許されない罪、救われる心
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60部分:第六話 暴かれた時その四
第六話 暴かれた時その四
「よかったじゃない。お友達に守ってもらってね」
「だよな。そのままずっとそこにいろよ」
「もう学校に来なくていいから」
「っていうか辞めたら?」
文月と霜月も馬鹿にした顔で言った。
「じゃあ帰ろう」
「今日はこれでね」
何はともあれこれで帰った四人だった。しかし誰かに見られているということには全く気付いていなかった。そしてそれが終わろうとしていることもだ。
岩清水はまた従兄と話していた。彼はパソコンに映像をあげてそれを従兄に見せてだ。そのうえであれこれと話しているのだった。
「どうかな」
「いいね、よく撮れてるよ」
「そう思う?」
「トイレにゴミ捨て場に。部室だね」
「それとグラウンドね」
見ればだ。映像は如月達が神無をいじめている場面ばかりだった。その全てがだ。その映像には完璧に映し出されていたのである。
二人はパソコンに出ているその画面を見てだ。そのうえで話していた。
「そういうことをしそうな場所にカメラ置いておいたから」
「いいねえ、それもそれぞれ幾つも置いてたんだね」
「健一郎兄ちゃんに教えてもらった通りね」
「そう、それでだけれど」
「あと裏サイトだよね」
「魚拓は取ったよね」
従兄は彼にこのことを尋ねた。
「若し消えた時にも」
「取ってるよ」
抜かりはないというのである。
「もうね」
「さらにいいね。それじゃあ」
「もうそろそろかな」
彼はまた従兄に問うた。
「そろそろ仕掛けるべきかな」
「うん、そうだね」
従兄も彼のその言葉に頷いた。
「もういいね」
「これだけの材料があったら後はいけるね」
「充分ね。糾弾できるよ」
従兄は笑って応えた。何故かそこには邪悪さが満ちていた。
「確実にね」
「そう。じゃあもうこれでね」
「はじめたらいいよ。それからはわかるね」
「うん、徹底的にやるんだね」
「そう、徹底的にね」
従兄はこのことを強調して彼に告げた。
「もう容赦することはないから」
「いつも通りだね」
「そうだよ。君がこれまでやってきた通りね」
「兄ちゃんがいつもしているように」
「そう、徹底的にやるんだ」
従兄はまた言った。
「いじめは最低の行為だよ。それをする奴は悪なんだ」
「だからどれだけ糾弾して攻撃してもいい」
「そう、それこそ手段を選ばなくていいんだ」
また従兄の顔に邪悪なものが宿る。そしてそれは岩清水も同じだった。
「何一つとしてね」
「何一つとしてだよね」
「相手を破滅させるんだ」
従兄はこうまで言った。
「完全に。死んでもそれでも」
「これもいつも通りだね」
岩清水は邪悪さに満ちた笑みを浮かべていた。平凡な筈の顔がだ。まるで悪鬼の様に変貌していた。その顔で話すのだった。
「死んでも墓場までね」
「いじめている奴には何をしてもいいんだ」
「うん、本当にね」
「だから。いいね」
「僕やるからね」
二人はまた言い合った。
「今度もね」
「最後まで見させてもらうよ」
こう話してだった。そのうえでだった。岩清水は次の日にだった。動いたのだった。
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