許されない罪、救われる心
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12部分:第二話 部活からその四
第二話 部活からその四
「こうなったらね」
「徹底的にシカトするからな」
「そうよ、あいつが何を言ってもね」
「絶対にこっちから話しかけない」
「そうしよう」
如月も頷いていた。四人はとにかく神無を無視することに決めた。
そしてそのうえでだ。部活の帰りだ。
四人が制服に着替えて部室を出たところでだ。その神無が声をかけてきたのである。
「あの」
「来たな」
「そうね」
「まさかここで来るなんて思わなかったけれどね」
「けれどね」
四人は彼女の言葉を受けてだ。そのうえで四人だけでひそひそと話してだ。そうしてそのうえで囁き合うのだった。
「絶対に何があってもだぜ」
「ええ、わかってるわよ」
「こんな奴もう絶対に」
「無視よ」
こうしてだった。彼女達は取り返しのつかない選択をしてしまったのだった。彼女達が意識しないうちにだ。
そうしてそのうえでだ。自分達に話し掛けてきたその神無にだった。
無視することにした。彼女は四人の後ろにいた。
そうしてだ。神無はまた四人に声を掛けてきた。
「あの」
「・・・・・・・・・」
返事はしない。振り向きもしなかった。
「聞こえてる?貴女達同じクラスよね」
おずおずとした声だった。何処か気弱そうな、そうした感じの声だった。
その声で四人に声をかける。しかし四人はあくまで無視するのだった。
「だから聞きたいことがあるけれど」
「なあ」
ここでだ。長月が三人に問うた。神無のその言葉には全く気付かないふりをしてである。
「これから何処行く?」
「マクド行く?」
文月がそれに応える。マクドナルドのことである。
「そこどう?」
「ああ、いいわね」
霜月も笑顔で文月の提案に頷く。しかし神無に対しては相変わらず気付かないふりをしている。
「それでね。四人で行きましょう」
「そうね」
それに如月も続いた。
「それじゃあ今から行きましょう」
「うちマックシェイク好きなんだ」
長月はわざと笑顔で話した。
「あれ飲むと何か一日が終わったって気がしね?」
「するする」
「まあ後でお風呂入って晩御飯食べてそれから勉強あるけれどね」
「それでもね」
如月も含めて三人でわざと明るくしてみせて応える。
「飲んだらそうした気持ちになれるわよね」
「だからだよ。マックにするか」
「そうね。じゃあ」
「今からね」
「ええと、いいかしら」
ここでまた神無の声がしてきた。
「あの、よかったらだけれど色々と」
「行くぜ」
「そうね」
「今からね」
こうして神無を無視してだ。四人はそのまま学校から帰った。これがはじまりだった。
そしてそのマクドナルドでだ。四人はマックシェイクのバニラをそれぞれストローで飲みながらだ。そのうえで楽しく話をしていた。
「ざまあ見ろだよ」
「そうね」
「その通りね」
長月の言葉に文月と霜月が笑顔で応えていた。四人の席に四人で座っている。店の端の席に座ってそこでだべりながらの話であった。
「あいつ唖然ってしてたよな」
「そうね、無視されたって気付いてないかも」
「けれどいい気味よ」
最初にこう言ったのは霜月だった。
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