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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第七十三話 張遼、董卓を探すのことその九

「わかったわよ」
「これでいい」
「まあこれ以上の民の負担は避けられて何よりやで」
 張遼もほっとして話す。
「それどころかそれが軽減されたわ」
「そうね。恋の機転のお陰ね」
 董白は張遼と同じ顔になっている。
「本当に何よりだわ」
「そういうことね。それじゃあね」
 こんな話をしてだ。話は終わったのだった。
 その話の後で宮中を退出する時にだった。呂布はだ。
 傍らにいる陳宮にこう話した。
「この状況だと」
「まずいのです」
「そう、まずい」
 実際にだ。そうだというのだ。
「詠可哀想」
「詠殿は明らかに何かを御存知なのです」
「けれど言えない」
 それがだ。できないというのだ。
「そう。だから可哀想」
「どうすればいいのです」
「まずは月を見つけ出す」
 それが先決だというのだ。
「さもないとこの状況は変わらない」
「変わらないどころかこのままだとなのです」
「叛乱が起こる」
 呂布はその危険を指摘した。彼女もだった。
「各州の牧達が怒る」
「そちらにも無茶を言い過ぎなのです」
「この流れはむしろ」
「むしろ?」
「叛乱を起こさせようとしている」
 そうした流れだというのだ。
「とんでもないことになっている」
「それはその通りなのです」
 陳宮も頷くことだった。
「これでは恐ろしいことになるのです」
「そう。若し月の後ろにいる奴がそれをしようとしていたら」
 国にだ。叛乱を起こさせようとしているというのならというのだ。
「そいつは許さない」
「はい、絶対になのです」
「恋、そいつを絶対に許さない」
 強い目になってだ。こう言うのだった。
「何があっても許さない」
「恋殿、怒ってるのです」
「恋怒ってる」
 その通りだとだ。呂布は陳宮に話した。
「そいつ見つけ出したい」
「けれど。月様は何処におられるのか」
「生きている」
 呂布はまた言った。
「それは間違いない」
「そうなのです」
「ただ」
「ただ?」
「何処にいるかはわからない」
 それはだというのだ。
「都の何処かにいるにしても」
「それが困るのです」
「とりあえず今は」
「今は?」
「犬や猫達の世話する」
 それをするというのだ。
「そうして心を癒す」
「確かに。犬や猫達の世話をするとです」
 陳宮もそれを話す。
「心が落ち着くのです」
「だからする」
 また言う呂布だった。
「心が荒んだままじゃよくない」
「わかったのです。それとなのです」
「それと?」
「何か食べるのです」
 呂布に顔を向けてだ。こう話すのだった。
「今ねねお菓子持ってるのです」
「お菓子」
「そうなのです。お饅頭があるのです」
 あるのはそれだというのだ。
「それを一緒に食べるのです」
「皆で食べる」
「皆でなのです?」
「キム達も呼ぶ」
 彼等も呼ぶというのだ。
「皆で食べるともっと美味しくなるから」
「恋殿がいつも仰っている様にですね」
「そう。その通り」
 だからだというのだ。
「皆も呼ぶ。そうしよう」
「わかりましたのです。ねねもです」
 陳宮は満面の笑顔で呂布に対して話した。
「恋殿と、皆と食べるのが大好きなのです」
「恋と?」
「はいなのです」
 とりわけだ。彼女と共にいるとだというのだ。
「食べるものが凄く美味しくなるのです」
「そう。それならいい」
 呂布は微笑んでだ。陳宮のその言葉を受けた。そうしてだ。
 あらためてだ。その彼女に言った。
「恋も嬉しい」
「嬉しいのです?」
「恋、ねね大事」
 彼女はだ。呂布にとってはかけがえのない存在になっているというのだ。
「そのねねと一緒にいられるから」
「ねねもです」
 それは陳宮もなのだった。
「恋殿の為なら全てを賭けます」
「全てを?」
「ねねの全てをなのです」
 こう言うのである。目を輝かせてだ。
「賭けていくのです」
「有り難う。ただ」
「ただ?」
「命は大事にする」
 呂布が今話すのはそのことだった。
「それだけは守る」
「命は」
「ねねに何かあったら恋悲しい」
 だからだというのである。
「だから。命は大事にする」
「恋殿を悲しませない為に」
「そう。それは守って欲しい」
「わかったのです」
 陳宮は呂布のその言葉に頷いた。そうしてであった。
 あらためてだ。二人はだった。皆を呼び饅頭を食べるのだった。それは一人で食べるよりもだ。遥かに美味いものであった。


第七十三話   完


                      2011・4・7
 
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