徒然草
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97部分:九十七.その物に付きて
九十七.その物に付きて
九十七.その物に付きて
そのものに寄生してその養分を貪ったうえで最後には食い尽くしてしまうような代物はそれこそ佃煮にして食べてしまう程あります。身体には虱が湧きますし家には鼠が大勢います。国には謀反人がいますし庶民には財産があります。権力の座にある人には義理がありますし僧侶には仏法があります。どれもそのものに付いて離れずその養分を取ってそのうえで超え太っていき最後にはその主を死なせてしまうものです。
こうしたものもまた非常に多いものです。困ったことでありますしどうにかしなけれななりませんがこれをどうにかするのも常に気をつけていないとならないものです。義理や仏法は確かに必要なものでありますがそれをあまりよくない方向に向けますとそれは寄生するものになってしまいます。いいものもそうしてよからぬ方向に向かってしまいかねません。何が寄生するものになってしまうかといいますとそれははっきりとわかるものもあればそうではないものもあります。その辺りも考えてしっかりしていかないと何時の間にかそれに取り憑かれてしまって大変なことになってしまいます。中々難しいことでありますが意識して注意していかないといけません。それにしても本当に付いてそのうえで宿主を死なせてしまう代物は世の中に非常に多いものです。国に付く謀反人はまさに虱のようなものでありまして見つけたら常に潰していかなければその国を死なせてしまうものです。虱だけではありませんし謀反人だけではありません。不心得でいると自分もそうなってしまうということもまた頭の中に留めておきたいものであります。
その物に付きて 完
2009・8・19
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