徒然草

九十八．尊きひじりの

九十八．尊きひじりの
　一言芳談というかつての高僧の方の名言集を手に入れました。そしてその中でいたく素晴らしい言葉が多かったのでそのうちの幾つかをこちらで紹介させてもらいます。
　一つ。やろうか止めようかと迷っていることは多くの場合やらない方がいいものです。
　一つ。死んだ後で幸せになろうと思っている人は何一つとして持つ必要はありません。経本や御本尊についても高級品を使うことは悪いことであります。
　一つ。世を捨てて一人で暮らすような人は何もない状況や状態においても生き残ることができなくてはなりません。
　一つ。皇子のような方は物乞いに、知識人は白痴の如きに、お金持ちは清貧に、天才は馬鹿になりきる、そうあるべきであります。
　一つ。仏の道を追い求めていくということは大したことではありません。ただ単に暇人になりそのうえで放心していればそれでよいのです。
　他にもよい言葉がかなりありましたが忘れてしまいました。こうして挙げてみてもそこにある言葉はどれも考えさせられる深いものがあります。ここまで思えるということもまた中々ありません。どれを取ってもそこには深い叡智があります。その叡智をどう思うかといったこともかなり大事なことであります。だからこそここに挙げてみました。どれが最もよいと断言もできません。どれも素晴らしいものであります。その素晴らしい言葉を常に心に留めてそのうえで考えていきたいものであります。そうすればそこから何かを学ぶことができます。世捨て人になろうとも死後のことを考えようとも仏門にて道を考えていくにも何をするにあたっても座右の銘とするべきではないでしょうか。


尊きひじりの　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　２００９・８・２０