許されない罪、救われる心
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174部分:第十六話 向かうものその五
第十六話 向かうものその五
「四人共もう終わってたの」
「ええ、そうなの」
「昨日時間あったからな」
「だからね。それで」
「やったのよ」
四人共時間があるからできたというのだった。
「それでなんだけれど」
「そう、それならいいわ」
弥生は素直な笑顔になって述べた。
「やっちゃったのなら」
「けれど」
しかしだった。如月はここで弥生に言うのだった。
「それでもね」
「それでもって?」
「答え合わせしない?」
如月はこう提案したのだった。
「お互いの宿題のね。それはどうかしら」
「あっ、いいわね」
「それもね」
文月と霜月が如月のその提案に頷いた。
「それじゃあクラスに入ったらね」
「そうしよう」
「実はさ」
長月は弥生のそれとはまた違う、困った感じの苦笑いを浮かべてである。ここでこう言ってきたのだった。
「あまり自信ないんだよな」
「ないの」
「結構間違えてると思うんだよな」
自分でそれを感じての言葉だった。宿題はやったがそれだけではないというのだ。内容については自信がないというのである。
それでだ。こう話すのだった。
「だからな」
「そうよね。それじゃあ」
「確かめ合おう」
如月と弥生が言った。そんな話をしながらだった。
五人はそのまま下駄箱に向かう。また弥生が靴を出してくれた。そうして四人はその靴を履いてクラスに入るとだった。ここでもだった。
岩清水がだ。叫ぶのだった。
「来たぞ!」
この言葉にだ。クラスの面々が反応する。
そしてそのうえで集まってだ。四人を責めるのだった。
「何時まで学校に来るんだ!」
「さっさと辞めろ!」
「二度と来るな!」
「中退しろ!」
「この世からいなくなれ!」
「そうだそうだ!」
こう叫んでだった。そしてだ。
岩清水はだ。彼等にこう言うのだった。ここでも煽るのだった。
「それでだけれど」
「ああ、それで」
「何だ?」
「どうするんだ?」
「悪は許したらいけないからね」
こう言うのだった。
「そう、消毒しないとね」
「消毒?」
「消毒って?」
「そう、汚い悪を消毒するんだ」
これが彼の今の煽動だった。四人をその汚い悪と断定したうえでだ。そうして周りを煽って動かしているのである。そうしているのだ。
「それでいいかな」
「具体的にはどうするんだ?」
「それで」
「一体?」
「そう、これで」
言いながらだ。何処からか洗剤を出してきた彼だった。
「これをかけてね。モップで洗ってやればいいんだよ」
「この連中がトイレでやったみたいに」
「そうやって消毒か」
「そうするのね」
「そう、そうするんだ」
岩清水はどす黒い笑みで話す。
「それでどうかな」
「ああ、それいいな」
「そうだよな」
「この連中には相応しいわよね」
「確かにね」
「悪は永遠に糾弾して許したら駄目なんだ」
岩清水はまたしても携帯を出してだ。そうして如月達のその時の映像を周りに見せる。四人の醜かったその過去をである。
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