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許されない罪、救われる心

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151部分:第十四話 戻ってきたものその三


第十四話 戻ってきたものその三

「それは全部」
「元に戻してあげたんだ」
「そうなの。写真はネガがあったし」
「うん」
「アルバムは学校に連絡して」
「そうしてだったんだ」
「何とかなったわ」
 こう話すのだった。
「それもね」
「よかったね、それは」
「本当にそう思うわ。それで」 
 ここまで話してさらにであった。
「あの娘達を学校にね」
「その時さ」
「その時?」
「また連絡して」
 葉月はこう弥生に話した。
「その時にね」
「連絡?」
「そう、電話して」
 こう言うのだった。
「その時に」
「わかったわ。じゃあその時ね」
「うん、頼んだよ」
「如月達はもう傷つけさせないから」
 弥生は電話をしながら決意を固めていた。
「充分過ぎる程報いを受けたから」
「そうだね、本当にね」
「それに反省したから」
「反省してるんだね」
「ええ、だから椎葉さんも許してくれたのよ」
 それでだというのだ。
「だからよ」
「四人共戻ってきたんだ」
「戻ったって?」
「うん、元にね」
 葉月の言葉が今度は微かにだが微笑んできているのがわかった。葉月にもだ。
「戻ってきてるんだね」
「そうね」
 弥生は葉月のその言葉の意味がわかった。それで彼女も微笑みになった。
「元のあの娘達にね」
「許されないことをしたけれどそれでも」
「それでもね」
「戻って来たんだ」
「あの娘達は自分達ができることをやったから」
「後はなんだね」
「足りない、できない部分は私が」
 ここでも強い言葉になる弥生だった。
「やらせてもらうわ」
「俺もね」
「えっ、今なんて」
「あっ、また連絡して」
 葉月は今はここから先はあえて言わなかった。
「学校に行く時にね」
「わかったわ」
 葉月の言葉に頷いてそのうえで携帯を切った。しかしまた別の相手に電話をかけた。その相手は。
「ねえ」
「弥生?」
 電話の向こうから如月の声が聞こえてきた。
「どうしたの?」
「もうそろそろね」
 こうその如月に言うのだった。
「学校だけれど」
「ええ」
 如月はいささか沈んだ声で弥生の言葉に答えた。
 
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