ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第62話:Funeral
ドップラー軍の猛攻によっていくつかの都市はその機能を失っていた。
しかし突如モニターが映像を映したことで人々はそれに注目する。
『エックス、ゼロよ。我々のパーティーへ招待したい。恐らくこれが最後のパーティーだろう。何故ならこのパーティーが君らの“葬式”なのだから!座標データを今から表示しよう。待っているぞ…デス・ドッペルタウンでな!!』
そして数時間後に表示された座標の元に向かったエックス達が見たのはとても禍々しい街並みと、壊滅した防衛軍の姿だった。
「防衛軍も全勢力を投入したようだが…」
「壊滅で生き残りはいない…か…どうして俺達が来るまで待てなかったんだ…!!」
あまりの惨状に思わずエックスは呻く。
「嘆いている暇はないぞエックス。早く奴らの元に行くぞ」
「ああ」
デス・ドッペルタウンに突入し、パーティー会場へ向かうエックスとゼロ。
案内板と壁に矢印の標識があり、エックス達は迷うことなく会場に辿り着いた。
「ここがパーティー会場か」
「入ろう」
扉を開けると視界に赤一色の壁と文字のレリーフが入った。
「D・E・A・T・H」
「“死”…か…赤一色の壁にチープなレリーフ…人を招待する部屋ではないな」
「くそ!!馬鹿にして…っ!!」
レリーフを殴り付けるエックスだが、レリーフはワームだったようだ。
「レリーフは“ワーム”だったのか!?くそっ!!」
飛び付いてきたワームを振り払うと、ゼロはバスターで破壊する。
「ぞろぞろと!!粉々にしてやる!!」
エックスもバスターでワームを砕き始めたが、背後に集まったワームが人型の形となると、ビームサーベルをエックスの首に向ける。
「これで一回死んだなエックス…あっさりとパーティーを終わらせないでもらいたいな」
「ヴァジュリーラ!?この化け物め!!」
ゼロの背後にいたワームも形を作り、ゼロの背後に立つと振り返ったゼロを殴り飛ばす。
「ぐわっ!!」
「よくも私の分のワームを砕いてくれたな。おかげでまだ本調子にならんわ」
起き上がったゼロが見たのはワームを砕かれて体の構成が不充分になり、頭からワームを蠢かせているマンダレーラBBの姿であった。
「う…ぐ…う…うああああっ!!!」
あまりの不気味さにゼロは思わず後退するが、正気を失って殴りかかる。
人はあまりの恐ろしさに我を忘れて行動してしまうこともあるが、このゼロの攻撃もそうなのだろう。
しかしそんな大振りの一撃がマンダレーラBBに当たるはずもなく、弾かれて手刀を叩き込まれて床に叩き付けられる。
「フッ、自分の技を見失ったか」
「ゼロ!!」
「敵に背を向けて走り出すとは…愚かなり!!」
盾から放たれたエネルギー弾がリング状になってエックスの足を拘束して転倒させる。
「ぐっ…」
「いけないな、目先の感情に流されていては」
エックスの首の近くにサーベルを突き刺すヴァジュリーラFFにエックスは何とか足の拘束を解いてヴァジュリーラFFにショットを放った。
「その余裕を撃ち砕いてやる!!」
「その意気でやってこい!!」
至近距離からのショットをかわすと、エックスから距離を取るヴァジュリーラFF。
「一度は退いた癖に!!」
即座にチャージしてヴァジュリーラFFにチャージショットを放つ。
「確かにその執念とも言える“力”の前に一度は退いた。しかしそれは確実な勝利の為である。その為に我々は強化された!!我々に二度目の撤退はない!!」
「馬鹿な…!?」
チャージショットが素手で叩き落とされたことにエックスは驚愕する。
レプリカとは言え強化アーマーで強化されたチャージショットが全く通用しない。
「落ち着けエックス!バスターが効かない敵だって倒してきたんだ!!無敵な存在などいない!!」
「小っ…賢しい!!」
ゼロに拳を振り下ろすマンダレーラBB。
「いいかエックス!!防御力を上げたならそれ相応に装甲も厚くなっているはず!!つまりスピードが以前より落ちて、そこに隙が生まれる!!」
ゼロの言葉通り、装甲が以前より厚くなっているために以前より機動力が損なっている。
攻撃をかわすとゼロはバスターを構えてマンダレーラBBにショットを連射して直撃させる。
「ぬうっ、小っ癪な~!!」
「はあっ!!」
エックスにサーベルを振り下ろそうとするヴァジュリーラFFだが、エックスは冷静にそれを回避すると背後を取る。
「(落ち着いて奴の動きを見れば確かにかわせる。どれだけ攻撃力が上がろうが、当たらなければどんな弱い攻撃にも劣る!!)俺達は絶対に負けられない!!」
チャージショットでは回避されてしまうために通常のショットを連射する。
ヴァジュリーラFFはサーベルでそれらを弾いていくが、弾き切れずに直撃を受ける。
「くっ!!…ふむ…面白い…そうでなくてはなぁ!!」
再び拘束弾を発射してエックスの動きを封じると、そのままエックスにサーベルによる斬擊を見舞う。
「ぐあっ!!」
「しかし、どれだけ戦い方を変えても実力差は簡単には埋まらない!!」
そしてマンダレーラBBに連続で攻撃していたゼロだが、肩から球体のような物が射出される。
「ふん、お手玉か……なっ?」
突如体がマンダレーラBBへと引き寄せられるゼロ。
「相手に追い付けないなら引き寄せるまで」
「成る程、そいつは磁力弾か!!ならば!!」
磁力弾をショットで破壊するが、既に手遅れであった。
「もう間合いに入っておるわ!!!」
顔面にマンダレーラBBの拳が突き刺さり、ゼロは吹き飛ばされ、エックスもヴァジュリーラFFに吹き飛ばされてしまう。
おまけにエックスはセカンドアーマーが大破してしまい、攻撃力と防御力が大幅に低下した。
「くっ…アーマー…が…」
「御託は完璧な程、虚しいものだな」
倒れるエックスとゼロはボロボロだが、まだ切り札が残っていた。
「ゼロ…あれを…」
「ああ…あれで…決める…か…」
ふらつきながらも立ち上がり、エックスとゼロは全エネルギーを解放する。
「何をするんだ?うん?」
「何なのかは…」
「今見せてやる!!」
全てのエネルギーを込めたチャージショットとアースクラッシュを同時に繰り出し、アースクラッシュのエネルギーがチャージショットに吸収されて強大な一撃となってヴァジュリーラFFとマンダレーラBBに迫る。
「な…に?」
そしてその一撃は見事に直撃し、背後の壁を跡形もなく粉砕した。
「あいつらの敗因は慢心だったな…」
「うん…俺達を何時でも倒せると言う油断だったんだ…あいつらの言う通り、実力には差があったんだ…しかし…」
「成る程な…それは勉強になる…」
爆煙が晴れるとシグマを倒した一撃であったにも関わらずにダメージを受けていないヴァジュリーラFFとマンダレーラBBの姿があった。
「なっ!?」
「あの攻撃で無傷だと!?」
「貴様らのレベルでドップラー様の科学を考えたな!!愚かな奴らだ!!」
先程の一撃で全てのエネルギーを出し切ったエックスとゼロはもう満足な反撃も出来なかった。
エックスは全身を斬り刻まれ、ゼロは全身を滅多打ちにされた。
そしてふらついたところをエックスはサーベルで肩口から斬りこまれた傷が背中まで達して大出血。
ゼロもまた、マンダレーラによって胸部装甲を砕かれ、肋骨のような内部フレームが露出するほどのダメージを負う。
最早気力だけではどうにもならないダメージにエックスとゼロは力なく倒れ、ヴァジュリーラFFとマンダレーラBBに捕縛され、そしてエックスとゼロを磔にすると、この光景の映像を人類に見せつける。
「人類諸君よ!これよりパーティーの第二幕の中継を始めよう。まずオードブルは君達の英雄の今の姿からだ。中々いい格好だろう?それではお待ちかねの第二幕の宣伝をしよう。第二幕はこの英雄達の公開処刑を演目とする!開演は12時間後の午前6時!場所はDポイントのデス・ドッペルタウン!!皆さんのお越しをお待ちしている!!」
それだけ言うとヴァジュリーラFFは映像を切り、世界が絶望に満たされていく中、ある場所で奇跡が起きようとしていた。
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