許されない罪、救われる心
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172部分:第十六話 向かうものその三
第十六話 向かうものその三
「ですから」
「そうね。友達だからね」
「それでいいですよね」
「正しいことよ」
それはだと。弥生に話す水無だった。
「それはね」
「正しいですか」
「ええ、いいことよ」
こうも言ってみせる水無だった。
「貴女のその行動がね。この娘を救うから」
「如月を」
「そう、救うから」
そうだというのである。
「だからね。貴女はこのまま進んで」
「そうしてですね」
「ええ、それでよ」
こう言ってであった。
「この娘といつも一緒にいてあげてね」
「そのつもりです」
弥生の返答は確かなものだった。その言葉で言ってだった。
「本当にこの娘とずっと」
「ええ。それで」
水無は今度は如月を見てだ。彼女にも言うのだった。
「貴女はね」
「私は」
「立ち止まらないでね」
彼女にはそうしろというのだった。
「絶対にね」
「立ち止まらない」
「そう、立ち止まらないで」
そうしてくれというのであった。
「貴女はそうして」
「ええ」
その言葉に頷いてだった。如月は顔をあげた。
そうしてだ。また言う彼女だった。
「じゃあ私は」
「何かあったら何時でも来て」
こうも言う水無だった。
「ここにね」
「来ていいんですね」
「ええ」
その通りだとだ。返すのだった。
「何時でもね。来てね」
「そうだよ。何時でもいいんだよ」
師走もだ。優しい声で彼女に言ってきた。
「ここに来てね」
「私達がいるから」
「何時でもですか」
「そうだよ、何時でもだよ」
師走は顔もだった。優しい笑みになっていた。そのうえでの言葉だった。
「来ていいからね」
「はい」
如月は彼のその言葉にも頷いてだ。そうして受けたのだった。
受けてからだ。彼女は師走にも話した。
「そう言ってくれたら」
「嬉しいんだね」
「はい、嬉しいです」
少しだけだ。笑顔になった如月だった。
「じゃあ本当に」
「何時でもね。いいからね」
「それでだけれど」
ここで水無はこう言ってきた。
「これからね」
「これから?」
「お茶を飲まない?」
如月と弥生を見ての言葉だった。
「これからね。二人共ね」
「お茶ですか」
「今から」
「ええ、そうよ」
優しい笑みでの言葉だった。
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