こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第29話。使徒と人と。
夜が明ける前に家に帰ってきた俺。てかこの体やっぱすげぇな、寝なくても全然平気だわ。365徹とかできそう。
今起きてきましたよーオーラを出しながら食卓へ、さてさて、今晩は決戦やからしっかり飯食って力つけんと。
ちなみに今日もちゃんと学校に行きますよ。俺、学生ですから。
「ニイさん」
「なんや。」
「昨日の夜どこ行ってたの?」
バ・・・・レ・・テるだと?
「?なんの話や?」
とりあえず惚けてみた。
「はぁ、ニイさんのことだから心配ないと思うけど、心配している人もいるんだってこと。覚えておいてね」
「・・・・おおきに」
「姉ちゃんには黙っておくからさ。」
ううぅ、いい男になりやがって。惚れてまうやろ。
「あとさ。」
「なんよ?」
「誤魔化す時、額に手を当てて眼を閉じる癖。直した方がいいよ。姉さんが気づくのも時間の問題だと思うからさ」
「さて、なんのことかのぉ」
そう言って、眼をつぶる晋吾だった。
シロちゃんが朝練に行った後、朝のニュースを見ていたら昨夜の事件が報道されていた。
数十人がなくなったらしい。ロビーだけじゃなかったのか教授。逃がさなかったら百数十になってたかも知れんな。
一人で全てを救えるとは思っていないので、少しでも救えたことに若干の満足感を抱く。
しかし、全く隠してないのかよおい。でも逃げた人のインタビューが出ないってことはそこら辺で動いているのか?
全てを隠さないで、一部を隠して迷宮入りさせるのか。流石魔術師えげつない。流石代行者えげつない。
学校は何事もなく終わり(凛ちゃんはいなかったが)、すぐに三咲町に向かおうと思うので桜ちゃんに今日の活動は休みであることを伝える。
そしたら若干泣かれそうになったのには困った。そんなにやりたかったのかと思い。部室の鍵を渡して好きなように使っていいと言う。
さて、そっこーで着替えていきますか。
「アレ?晋吾くん?」
「およ?さっちんやないの。」
「さっちんって言わないでよね!」
いつぞやの弓塚さつきさんじゃないですか。
「夜歩きしてへんで家でじっとしてたかのぉ?」
「もちろん!あんな怖い目に会っても外に出歩くなんてバカじゃないもん」
「さよけ」
「あ~っ、その目は信じてないでしょ。ホントだよ?」
俺を指差してそう騒ぐねーちゃん。元気だなおい。
「それやなか」
「?なに?」
「バカ・・じゃないって話や。」
「????」
「信じてないって話や。」
「・・・・もしかしてバカにされてる?」
「おう」
むっ~っと怒るさっちん。その顔で怒っても微笑ましいだけだぞ?
「アッ、そう言えば、ありがとね。」
「?助けたお礼ならもう貰ったで?」
「違うの。昨日、ほら。ホテルで事件があったでしょ?」
「おう」
当事者ですが何か?
「実は家族でホテルにご飯を食べに行こうとしてて、私が慌てて止めたの」
「ほう。そんなことがあったんか」
「おかげで助かったよ~。九死に一生とはこのことだね!」
「それは良かったが・・」
「ん?どうしたの?」
「いや、何でもあらへんよ」
九死に一生の使い方が違うと思うのだが・・どちらかと言うと紙一重?
「まぁ、無事で何よりや」
「うん。本当にありがとね。」
「何言うとるんや。ねーちゃんが止めたんやろ?ねーちゃんの判断が褒められることであって、俺に礼を言うのはお門違いや」
「それでもありがとね」
「・・・・なら、どういたしましてと言うとこうかの」
にこにこと笑うさっちん。ストレートな感謝の感情に若干照れます。
「ところでさ」
「お?」
「晋吾くんてさ、いくつなの?」
「なんでそんなこと聞くんや。」
「だって身長的に中学生なのに大人っぽいから、ちょっと疑問に思っただけ」
「・・・・ジジイ臭いとか思うてないやろな」
「そっ・・そんなことないよっ。うんっ。」
まぁ、ぶっちゃけ元ジジイだからしょうがない。
「13や、今中2。」
「2年生なんだ。じゃ、来年受験だね?」
「高校受験なんぞ余裕じゃ」
「あ~っ!そ―ゆー考えの人は危険なんだよ!」
「まるで経験したかのような言い方やな。」
「うぐっ」
先輩しっかりして下さいよ。
「さっちん何年生なの?」
「私?高校2年生」
「おまんも来年受験やないの」
「うぐっ、言わないでよー」
「アレやな。親とかに『大学どうするの?』って聞かれても、まだ早いとか言って逃げてる口やろ」
「うぐっ」
懐かしいなぁ。娘が受験する時もこんなことあった。下の息子と娘はすんなり決まったがな。懐かしいわ
「進路相談とかしてやろうかの?」
「いくら大人っぽくても年下にそんなことして欲しくないよぉ」
「アレよ。弟に相談するって考えればええんよ」
「・・・・弟。有り・・かな?」
ひとりっ子なんですね。分かります。
そんでその後17時まで1時間さっちんの進路相談してやった。ちょっと大学に前向きになったらしい。
フッ、俺、いい仕事したな。
「アルやっほー」
「晋吾やっほー」
アルクェイドのマンションで合流する晋吾。案外この挨拶を気に入っているのようだ
「あんちゃん大丈夫かい?」
「ああ、もう大丈夫だ。晋吾が運んでくれたんだって?ありがとう」
今日はお礼を良く言われる日である。
「教授うろうろ動いてるみたいやけど、行く?」
「行くわ。志貴も手伝ってくれるって。」
「え?マジで?」
「・・・・迷惑かな?」
俺的に殺し屋さんと一緒に居るのが怖いだけです。暴走して殺人貴になられても困るし
まぁ、実際に暴走されても大丈夫だけどさ。面倒なだけで。一応釘を刺しておくか
「いや・・迷惑とかやのうて、シッキーさ、その眼。使わん方がええよ」
「晋吾も志貴の魔眼のこと分かるの?」
「おう。俺を誰やと思ってるんや」
「そう言えば晋吾って何なんだ?特別って言ってたけど」
話の腰を折るなよシッキー。
「アポストロス。古代ギリシャ語で『使徒』。貴方達人類の守護者でも断罪者でもあるのよ?」
何故か自慢げに話すアル。ドヤ顔が可愛いです。
「俺が名乗ってるわけやないで?幼女が決めたんや」
「幼女?」
「おう」
「恐らく『管理者』の一人ね」
「その管理者ってのは?」
「人間が言う『神』のことよ」
俺を見るシッキーの眼が引き気味になるのを感じる。そんなビビることないやん。
「まぁ、話もどすけど、その眼な。シッキーにも負担が凄いだけやなくて、コッチ側も迷惑なんよ」
「コッチ?」
「幼女の仕事の関係よ。魂の管理と掃除と作成な」
「なんかスケールがでかくて疲れてきたな」
「ガンバレ。んで、その眼で死の点を突かれると、魂が『死んだ』状態で幼女のとこに行くんよ」
実はこっちに転生してくるまで、設定に時間がかかって幼女とイケメンの二人と体感時間で約数年の時を過ごした。
そんな中、幼女発の話でよく出てくることは、転生したら出来るだけ私の仕事を減らせとのことだった。
特に直死の魔眼に関しては口うるさく言われた。
壊れてるからって捨てるはもったいなくて、一応直すんだけど大抵汚くってとてもじゃないけど使えないから
消すんだけど、その消す作業が一番面倒なんじゃコラ!さらに絶対数が減るからまた作らなきゃいけねぇじゃねぇか!的なことを延々と
俺、怒られてもどうにもできへんがな。
てか最初っから消しておけば手間かかかんないじゃね?と思ったけど黙っておいた。こういうときは下手なこと言わないで相槌打ってるのが一番。
「だからヤメテ?って感じや」
「そんな軽いノリでいいのか?」
平気やろ、幼女やし
「まぁ、とにかく、その眼使わん・・妥協点で点を突かなかったら別にええよ?」
「・・・・分かった。使わないよ」
「まぁ、安心せい。」
「?」
「俺が、ヤル。からのぉ」
現在は公園にて待ち伏せ中。俺を倒せんと見て逃げ出したんだから、衰弱しているアルを囮にしたらホイホイ寄ってくるだろう。
と思い、教授ホイホイを設置。アルを囮にするのはちょっと心苦しかったが、彼女はいい作戦ねと言っていた。
自分で作戦立てといてスマンが、どこが?って感じです。
シッキーは不満そうにしていたが、そんなん知らん。ならもっといい作戦プリーズ
「真祖の姫か」
「あら、どうしたのかしら?ずいぶん焦っているようだけど?」
教授登場。煽るアル。余計なことせんでええから戻ってこ~い。
「晋吾にやられて自信でもなくなった?相手を考えてから言いなさい。」
いい終わると同時にアルクェイドに大量の獣が襲いかかる。
しかし、爪で切り裂き、貫き、圧倒するアル。あれ?俺いらない?
完全に出ていくタイミングを逃した俺ら。アルを中心に台風の様な虐殺が始まって出るに出れなくなっている。
しばらくすると、獣を全て切り終わり、肩で息をするアルクェイドの姿が見える。
「アルクェイド!」
「ちょっ・・シッキー不用意やって!」
心配してか、いきなり飛び出す志貴
死徒二十七祖第十位である死徒、ネロ・カオスが持つ固有結界「獣王の巣」
体内に666体の獣の因子と同数の命を持っており、放たれた獣を普通に殺しても混沌に戻るだけであり
生命因子は死なずに残ってネロ本体に還元され、すぐに復活させられる。
つまり、いくら殺しても意味がないと言うこと。
ネロの体から、晋吾が戦った獅子と同じほどの大きな犬が出現し、志貴を襲う
咄嗟に出したナイフで応戦するも斬ったその体が志貴の体を覆ってしまう。
「グッ・・」
「志貴!」
少し目を切ったアルクェイドの回りには先ほどより多くの獣が囲み、爪で対応するも、2本の腕ではカバーしきれず
腹を、腕を、噛みつかれて血を流す。
一気に不利になった状況に、晋吾は困惑よりも怒りが沸いた。
そんなことを知らず。混沌は笑う。
「真祖の姫である貴様を取り込めさえすれば、届く。届いてみよう」
もはや当初の目的を忘れているようだ。真祖の姫を倒すことが目的でなく手段に変わっている。。
俺に近づくための・・道具でしかない。
また怒りがわいてきた。
志貴の体を覆っていた数メートルはある犬を蹴り飛ばして、アルの回りにいた獣を巻き込み
アルに噛みついていた獣を怒りのままに手で握りつぶす。
「くっ・・アポストロス」
「アルを取り込むって、アホのこと考えてたのはおんどれか」
飄々とした晋吾の空気が、少しずつ重くなるのを感じる真祖と死徒と人間。
「なんやろ?俺、怒っとんのか?」
「晋吾?」
「さがってろ、アルクェイド」
「あっ・・・・」
少し冷静に考える。今ある感情は怒り、喜び、愛しみ。
怒りは分かる。アルに対する教授の発言に怒ってるんだろうか?
喜びは何だ?怒れることに対して?
愛しみはなんだ?この感情はどこかで?
ああ、そうか、俺は重ねていたんだ。アルと性格が似ていたあの人と。
そして、改めて惹かれているのだ。コロコロと笑う。今のアルに。
だから怒れるんだ。だから嬉しいのだ。守れることに。愛おしいのだ。この可愛らしい姫が
今なら出来そうな気がする。
なるほど。キーは他者に対する激情か。皮肉だな幼女。使徒アポストロスも人ってことかい。
人を思わないと生きられない。
「テトラクテュス・グラマトン」
愛しみと内なる怒りとともに紡がれた言葉は、断罪の執行宣告だった。
この言葉をを聞いてすぐに動けた自分を褒めてやりたい。そうネロ・カオス、フォワブロ・ロワインは思った
666の獣の因子の半数を使って練り上げる『創生の土』。真祖の姫であるアルクェイドが万全でも破壊不能であろう。
これを破壊しようものなら、身動き一つできぬ状態で、大陸一つを破壊するのに等しいほどの難易度である。
しかし、捕縛したはずの土からは銀色の光が漏れ―――――
遠野志貴は思わずメガネを外してしまう。言葉と共に溢れるように銀色に光り輝く晋吾。
眼を開けてられないほどの光なのだが、志貴は限界まで眼を見開く。
死の線が見えな。・・・・いや、ないのだ。
メガネのおかげで見えなくなったと言っても、外せば見える。死の線がないこの光景に志貴は眼と心を奪われ、安らぎを感じる。
彼は常に疲れていた。何度も気絶しても、いくら寝ても、どんなに休んでも、眼が与える負担は大きい。
肉体の疲れは徐々に精神を蝕む。この眼を持ってから始めての十全な安らぎに
志貴は涙を流す。
真祖の姫は自らの感情を制御できずにいた。
名前を呼んでくれたことの喜び。怒ってくれたことの喜び。守る様に立ちはだかってくれたことの喜び。知識だけでしかなかった女としての喜びを感じることができる喜び。
初めて感情というものを与えてくれた彼が愛おしい。初めて安らぎと平穏を与えてくれた彼が愛おしい。
そして、溢れるような吸血衝動。
絶対の美味しいに違いない。彼なら快く飲ませてくれると。心赴くままに。という自分に都合のいい考えばかりが浮かぶ。
そして、血に溺れて私は彼のモノになる。彼の存在が私の意味になる。真祖の宿命から逃れられる。
しかし、恐れる。血を飲む自分に。彼の血を嬉しそうに飲む私を・・・・殺したくなる。
そんな自責の念を銀色の光が洗い流すかの様に射し込む。まるで、彼が私を優しく抱きしめてくれるかのように。
動く晋吾。まるで動きを追従するかのように彩るプリズム光。
ネロ・カオスは急に足が浮き、視界が高くなることに驚く。そして首を掴まれていることに気づく。
徐々に銀色の光が|混沌<カオス>を覆う。
「なんだこれは!?何なんだ!?」
「消えろ混沌。其の行き先は、無・・・・だ」
四肢の先から光が拡散していく。光が晴れた先には、何もない。
混沌は無に還る。
この銀色が、彼が見た最後の光だった。
後書き
噛ませ犬臭がぷんぷんする教授に敬礼!
普通オリ主の怒りイベントってかっけー胸熱~って感じになるのに、
晋吾・・お前、かわいいやつだな。って思った作者です。
祝アルクェイドヒロイン化決定!!ドンドンバフバフ。
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