許されない罪、救われる心
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173部分:第十六話 向かうものその四
第十六話 向かうものその四
「これからね。どうかしら」
「それもいいんですか」
「今からですか」
二人は水無のその言葉に問い返した。少し気兼ねした感じでだ。
「私達も」
「いいんですね」
「ええ、いいわ」
「お菓子もあるからね」
水無だけでなく師走も言ってきた。
「お抹茶ね」
「それと和菓子だよ」
「抹茶と和菓子」
「どう?如月」
弥生は自分よりもだ。如月を気遣って彼女に尋ねたのだった。
「如月はどうするの?」
「私は」
「ええ。どうするの?」
「よかったら」
如月はだ。こう前置きしてから答えるのだった。
「そうしていいですか?」
「ええ、いいわよ」
「だから声をかけてるんだよ」
水無と師走は如月の問いにこう返すのだった。
「一緒にね」
「食べよう」
「有り難うございます」
如月はこくりと頷いてから答えた。
「それじゃあ」
「そうね。ここは貰うべきね」
弥生は如月が頷いたのを見て笑顔で言った。
「御好意はね。ちゃんとね」
「こうしたことを受けられるようにもなるのにもね」
「心が必要だから」
水無と師走はこんなことも言った。
「貴女は。これまでそれができなくなっていたわよね」
「あのことから」
「はい・・・・・・」
その通りだった。岩清水達の糾弾を受けてだ。心が壊れそうになっていたのだ。人から責められている者がだ。その人からの好意を受けられるかということだった。
それもわかってだ。如月は頷いたのだった。そして弥生に言うのだった。
「弥生も」
「私もいていいのね」
「いつも一緒にいてくれるって言ったじゃない」
ここで出したのはこの言葉だった。
「違う?」
「いえ、その通りよ」
「だから。一緒にいて」
こう弥生に言うのだった。
「御願いだから」
「わかったわ」
弥生は如月のその言葉ににこりと笑って応えた。それからだった。
如月の手に自分の手をやって。それから囁く。
「行きましょう」
「ええ」
如月も弥生の言葉に応えた。そうしてだった。
二人は師走と水無のお茶とお菓子をご馳走になった。彼女達、とりわけ如月にとっては非常に幸せな時間を過ごすことができたのである。
そんな時間も過ごせるようになっていた。そしてだ。
また学校に行った。当然長月達も一緒だ。この日もだ。
四人はブーイングの嵐の中で登校する。しかしだ。
弥生はその四人の傍から離れない。決してだ。そのうえで四人に言うのだ。
「ねえ」
「うん」
「クラスに入ったらね」
あえてだ。今のブーイングのことには言及しない彼女だった。
「宿題だけれど」
「それもうやったわ」
「うちも」
「私も」
それについてはすぐにこう答える四人だった。全員がである。
「弥生もよね」
「それは」
「ええ、そうよ。っていうか」
弥生は四人の今の返答にだ。少し苦笑いになってこう返すのだった。
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