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許されない罪、救われる心

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13部分:第二話 部活からその五


第二話 部活からその五

「本当にね」
「いい気味か」
「そういえばそうよね」
 長月と文月は霜月のその言葉にストローを少し止めてそのうえで言った。
「何か無視してやったらな」
「すかってしたわよね」
「そうよね。如月もそうよね」
「ええ」
 如月もだった。霜月のその言葉に頷いた。実際にそう思えたのである。
「何かね。すっきりしたわ」
「頭がよくて可愛いからってな」
「クラスの男子や部長に媚びてね」
「何だっていうのよ」
 こう忌々しげに言うのである。
「そんな奴無視してやるわよ」
「知らないから」
「そうよね」
 如月は文月と霜月のその言葉に頷いたのだ。
「本当にね」
「絶対に許さねえからな」
 長月が一番強気だった。
「あいつだけはな」
「ええ、それじゃあね」
「これからもよね」
「当たり前だよ」
 長月は当然といった口調で文月と霜月に返した。
「これからずっとだよ。いいよな」
「勿論よ」
「許さないから」
 二人もそれに続く。
「さて、それじゃあね」
「これからも」
「徹底的にやるのね」
 今言ったのは如月だった。
「向こうがもう参るまで無視するのね」
「ああ、そうだよ」
 長月は右手の肘をついてその手にマックシェイクを持ちながらだ。そのうえでそれをストローで飲みながら答えた。
「やってやるんだよ」
「それなら」
 ここまで聞いてだった。如月は頷いた。
「部活だけじゃなくてクラスでもね」
「当然だろ、そんなの」
「もう何処でもね」
「あいつはいないの」
 文月と霜月も言う。
「だからよ、いないからね」
「知らない。無視する」
「それで行こう、本当にね」
 最後に如月が言った。これで決まりだった。
 そしてだ。四人は部活でもクラスでも神無を無視した。声をかけてもだ。全く気付かないふりをして自分達だけで話した。それは彼女達がそれぞれ一人の時も一緒だった。
 それを見てだ。弥生が怪訝な顔で如月に声をかけたのだった。
「ねえ」
「何?」
「椎葉さんと何かあったの?」
 無視していることに気付いての言葉である。
「ひょっとして」
「別に何もないわよ」
 如月は憮然として弥生の言葉に返した。
「別にね」
「それで無視とかする?」
「無視してないわよ」
「してるじゃない」
 弥生の顔が咎めるものになった。
「誰がどう見てもね」
「だからしてないわよ」
「じゃあ何で椎葉さんのこと嫌ってるの?」
 全てお見通しだった。言葉もまた咎めるものだった。
「どうしてなのよ、あれは」
「だって。嫌な奴じゃない」
 あまりかねた調子でだ。自分でも認めたのだった。
 
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