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許されない罪、救われる心

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76部分:第七話 地獄のはじまりその三


第七話 地獄のはじまりその三

 そのうえでだ。善人の仮面を被って話すのであった。
「僕がすぐに通報するからね」
「この連中がやったっていうのもよね」
「それもよね」
「勿論だよ」
 それはもう当然だというのだった。
「二度とこんなことが起きないようにね」
「よし、それじゃあ」
「すぐに」
「そうしよう」
「それでね」
 ここでさらに話すのだった。
「もう四人はサイトを立ち上げることはできないから」
「ネットでの工作はできないのね」
「これで」
「それでだけれど」
 岩清水は徹底していた。何処までもだ。
「2ちゃんねるとかにも掲示板があるじゃない」
「そっちはどうするの?」
「あっちは大きいから普通に通報しても駄目なんじゃ」
「うん、そうなんだ」
 皆にこのことも話した。
「ただ。やり方はあるから」
「どうやって?」
「それって」
「どうするの?」
「まずいじめだったことをはっきりと書いておく」
 そうするというのである。
「それでスレの削除を願い出るから」
「ああ、荒らしを理由にしてね」
「それでなの」
「僕に任せて」
 岩清水はまた皆に自ら名乗り出た。
「それでいいかな」
「何か岩清水頑張るよな」
「そうね」
 彼のそうした続けての申し出にだ。皆いい感情を持った。
「じゃあ俺達もな」
「しっかりとしないとね」
「いじめは正さないと」
「絶対に」
「だからだよ。いじめは絶対に許しちゃいけない」
 皆が自分に視線を集中させているのを見てだ。わざと四人を見た。すると皆の目は自然と四人に向かう。岩清水への賞賛の目はそのまま四人にたいする嫌悪と侮蔑、そして憎悪と糾弾のものになっていた。
「そういうことだからね」
「だよね。絶対に許さないからな」
「今度何かしたらもうね」
「この学校にいられなくしてやる」 
 言葉は本気だった。最早クラスメイト達は誰もが敵になっていた。
「ネットでのいじめはもうできないんだ」
「ブログだって通報したらいいよな」
「もう何もかも」
「うん、当然そうするよ」
 岩清水は善人の仮面を着けたまま皆の言葉にまた頷く。
「いじめは許せないから」
「ああ、いじめは許さないからな」
「御前等、これで済むと思うなよ」
「もう何があってもね」
「許さない」
 クラスメイト達と四人の絆なぞもうなくなっていた。あるのは糾弾だけであった。そうしてである。岩清水が仕掛けたのはネットだけではなかった。
 次の日の朝にはだ。何と校門のところに朝早くからいた。そうしてだった。
「何だ、ありゃ」
「一年の転校生?」
「そうだよな」
「何をするのかしら」
 皆登校しながら彼を見ていぶかしんでいた。するとだ。
 彼は校門の前で拡声器を取り出してだ。やにわに叫ぶのだった。
「僕のクラスでいじめがありました!」
「何っ!?」
「いじめ!?」
「そんなことがあったの!?」
「それはかなり悪質ないじめだったそうです」
 こう話すのだった。
 
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