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許されない罪、救われる心

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59部分:第六話 暴かれた時その三


第六話 暴かれた時その三

「それじゃあ」
「それじゃあって?」
「また考えたのね」
「そうよ、今度はね」
 また言う彼女だった。
「鞄が駄目なら中身よ」
「中身ね」
「そっちなのね」
「そうよ、中身よ」
 そこだというのだった。
「鞄が駄目なら中身よ。やってやるわよ」
「よし、じゃああいつの鞄取ってな」
 長月がそのやり方を提案した。
「それでやってやるか」
「ううん、もっといい方法があるわよ」
 しかしだった。如月はここでこんなことを言うのだった。
「それがね」
「もっといい方法がかよ」 
 長月はそれを言われて少しきょとんとした顔になった。
「それってどんなのなんだよ」
「うん、まずはあいつ捕まえてね」
 如月は悪意に満ちた笑みで話したのだった。そして四人はすぐに如月が話したそのことを実行に移したのであった。それは確かに早かった。
 学校から帰るその時にだ。神無を捕まえてだ。またゴミ捨て場のところに連れ込んだ。その間ずっと髪を引っ張ったり服の中に土を入れたりした。
 そしてゴミ捨て場に着くとだ。まずは如月が彼女の鞄をひったくった。
「あっ・・・・・・」
「この鞄には何もしないわよ」
 如月は一応はこう言った。だが地面に叩き付けその上から踏み躙ることは忘れなかった。今の彼女にそれは何でもないことだったのだ。
 そしてだ。鞄を踏み躙りながらまた言うのだった。
「中身よ」
「それじゃあ中出そう」
「そうしよう」
 文月と霜月が話す。そしてだった。
 鞄のチャックを開いて逆さにして中身を出した。教科書や筆箱やノートがだ。どさどさと地面に落とされていく。
 そしてだった。長月が教科書の一冊を出してだった。それを焼却炉の中に放り込んでしまった。
「こうするんだよな」
「そうよ」
 如月は邪な、悪鬼を思わせる笑みで長月の言葉に応えた。
「そうして」
「それじゃあね」
「どんどん入れましょう」
「そうよ。ほら、どうよ」
 教科書を焼却炉の中に入れられて呆然となる神無に手に取ったゴミをぶつけながらだ。如月は彼女に対して問うのであった。
「自分のものを焼かれる気持ちは」
「火点けるぜ」
 長月が実際にマッチを焼却炉の中に入れようとする。しかしそれは如月が名乗り出たのだった。
「待って、私がするわ」
「ああ、如月がかよ」
「こいつ本当にむかつくのよ」
 言いながらだった。自分でマッチを摺ってそれを焼却炉の中に入れた。火は忽ちのうちに燃え上がりだ。教科書を焼いてしまった。
 そこにさらに他の教科書やノートが放り込まれていく。神無の前でそういったものがだ。次々と燃やされていくのだった。
 神無はその光景を唖然としながら見ている。しかしそれだけではなかった。
「これで終わりじゃないわよ」
「はい、これ」
「今度はこれね」
 文月と霜月がスプレーを出してきた。缶のスプレーである。
「今日はこれで最後にしてあげるわよ」
「感謝しなさい」
「それじゃあね」
 また言う四人だった。そしてだ。
 四人で神無の頭にスプレーをかけた。それで赤く染める。それから顔にマジックで赤や黒で落書きしていく。最後にその頭を如月が横から蹴った。
 蹴られてそれで吹き飛び頭からゴミ捨て場に突っ込む。神無はそれで動かなくなった。
「いい気味だよな」
「そうね」
 如月はそんな神無を見ながら長月の言葉に頷いた。
 
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