許されない罪、救われる心
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140部分:第十三話 贖罪その三
第十三話 贖罪その三
弥生がだ。最初に言った。
「ねえ」
「うん・・・・・・」
「大丈夫じゃないわよね」
こう三人に言うのだった。
「三人共。もうね」
「うん・・・・・・」
「辛い・・・・・・」
「死にたい・・・・・・」
「如月と同じね」
ここで頷くのだった。
「本当に」
「もう嫌・・・・・・」
「こんなこと・・・・・・」
「耐えられない・・・・・・」
「そうね。けれどね」
ここでだ。その弥生が言うのだった。
「もう大丈夫だから」
「大丈夫なの?」
「本当に」
「もう。私達なんて」
「やつれて。辛かったのね」
弥生はその三人にまた話した。
「もう充分辛い思いしたわよね」
「あいつ等毎日家まで来て・・・・・・」
「お父さんやお母さんの職場まで来るし」
「妹の学校にも」
このことも同じだった。如月のそれと。
「家族にも見捨てられたし」
「何もかもが潰れて・・・・・・」
「もう何も残ってないし・・・・・・」
「なおせるものはなおしましょう」
弥生は項垂れるだけの三人にも言った。
「そしてね」
「そして?」
「それで?」
「また学校行きましょう」
こう三人に話すのだった。
「そうしましょう」
「けれど学校は」
「あいつがいるし」
「皆だって・・・・・・」
「大丈夫だから」
また言う弥生だった。
「他の誰もいなくても」
「誰もいなくても?」
「それでもなの?」
「私がいるから」
こう言うのだった。
「だからね。安心して」
「弥生、いいの?」
「それで」
「私達と一緒にいても」
「いいのよ」
穏やかな笑顔を浮かべてそれで話した。
「だって。友達じゃない」
「友達・・・・・・」
「けれど絶交だって」
「そう言ったのに」
「友達よ」
その言葉がまだ信じられない三人にまた話した。
「だから」
「来てくれたの」
「それで」
「言ったのはね」
弥生は如月の方を見た。自分の左隣にいる彼女をだ。そうしてそのうえでだ。三人に対して静かに話したのである。彼女達も見ながら。
「如月よ」
「如月が?」
「そうだったの」
「ええ、行こうって」
このことを話したのだった。
「それでなの」
「来てくれたの」
「そうだったの」
「友達だって」
弥生の言葉はトーンは低い。しかし確かな声で三人に話していた。
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