許されない罪、救われる心
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152部分:第十四話 戻ってきたものその四
第十四話 戻ってきたものその四
「そうね」
「やっぱり怖い?」
こう如月に問うた。
「今は」
「うん・・・・・・」
沈んだ声での返事だった。やはりそうなっていた。
「それは」
「あのね、大丈夫だから」
弥生はその沈んでいる如月に寄り添うような声をかけた。
「それはね」
「弥生がいてくれるから?」
「そうよ」
まさにそうだというのだった。
「力になれないかも知れないけれど」
「ううん、それは」
「違うって言ってくれるの?」
「弥生のおかげでここまで来れたから」
電話の向こうで如月が泣きそうになっているのがわかった。
「だから」
「それでなのね」
「そう。だから」
如月はこう話すのだった。
「それは」
「有り難う」
弥生は如月のその言葉を受けて微笑んだ。
「そう言ってくれて」
「弥生・・・・・・」
「安心して、一人じゃないから」
「一人じゃ・・・・・・」
「そう、一人じゃないから」
こう言うのだった。
「ううん、四人だけじゃないから」
「私達だけじゃない」
「私がいるから」
これが今の如月への言葉だった。
「だからね。今はね」
「落ち着いていいのね」
「そうよ。落ち着いて」
また告げた。
「それで安心して。それで学校に行ってね」
「学校に。行っていいのね」
「迎えに行くから」
「そこまでしてくれるの」
「嫌かしら」
このことはしっかりと尋ねた。やはり如月を気遣ってのことである。
「それは」
「ううん、有り難う」
これが如月の返事だった。
「そうしてくれて」
「じゃあそれでいいのね」
「御願い。実は私」
如月はすがるような言葉も出してきた。今の彼女はとても一人では立っていられない。そのことがこの言葉からも出ていたのだ。
「弥生がいてくれてるだけで」
「わかったわ。それじゃあね」
「うん、御願い」
如月はまたこう言った。
「それで」
「そういうことでね。学校に行く時にね」
「私の家まで」
「楽しみにしてて」
声をわざと笑みにさせての言葉だった。
「その時ね」
「うん・・・・・・」
「こんなこと言ったらキザっていうかいい格好しいだけれど」
「だけれど?」
「守るから」
弥生は如月にこう告げた。
「如月達はね。私がね」
「守ってくれるの」
「うん、だからね」
「学校に行っていいのね」
「そうよ、一緒に行こう」
今度は優しい声をかけた。
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