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許されない罪、救われる心

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139部分:第十三話 贖罪その二


第十三話 贖罪その二

「前のね」
「前の私に」
「あの時の如月はとても醜かったけれど」
 いじめをしていた時の彼女のことに他ならない。
「けれど今は」
「戻ってきてるの」
「そう、それがわかるわ」
「弥生・・・・・・」
「少し待っててね」
 もう動きだす弥生だった。
「今から見て来るから」
「うん、有り難う」
 こうしてだった。弥生は先に家の方を見ていく。そうしてだった。
 戻って来てだ。それで言うのだった。
「大丈夫だったわ」
「そうなの」
「今はいないみたい」
 こう如月に話す。
「それじゃあいいわね」
「うん、それじゃあ」
 こう話してだった。それで行ってだった。
 家の外をまず見た。見れば酷いものだった。
 生ゴミが投げ込まれそしてスプレーで落書きがされている。あちこちが壊され車も完全に壊されている。如月の家と同じだった。
 如月はその有様を見てだ。こう呟いた。
「同じね」
「如月の家とね」
「うん、同じ」
 こう話すのだった。
「本当に」
「ここまでするなんて」
 弥生もここではじめて言った。
「ないのよ」
「そう思うの?」
「これはもう犯罪よ」
 そうだったというのだ。
「警察に集中的に抗議行動をして黙らせてるみたいだけれど」
「それでできてるの」
「私、ずっと自業自得だって思ってた」
 弥生もだ。最初はそう考えていたのだ。
「けれど。それでも」
「それでもなの」
「こんなに酷いことは」
「駄目って思うの?」
「酷過ぎる。こんなことしたら」
「弥生・・・・・・」
「如月はもう充分過ぎる程傷ついたから」
 いじめの報いは受けたというのだ。そう言うのだ。
「だから」
「そうなの」
「もう。終わらないといけないから」
 弥生は今はこう考えていたのだった。そのことを話した。
「だからね」
「それでなの」
「だから。行きましょう」
 ここまで訴え如月を促してきた。
「まずは長月ね」
「ええ」
「それに文月と霜月も」
 この二人のことも忘れていなかった。
「行こうね」
「うん・・・・・・」
 文月の家も霜月の家も同じだ。何処も荒れ果ててしまっていた。中も同じだった。暴徒達に暴れられてしまった後がはっきりと出ていた。
 そしてだ。三人の様子はだ。
 長月はベッドの上で涙を流しながらがたがたと震えていた。 
 文月は部屋の隅にうずくまり死んだ目になっていた。
 霜月はベッドにもたれかかってぶつぶつと呟いている。三人共そんな有様だった。
「・・・・・・・・・」
「やっぱり」
 二人は彼女達を見てそれぞれ話す。そうしてだった。
 その三人に声をかける。五人で喫茶店に集まって話をするのだった。
 マジックという店だった。ダークブラウンの木造の店で全体的にイギリスの趣を感じさせる。五人はその中に座ってだ。それで話すのだった。 
 
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