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許されない罪、救われる心

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7部分:第一話 辛い気持ちその七


第一話 辛い気持ちその七

「嫌な奴だよ」
「そういう奴が私のクラスに来るなんて」
 如月はかなり嫌な顔になっていた。
「何でなのよ」
「そういう娘は相手にしないの」
 ここで母が彼女に言ってきた。
「いいわね」
「相手にしないのね」
「だってお互い嫌な気持ちになるじゃない」
 だからだというのである。
「そうでしょ。だったら相手にしない方がいいわよ」
「そうなの」
「そう、それよ」
 また話すのだった。
「わかったわね」
「そうね」
 如月は母のその言葉に頷いた。
「そうした方がいいわね」
「あんたは人と喧嘩したりいじめたりする娘じゃないし」
 少なくともこの時点ではそうだった。誰もがそう思っていた。
「だからね」
「それじゃあ」
 ここまで話してであった。そのうえでこれからのことを決めるのだった。そしてその次の日は。今度は弥生や葉月と話をしたのだった。
「どう思う?」
「どう思うって?」
「あの転校生よ」
 今度は長月達以外のクラスの女子に囲まれて穏やかに笑っている神無を忌々しげに見てそのうえで弥生に対して言っていた。
「何か嫌な奴じゃない?」
「そう?」
 弥生は目を二回程しばたかせてから如月のその言葉に応えた。
「私は別に」
「そう思わないの?」
「まだ転校してきて二日目でしかも話もしていないし」
 だからだというのだった。
「わからないわよ」
「そうなの」
「実際に話さないとわからないわよ」
 弥生はまた言った。
「どういう娘かね」
「そうだね」
 弥生の言葉に葉月も賛成してきた。
「俺もあの娘とはまだ話もしてないしね」
「わからないわよね」
「そうそう」
「何でわからないのよ」
 しかし如月はむっとした顔で二人に返す。
「そんなことが」
「そんなことって言うけれど」
 弥生はそんな彼女に釈然としない顔で言葉を返す。
「私あの娘とまだ何も話してないし」
「だからわからないっていうの?」
「そうよ。それでわかる筈ないじゃない」
 こう落ち着いた言葉で答えるのだった。
「それじゃあね」
「そうだよ、今の城崎さんおかしいよ」
「そうよ、いつもの如月じゃないわ」
「いつもじゃないって」
 そう言われてもだった。如月にはわからない。それできょとんとさえなっていた。
「私が?」
「ええ、だからおかしいわよ」
「どうしたの?」
「私は別におかしくないわよ」
 自覚のないことなのでこう答えるのだった。
「そんなの」
「本当に?」
「そう言えるの?」
「ええ、そうよ」
 きょとんとした顔でまた答えた。
 
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