指揮官だよ」
「それによるな」
「数は我が軍が圧倒してるよ」
淳二は久志にこのことも話した。
「けれどね」
「それだけじゃないからな、戦ってのは」
「それはもうわかるよね」
「わかる様になったさ」
久志は淳二に明るく笑って答えた。
「実際に戦ってみてな」
「そうだね、何か動きが速いよ」
「速いか」
「落伍者も出さないでね」
「訓練していない兵隊ばかりでもか」
市民や農民を徴用しては訓練も何もない、久志はこのこともわかっている。
「それでもか」
「うん、訓練をしているみたいにね」
「進軍は速いか」
「それでおいら達が進む先にある要塞に向かってるから」
「トリノが持ってる要塞か」
「そこに入るつもりみたいだよ」
「数が少なくて装備は弱い、しかも訓練していない兵隊ばかりだとな」
どうかとだ、久志は述べた。
「まともな戦力にならないからか」
「会戦よりも要塞に入ってね」
そしてというのだ。
「戦うつもりみたいだよ」
「そうか、出来た指揮官みたいだな」
「そうだね」
「そういえばな」
ここで久志はこうも言った。
「俺達だけだとな」
「十三人だけだとね」
「政治家も将軍もな」
「少ないね」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「下級や中級の役人、佐官位までの士官は揃ってる」
「後はね」
「高級官僚や将軍だな」
「そうした人達をね」
「こっちの世界の人から雇うか」
「それがいいわね」
「治めて戦う仕組みは整えた」
十三人で知恵を出し合った結果だ。
「それならな」
「後はね」
「ああ、人だな」
「仕組みは器でね」
「人は水だよな」
「そのどちらもないとね」
それこそというのだ。
「動きはしないわ」
「器の水を使わないとな」
「そう、だからね」
それでとだ、清音は久志にさらに話した。
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