こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第28話。変人と混沌。
「やっほー」
「あっ、晋吾だ。やっほー」
今日もいつものようにアルの家にお邪魔しています。しかし、今日はいつもと違う。
「え?君は?」
「俺のセリフやがな。」
メガネをかけた学ランのあんちゃんが一人。第一印象、ヘタレっぽい。
「どちら様?」
「私を殺した子。」
「よし、メガネごと目ん玉潰したるわ。」
「え?」
「え?」
有言実行。その変な目ん玉貰ったッ!
しかし、既の所で止められる。
「何すんや。」
「いや、俺のセリフだよね?」
ちぃ、ヘタレかと思ったら中々やるなこいつ。
「私のことで怒ってくれるのは嬉しんだけど、サッサと移動したいからいいかしら?」
「移動?」
「実はこの子にやられた傷がまだ回復してないの。だから隠れ場所として利用してるホテルに行こうと思って」
どうやらマンションには金品の回収のために立ち寄っただけらしい。
そう言われてジト目でメガネを見る。ウゥと呻くメガネ。どうやら引け目は感じているらしい。
ちなみに殺した動機とかは聞く気はない。
まぁ、『ついカッとなって、でも反省はしてる』みたいなこと言われたら、流れでチョメチョメしてしまう自信があるからな。
「俺もついて行く。心配や。」
「え?ほんと!?」
花が咲いたような笑顔になる真祖の姫。・・・・なんや、悪くないの。こういうのも。
ホテルに向かう途中でメガネのあんちゃんの名前を聞いた。遠野志貴と言うらしい。
「ほなシッキーやな」
と言うと微妙な顔をしていた。あだ名とかに慣れてないなあんちゃん。
対するあんちゃんは『衛宮君』とか呼んできたので晋吾と呼んでと言っておいた。
二人は二十七祖の一人、ネロ・カオスに見つかって逃げている最中とか。
シオンとの出会いにより、忘れかけていたメルブラの思い出が刺激され、色々なものを思い出した。
その中の一つであるネロ・カオス。ホァー!ホァー!カマキリホァー!あとカラスうざい。
マジで?アレとやるの?ハッ・・・ハメコンされないようにしないと。
ホテルについたらアルは寝ると言って寝てしまった。男二人気まずい空気に。
「・・・・君は?」
「それは俺とアルの関係を聞いてるんか?それとも、『ここ』に留まるのか?と聞いてるんか?」
ついきつい口調になってしまう。ぬぅ、今日の俺どうしたんだろ?
「・・まず二人の関係を聞きたい・・・・かな?」
「俺は親戚みたやと思っとたで。」
「親戚?じゃ晋吾は吸血鬼なのか?」
「俺は人間よ。ただ、在り方がちょっと特殊なだけや」
人間であり、アポストロスという存在だから。
「留まるっていうのは?」
「なに、若干逃げたそうにしとったさかいに・・・・な?」
そういってウインクしてやると、目をそむけるシッキー。キモかったんか。スイマセン。
「・・・・包帯買ってくる。」
「ほ?」
「いや、アルクェイドの傷がさ」
そう言ってアルクェイドの服から血がにじんできているのを指差す。
「クッ、ククッ。そうかい。そうかい。ほな、はよ行ってき」
「ああ。行ってくる。」
バタバタと出ていくシッキー。
「自分で殺しといて包帯かいな。クックック。こりゃシッキー二重人格かなんかやな」
しばらくしてアルが目を覚ました。
「おはようさん。夜やけど」
「おはよう。私吸血鬼だから合ってるわよ?」
「なるほど。面白いやんか。」
軽く寝起きのあいさつをしてから、真祖の姫は
「志貴は?」
と聞いてくる。・・・・なんだろ、なんかおもしろくない。
まるで答えるかの様に扉が開き、志貴が入ってくる。
アルはあんちゃんに外に出ると危険だと怒り、あんちゃんが包帯を買ってきたと言うとアルはいい人ねと言って笑いかける。
・・・・なんだろ、なんかおもしろくない。
もやもやしていると、ホテルにゴチャゴチャした死徒が近づいてくる。教授が!教授が来る!!
ネローきっとくるーきっとくるー。ガチホラ―なんですけど。
アルとシッキーはナイフ取り出してなんかやってるけど、俺は一般市民がホァーされないように行きますか。
「アルー。」
「なに?晋吾」
「ちょっと教授とホァってくるわ」
「?????」
ロビーにつくと阿鼻叫喚の巷と化していた。
具体的には開かない扉をドンドン叩きながらジワジワと詰め寄るワンコに怯える人々。
恐慌にかられる皆さんを見て悦ってるのか教授?趣味悪いぞ。
とりあえず、相棒を取りだし、魔力放出+魔力硬化でワンコを消して入り口の自動ドアをたたき割る。
雪崩のように割れた自動ドアから人が逃げ出す。これ、隠匿とかどうすんのよ?まぁ、教会と協会のどちらの仕事か知らんがガンバレ。
「ほぉ、使徒アポストロス か。」
「よぉ、ゴチャゴチャしたの。」
「ゴチャゴチャ・・・・まぁ、間違えではないが」
カウンターを背にたたずむ混沌カオス。
「幸運だな私は。貴方を取り込むことができれば、根源に至るどころか、『会える』ことができる」
「幼女メッチャうるさいで?イケメンツンデレだし。」
「ほう。して、どちらが?」
「教授的に会いたいのは幼女の方やろ。魂関係やし。」
「なるほど。リトルレディのエスコートの勉強をせねばならぬな」
「なんでやねん」
にやりと笑うネロ・カオス。絵的にやばいだろ、190cmに近い教授と幼女神って。
「まぁ、できたらの話や。お前に喰えるか?宇宙そらを」
「フッ、喰ろうてみせるさ、宇宙そらよ。」
晋吾はバットを下段に構えて擦りよる。そしてキュッっという地面と靴のゴムがこすれる音とともに一気に距離を詰める。
ネロ・カオスの呼吸に合わせて動いた完璧な間の取り方であったが、彼は混沌。攻撃に呼吸なぞ関係ない。
足から洩れるように獣が晋吾に襲いかかる。晋吾はバットを上に跳ね上げ、獣を一撃で消し、返し刃でネロを狙う。
左の肩口目掛けて振られたバットをネロは何か分からない生物なまものを生み出し、防ぐ。
防ぐと言ってもその生物は醜く潰れ、気味が悪い断末魔をあげる。晋吾はそれを気にもせずに、右肩に蹴りを入れる。
「ガッ!」
蹴りと言っても何かが爆発したかのような音を立て、大きなネロの体が吹っ飛ぶ。
飛んだ先に回り込んで、晋吾の左打席。ブシィイ!と空気を切り裂く音と共に脇腹にバットがめり込む音が聞こえる。
混沌の体に打ち込んだバットから伝わる感触は違和感。骨や肉の感触ではなく、固い何か。
ネロの顔は苦痛に歪んでいるが、背から生まれる無数の顔と爪のナニカ。
「ァアアア!!」
「ちぃいい!」
放り投げるようにバットを手放し、右拳で側部を殴りつけるが、左肩に当ってしまう。
魔力硬化をつきぬけて傷を付けるまでは行かなくも、その衝撃は十分な痛みを与える。
晋吾は痛みに顔をしかめるが、当たったその勢いのまま体を左回りに回転させ、左の順手でネロの腹にめり込んだバットを掴む。
ネロ・カオスは転がる様に地面に叩きつけられるが、柔道の受け身の如く立ちあがり、腹から2mはありそうな大きな獅子の様なものを生みだす。
晋吾はそのままバットを左の腰だめに構えて、右手でバットをしっかり握る。獅子もどきは咆哮をあげながら牙をむける。
「カァッ!」
晋吾は気合と共に息を吐き。
「エイヤァアアアアア!」
居合一閃
獅子もどきは消えはしなかったが、はじき返され、口元はぼろぼろであった。
「ハァアアアアアア」
呼吸を整えるとともにバットを両手で上段の構えを取る。
深く吐く息を切り、息を止め、奥歯を噛み締め、右足の親指に力を込めたところで・・・・
「晋吾!!」
「ッ!」
『姫』の声が聞こえた。
振り向くと焦った様子のアルクェイドと所々傷が見え、ナイフを手に持った志貴がいた。
押せ押せの状況に水を刺されたことに心の中で舌打ちし、心配してくれた様子のアルに、嬉しさからか、笑みが出る晋吾。
「グ・・・・これがアポストロスだと言うのか?足りぬ・・餌が・・・・餌が必要だ」
こちらを見ずに入口に向かう混沌。
「逃がすかよ。」
晋吾がそれを追いかけ、アルクェイドがそれに続き、志貴が慌てて後に続く。
しかし、獅子もどきが動き始める。
「晋吾!」
アルクェイドは晋吾を助けようと急ぐが、晋吾は見えていた。
前足の爪で切りかかれた晋吾は、バックステップでそれをかわし、自らの左足でその足を蹴りつける。
崩れた所に右足で獅子の足を踏みぬき、さらに脳天にバットを振り下ろす。
流石にこれ以上は耐えられないのか潰れて消えていく獅子。
時間稼ぎには十分だったのか、すでにネロの姿は見えない。逃げられたのだ。
「ちぃ、逃げられたわ。」
「しかし、流石ね晋吾。混沌とやりあえるなんて。」
君が来るまで『圧倒的』だったとは言わない。彼女が俺のことを本当に心配してくれたのは分かる。
彼女は俺が強いことを知っているが、『強さ』を知らないのだ。
緊張が切れたのか、疲れたのか、しばらくして志貴が琴切れたように倒れる。
死ぬなよ主人公!と一瞬焦った晋吾であったが、寝息が聞こえたので、ビビらせやがって!っと殴りたい気持ちを一生懸命我慢した。俺偉い。
しょうがないので俺が背負ってアルクェイドのマンションに運んだ。
アルと二人で歩いている中、ふと、空を見上げた。
月が見えた。太陽の光を受けて映る月が、今夜は自ら光を発しているかの如く、綺麗に輝いていた。
後書き
教授について、ホァーコンやられるたんびに台パンしたくなる俺。しないよ?したくなるだけ。とりあえず、教授はうざいです。
戦闘シーン。無双乙。ちなみに居合のイメージはガンガンnextのニューガン後格闘です。後→特→BZとか超好きだった。ちなみにだが、晋吾の剣術の才能はセイバーレベルぐらいある。けど振ってるのがバットだから剣豪にはなれないけど、GOZIRAとかICHIROにはなれんじゃね?
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