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許されない罪、救われる心

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150部分:第十四話 戻ってきたものその二


第十四話 戻ってきたものその二

「二度とあんなことは」
「ここで止めないと」
「いえ、元々あそこまでする必要なかったのよ」
 そうだというのであった。これが弥生の今の考えだった。
「あんなに。酷いことは」
「いじめは最低だけれど彼がやっていることはね」
「何かおかしい、いえおかしいなんてものじゃないわ」
 そうだというのであった。
「あそこまでするのは」
「うん、実は俺も」
「そう思うのね」
「思うようになったって言うべきかな」
 電話の向こうで考える顔になっていた。
「そうだね」
「ええ、そうよね」
「それで城崎さん達は」
「何とか。元気になってきてるから」
「そうなんだ」
「ええ、何とかね」
 そうなっているというのだった。
「安心して、それは」
「うん」
「もう少ししたら四人共学校に戻れるから」
「ああ、そういえばだけれどね」
「あっ、そうだったわね」
 弥生は葉月のその言葉であることを思い出した。それは。
「あの娘達ね」
「停学になっていたから」
「そうだったわよね、思い出したわ」
「それがもうすぐ終わるから」
 こう弥生に話すのだった。
「だからいいタイミングだね」
「そうよね、それは」
「ただ」
 ここまで話してだ。葉月の言葉が曇った。
「学校に来たら」
「岩清水君達がいるから」
「それをどうするかだよ」
「私ね」
 弥生の言葉が意を決するものになった。そうしての言葉だった。
「考えてるのだけれど」
「四人をだね」
「ええ、守ろうって思うの」
 そうするというのだった。
「だって。四人共」
「友達だからだよね」
「だからね」
 それが理由だった。
「そうしようって。駄目かしら」
「俺が言うことじゃないよ」
 まずはこう言った彼だった。
「ただ」
「ただ?」
「友達だよね」
「ええ」
 葉月のその言葉に頷いてだった。
「だから。放っておけないから」
「いいと思うよ」
 葉月の言葉は温かいものだった。
「それでね」
「いいのね」
「うん、だって友達だよね」
「ええ、大切な」
「大切な、だからね」
 葉月は弥生のその言葉にこそ反応を見せたのだった。
「守るんだね」
「如月、他の娘達も」
「うん」
「ずっと写真やアルバムを持ってたのよ」
「そういったものをだったんだ」
「そうなの。私や皆と写っている写真をね」
 そういったものをだと。葉月に話した。
「持っていてくれたのよ」
「絶交って言われた時も?」
「そうよ。ずっとね」
「あの娘達にとっても大切なんだね」
「写真もアルバムも全部引き裂かれていたけれど」
 引き裂いたのは言うまでもなく岩清水と彼の同志達だ。彼等がそうしてだ。如月達のその大切なものを壊していったのだ。
 
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