許されない罪、救われる心
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
75部分:第七話 地獄のはじまりその二
第七話 地獄のはじまりその二
「ちゃんと来るから」
「そう。来るの」
「何か文月は元気がなかったけれど」
霜月は如月にこのことも話してきた。
「どうもね」
「元気ないの」
「けれど何とか引っ張ってきたから」
そうしたと。霜月は言った。
「部活で気分転換しないとね」
「そうよね。さもないと我慢できないわ」
「とにかく今は我慢するしかないのね」
霜月は如月に言われたことをそのまま彼女に返した。
「それしかないのね」
「そう思う。皆そのうち忘れるし」
「そうよね。人の噂も七十五日っていうわよね」
「だからね」
二人はこの言葉に希望を見出していた。何時かこんな冷たい視線を浴びせられるのは終わると。まだ楽観することができたのである。
「今は辛抱しよう」
「七十五日。長いわね」
「けれど何時か終わるから」
やはりまだ希望を持っていた如月だった。
「だから今はね」
「わかったわ」
霜月は少し気を取り直した顔になって応えた。
「それじゃあ今は我慢するわ」
「そうして。とにかくね」
「ええ、それじゃあ」
こんな話をした朝だった。すぐに長月と文月も来て部活の朝練に参加した。神無もいたが彼女はあえて無視した。そのうえでクラスに入ると。
やはり冷たかった。誰もが目を背ける。顔もだ。そしてその中にはだ。弥生と葉月もいた。とりわけ弥生は神無の傍にいてだ。彼女から離れようとしない。
四人は仕方なくクラスの端に位置した。しかしである。
クラスに岩清水が入って来てだ。そのうえでこう言い出したのである。
「ねえ皆」
「んっ?」
「どうしたの?」
「これ見て」
こう言ってだ。皆に見せたものはだ。
あの裏サイトだった。携帯を通して皆に見せているのである。
「これってどう思う?」
「答えは一つしかないわよね」
「そうよね」
皆ここでだ。四人を嫌悪に満ちた目で見るのであった。
「やっぱりあの連中だったのね」
「この話は」
「怪しいと思っていたけれど」
「そうだったんだ」
「またこの連中が」
「本当に最低ね」
その敵意と憎悪に満ちた視線にだ。四人は俯くしかできなかった。そうしてであった。岩清水はここでまた言ってみせたのであった。
「まあ犯人はわかたったしね」
「そうね」
「それはだよね」
皆彼のその言葉に頷いた。
「何となくわかっていたけれど」
「真犯人よね」
「ふざけやがって」
「このことはすぐに対処できるよ」
岩清水は素っ気無く皆に告げた。
「まずこの裏サイトは閉鎖してもらって」
「サイトを提供しているその会社に通報してだよね」
「それですぐだったわね」
「確か」
「うん、そうしよう」
ここでだ。岩清水は自分の携帯をこっそりと動かした。そうしてそのうえで従兄に今観ているその裏サイトの魚拓を取ってくれるようメールをした。だがこのことは誰にも言わなかった。
ページ上へ戻る