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こんなチートでもありですかい?そうですかい。

作者:わいわい
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第27話。変人と月の姫。

少し考えさせて下さいと言われ、間桐さんと分かれた後、一成と部室でクーちゃんの修理にかかる。

「なぁ、晋吾。」
「お?」
「どうして彼女を誘ったんだ?」
「そりぁ・・・・気分の問題よ。」
「どんな問題だ・・・・」

偶々クーちゃんを蹴ったのが間桐さんだっただけよ。

「まぁ、別に無理に入ってもらおうとは思っておらへんし、やっぱええって言われたらそこまでや」
「そんなものか?」
「おう。だから言ったやろ?気分の問題やって。」

後日、間桐さんは同好会に入らせてもらいますと言いに来たが、言わされてきましたオーラが丸見えであった。

間桐のご当主に監視してこいと言われたんですね?わかります。

間桐のご当主の話は親父からよく聞いている。

やたらと嫌っており、ここ数年ポワポワしてきた親父ですら機械の様な無表情で『糞蟲』と呼ぶほどである。

出会ったら即抹殺を息子娘にすら言い渡す始末。どんだけ嫌いなんだ親父?てか俺ら間桐の爺さんがどんな顔かしらん。

まぁしかし、魔術師たちの思惑なぞ心底どうでもいいので、俺は彼女を快く迎え入れるだけだがな。









「ホンマに魔術師ってよくわからんわ」
「・・・・・・そう」

ゴールデンウィークも終盤の5月始め。凛ちゃんがヒッキーになった。

「あなたも魔術師の家庭のモノなら、分かるでしょ?」

とか言われて、ゴールデンウィーク中に遊びに行っても門前払いにされる始末。スイマセン、分からないです遠坂先生。

創作意欲も湧かないのでスーパー暇になった俺は、真祖の姫さんの家に遊びに来たのだった。

遊びに来たと言っても特にすることもなく、二人で茶を啜りながらボケーっとしているだが。

まぁ、俺を見るか真祖の姫であるアルクェイド・ブリュンスタッドを見るかで、爺の茶飲みか、王族のシエスタであるかの差はあるがな

「平和やのー」
「平和?」
「こういう穏やかな時間を平和って言うんよ」
「・・・・そう」
「悪くないやろ?」
「・・・・・・・・」

晋吾が口を開き、それに対して真祖が一言二言言葉を返して黙りこくる。その繰り返しだが、晋吾は実は気に入っていたりする。

なんだかええの~、この空気。顔は全く似てないが嫁を思い出すわ。

前世における晋吾の結婚は、ある研究でお世話になった、企業の重役が持ってきたお見合いの縁談がきっかけであった。

当時の晋吾は結婚に対して否定的でも肯定的でもなく、自らの夢に一直線だったために、周囲が見かねて持ってきた縁談であった

相手は非常に寡黙な女性で、親ですら何を考えているか分からないと言われるほどであったが、

観察眼が優れ、ベラベラと話したがる晋吾とはいい関係が築け、最終的には「意心地がいいから」と結婚に至った。

恋愛をしたことのない晋吾は、知らず知らずのうちに『この』真祖の姫に惹かれていく

だがしかし、ある少年によって短く儚い恋に、と言うよりも恋だと気づく前に終わってしまうことを晋吾には知りうるはずがなかったのであった。

「所で、ろあ?だったかの?見つかったんか?」

そう言うとアルクェイドは新聞を晋吾に差し出す。

「連続殺人事件。・・・・ロアの仕業だというんかい?」

真祖の姫さんは静かに頷く。おかしいな、朝見た朝刊にはこんな記事はなかったはずなんだけど。

アレか、魔術師による情報操作って奴か、どうせなら現地でも情報操作しておけよ。

「あなたは・・・・ロアを追ってきたんじゃないの?」
「お?入る時言ったやろ?暇つぶしやって。それに追ってんのはお前さんやろ?」
「・・・・・・」
「でももう動いてるってわけや、これは探しやすいかのぉ」
「・・・・ホント?」
「おう。次動く時が勝負や。」





次の日、学校から帰ってきたらすぐに、ロアとの対決を想定して『相棒』の作成に取り掛かる。

やはりですね、安く仕上げようとか考えていたから悪かったのですよ。本当にすまない我が聖剣エス○リボ○グよ。

今回のバットは既製品バットではなく3月に依頼していたオーダーメイドバット19950円、素材は天然メイプル。

重さ、長さ、ヘッドの位置、グリップの太さ、全てが俺に適した新しい相棒である。

それに、「しばしの痛み、許せよ」と言いながら釘を打つ。計20本。んでペンキで黒く塗る。完成。

聖剣エス○リボ○グⅡ爆誕である。

「二万もかけたのに本来の用途に使ってあげないのって、可哀想に思うんだけど・・」
「フッ、流石やなシロちゃん。その優しさが世界を救うやで。」
「そんなのにやられる死徒がかわいそうだわ」

死徒に同情なんぞいらんのや、姉ちゃん。

ちなみに、二十七祖とやったときの覚醒みたいのは何度か試したけど出来なかった

厨二なセリフを何度か口調を変えて試したのにも関わらず、うんともすんとも言わん。めちゃめちゃハズい。

あれか、気力150で発動する特殊技能って考えておけばいいのか。

そして21時。姉ちゃん就寝の時間である。フッ、お子ちゃまめ!さて、今のうちに抜け出しますか。





午後9時半。真祖の姫さんと合流。ヤッホーって言われた。あんた誰よ?

なんかあったのかと聞いてみたら

「いやねー。殺されちゃってさ―。調子でないのよねー」

って軽く言われた。ノリがメッチャ軽い。あんた誰よ?クールな姫さんを返せ。

「むーっ。姫さんじゃなくて名前で呼んで欲しいな―」
「名前?・・・ある・・アル・・・・・アルでいい?」
「ん~、まっいっか!特別って感じがするし!」

何が特別何だかよくわからんがな。

「俺は晋吾でええよ。」
「言われなくてもそう呼ぶわ。」

マジか。クールな姫さんを返せ。これはアレやな。殺してくれやがった奴は制裁を与えねばならん。

「てか俺、名前教えたっけ?」
「星が教えてくれたわ。」

なんだそのチート。個人情報もへったくれもないじゃないか

「フフッ、安心して。星が教えてくれたのはアポストロスの名前だけよ。プライバシーを覗いたりはしないわ」
「ホンマかい。」
「でも、私個人としては興味があるわ」
「っておい。」

真祖の姫は本当に楽しそうに笑いながら、夜の道を歩いて行く。本当に楽しそうに・・・・





「ねぇ、本当に分かるの?」
「大丈夫やっていうとるがな。」

俺とアルの二人はロアを追うと言う名目で夜の街を徘徊していた。

現在三咲町にある死徒の気配は3つ。いつぞかの変人シスター、ごちゃごちゃした奴、そして魂が汚い奴。

最後の奴はヒドイ。魂の汚れが俺ですら感じられるほどである。

アルに聞いてみたら、ロアとやらは転生無限者と呼ばれているとのこと。

なるほど、幼女神の元にいかないでいるとこんなんになるのか。今逝ったとしてもこんな頑固な汚れ落ちるのか?

ジョイくん召喚しないと無理じゃない?こっちのヌメヌメもちょちょいのジョイやで?

まぁ、とりあえず居場所が分かっているので、先回りして待ち伏せしましょ?って感じだ。

移動経路を先回りしてみようとしていたら、途中で人がロアの進行方向上にいることが分かった。

「うげ、人がいるやん」
「どうしたの?」
「コラあかんわ。ちょっと急ぐで?ロアの進む先に人がおる。」

電柱を駆け登り、電柱から電柱へ、家から家へと空を駆ける。

うはっ、距離的にギリギリのタイミングか?

「間に合うの?」
「ギリギリかも知れんな」
「私、先に行く?
「行ってくれたら助かるわ。」
「貸しだからね?」
「おう。人命には変えられへん。頼んだわ」
「任せて!」

凄いスピードで走って行くアル。これなら間に合いそうだ

俺が辿り着くと、これまた凄いスピードで格闘しているアルと多分ロア。

そして、凄いスピードであわあわしている女子高生がいた。

「ねーちゃん。落ち着くね。」
「あわあわあわっ、何何っ?今度は何!?」
「落ち着くね。こういうときは深呼吸や。吸って―吐いて―」
「すーはーすーはー」

しばらく深呼吸を繰り返したら落ち着いたようだ。

「とにかくのぉ、ここは危ないから移動しよか。」
「うわー何が起きてるか見えないよ~」
「はいはい。あまり見てると巻き沿い込んで首とぶでー」
「何それスゴク怖いんだけど!?」

騒ぐねーちゃんを抱きかかえてその場を離脱する。

「とりあえず物騒やし。家まで送るわ。」
「てかなんなのいったい?あっ、人生終わった・・と思ったらスッゴイ綺麗な人に助けられて、ありがとうってお礼を言おうとしたらいきなりバトルし始めるし・・」
「空飛ぶし?」
「そう!すっごく怖かったんだから!!」
「でも楽しそうやったで?」
「・・・・・うん。」
「ねーちゃん絶叫系好きやろ?」
「うん」

どうやら素直な子らしい。

「ここしばらくは夜は出歩かない方がええで?」
「そうなの?」
「おう。ねーちゃんを襲った奴みたいのがもう一匹いるしの。」
「うへー。三咲町って平和な町なのになー」
「しかたあらへんがな。災害みたいなもんや。家でじっとしているのが一番や。」

魔術師の連中ですら通りすぎるのを待ってるぐらいだしな。

「結局アレってなんなの?」
「吸血鬼や。」
「え?」
「吸血鬼や。」
「え?吸血鬼って、美女の血を吸うって奴?」
「おう。ねーちゃん美人やからの。」
「えへへ~、そんなことないよ~」
「そうか、そんなことないか。」
「え?」
「理解したわ。」

まぁ、カワイイ娘ではあるがな。美人ではないと思われ。将来はどうなるかわからんがな

「あっ、家ここなんだ。」
「おっ、そうか。基本昼間は比較的安全や。夜は一人でぷらぷら歩くの禁止やで?ちょっとコンビニ行ってくるが、奴らにとっては頂きマンモスや」
「怖いコト平然と言わないで・・・・」

プルプルと震えるねーちゃん。よーしよーしと背中をさすってやる。

「今日はありがとね。」
「おう。」
「あっ、そう言えば。名前聞いてもいい?」
「名前?晋吾や。衛宮晋吾。」
「私は弓塚さつき」
「またの、さっちん」
「さっちんって言わないでよっ!?」

さっちんを家に送った後、先の道に戻ったら誰もいなかった。マジか。

もう夜も日付が変わりそうなので家に帰ることに、念のためにアルの家のベランダに『家に帰ります。探さないでねっ』と書いた手紙を投げ入れておいた。

これで大丈夫。さて、帰りますか。







「先輩。ここどうやるんですか。」
「ここはな、ここをこうこうこうや。」
「・・・・もう少しゆっくりやってくれませんか?」

さっちんを助けた次の日。きちんと学校には登校する俺。マジで偉い。

そして放課後。桜ちゃん(ちゃんと許可を得た)はぬいぐるみに興味があるらしく、教えてあげているのだ。

女の子らしくて実によろし。一成?生徒会やがな。

「桜ちゃんは家で何しとるん?」
「え?家で・・・・ですか?」
「おう。趣味的な話よ。」
「趣味ですか・・・・特には何も。」
「ほうかほうか。なら家でもぬいぐるみ作ってみ。材料とかはやるからの」
「いいんですか?」
「おう。桜ちゃんにも作る喜びをな、家でも味わってほしいねん。凛ちゃんやって家でチクチクやってるらしいで?」
「・・・・凛?」
「あっ、そう言えば言ってなかったの。俺らと同年代の女の子がいるんよ。遠坂凛ちゃんって言ってな。カワええんよこれが」
「知ってます。」
「マジで?」
「ええ。有名ですから。美人で、優秀で・・・・」

おふっ、桜ちゃんからダークサイドが噴出してきた。誰かー!ジャダイを呼んでくれ!

「桜ちゃん!」
「はい?」
「もっと笑うがええよ!」
「え?」
「アレなんですよ。桜ちゃんはもっと感情を外に出した方がええで?」
「感情をですか?・・・・正直苦手です。」
「苦手な桜ちゃんに今すぐニコニコ笑え言うんわ無理なことだと分かるで。せやから・・笑いの勉強や」
「笑いの・・・・ですか?」

ポカーンとした表情の桜ちゃん。フッ、衝撃を隠しきれんか。

「まずは基本や。何でやねん!」
「??????」
「ツッコミは笑いの基本やで?復唱や。何でやねん!」
「なんでやねん?」
「『で』の位置がアクセントや。何でやねん!」

こうして下校時刻までツッコミの練習をしていた晋吾と桜であった。

桜の向かう先はどっちだ!?

「何でやねん!」
「ほう。悪くないで、さっきの」 
 

 
後書き
はっちゃけ姫誕生。誤字にあらず。晋吾、知らず知らずのうちに初恋終了のお知らせの回でした。南無~
なんでアルって呼ばせたか?・・・ぶっちゃけ気分です。弱ってるはずのアルクェイドとロアが戦えた理由は、ロアが「おなかが減って力が出ない・・・」って状態だったで勘弁。まぁ血が足りなかったのですよ。てかさっちんと晋吾絡ませるの超楽しいわ。名コンビですね。  
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