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許されない罪、救われる心

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138部分:第十三話 贖罪その一


第十三話 贖罪その一

                 第十三話  贖罪
 家を出た如月は。そのままある場所に向かっていた。
 一緒にいる弥生がだ。彼女に尋ねた。
「ねえ」
「何?」
「今から行くのね」
 こう彼女に尋ねるのだった。
「そうするのね」
「うん」
 弥生のその言葉に小さい声で頷いた。
「そうなの。まずは」
「まずは?」
「長月のところに」
 こう言うのだった。
「そこにね」
「そう、わかったわ」
「来てくれるのね」
「前に言った通り」
「三人に会いに」
「多分、いえ絶対私と同じことになってるから」
 そのことはもうわかっているというのだった。
「それはね」
「そうね。壊れてなかったらいいけれど」
「このままだと絶対に壊れるし」
「間違いないわね。今例え無事でも」
「けれど」
 ここでだ。如月の顔が曇った。駅に向かう途中でその顔が曇っていた。
 そしてだ。また言うのだった。
「いないわよね」
「岩清水君達ね」
「あの人達がいたら」
 その曇ってしまった顔での言葉だ。
「私、その時は」
「大丈夫よ」
「まさか弥生、その時も」
「先に行って確かめて来るから」
 そうするというのだった。
「若しいたらその時は」
「その時は」
「行くの?それとも帰るの?」
「行きたい」
 本音を言った。
「絶対に」
「そうよね。それだったらね」
「けれどいたらと思うだけで」
 曇った顔が今度は青くなった。身体も震えてきている。これまでの糾弾の記憶がだ。彼女をしてそうさせてしまうのだった。
 それでだ。如月は言うのだった。
「怖い・・・・・・。もうあんなことになるのは」
「それでも行くのね」
「行かないといけないから」
 それはわかっているというのだ。
「だから」
「だからなのね」
「ええ、だから」
「それでその時はどうするの?」
「裏手から行ければ」
 そこからだというのだった。
「その時は」
「そうね、それがいいわね」
「何があっても行きたいし」
 また本音を言う如月だった。
「それは」
「そうね。前の如月に戻ってきてるわね」
「前の私に?」
「そう、私がよく知ってる如月にね」
 横にいる彼女の顔を見ての言葉だった。今二人は駅のホームにいた。屋根が陰を作っていてその下にいる。アスファルトにコンクリートと鉄筋の柱や壁、それと線路。殺風景に見えるが何故かそこには生気も感じられる。その中で二人は話していた。
「なってきたわ」
「そうなの」
「ええ、なってきたわ」
 こう話すのだった。
 
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