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許されない罪、救われる心

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165部分:第十五話 許される心その六


第十五話 許される心その六

「今からね」
「今から?」
「何かあるの?」
「会いたいって人がいるけれど」
 こう四人に言ってきたのである。
「いいかしら」
「会いたい人って」
「誰よ」
「誰なんだよ」
 しかしだった。四人はそう聞いて急に怯えだした。まるで岩清水から攻撃を受ける時の様になってだ。そうなってしまったのである。
「それって」
「まさかと思うけれど」
「安心して」
 弥生はその四人にまずはこう告げた。
「それはね。おかしな人じゃないから」
「そ、そうよね」
「弥生が言ってるんだし」
「それならな」
「違うわよね」
 四人は弥生の言葉にすぐに落ち着きを取り戻した。そうしてだった。
 あらためてだ。ほっとした顔になって弥生に尋ねた。
「それで誰なの?」
「その人って」
「一体」
「屋上に来て」
 弥生はここでは誰とは言わなかった。
「私も一緒だからな」
「そうなの、一緒に来てくれるのね」
「そうしてくれるのね」
「そうよ、一緒だから」
 四人を気遣っての言葉であった。
「だからね。安心して来て」
「ええ、それじゃあ」
「今から」
 こう話してだった。四人は弥生の言葉に頷いた。そうしてだった。
 弥生に付き添われて屋上に向かった。そしてそこに出るとだ。
 懐かしい後姿があった。その姿は。
「まさか」
「そんな・・・・・・」
「あの、先輩」
 弥生はここでは驚く四人を横目にその後姿に声をかけた。
「如月達。来てくれました」
「そう、悪いわね」
 彼女は振り向いてきた。そうしてその顔を四人に見せた。それは。 
 皐月だった。身体も完全に向けてきてだ。そうして言ってきたのだった。
「呼んでもらってね」
「いえ、いいです」
 弥生はその皐月に対してにこりと笑って話した。
「それは」
「そう。いいのね」
「それよりもですけれど」
 弥生からだった。言うのだった。
「あの、本当にいいのですか?」
「いいっていうと?」
「この娘達と」
「ええ、いいわよ」
 皐月は微笑んでそのうえで答えたのだった。
「勿論ね」
「そうなんですか」
「だから来てもらったんだし」
「そうですか。それじゃあ」
「そういうことでね。じゃあ」
 皐月は弥生との話を終えてだ。そうしてだった。
 四人に顔を向けてだ。こう言ってきたのだった。
「昨日だけれどね」
「昨日・・・・・・」
「昨日っていいますと」
「話、聞いたわ」
 この言葉と共にだった。ゆっくりと前に歩いてきた。そうしながら四人の方に来るのだった。そのうえで話をしていくのだった。
 
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