デジモンアドベンチャー Miracle Light
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
ディアボロモンの逆襲 前編
前書き
ディアボロモンの逆襲…行きます
ベリアルヴァンデモンとの戦いからしばらくして、大輔達は平穏な暮らしをしていた。
しかし、そんな平穏の裏では無邪気な悪意が蠢いていたことなど大輔達は知らない。
そしてこれは、13人の選ばれし子供達の最後の戦い。
敵は最凶最悪、現実世界に襲来した目的はかつての屈辱を晴らす為。
敵のターゲットは、3年前に敵対した人の少年と子供達とデジモン達であった。
それを察知した光子郎は仲間をお台場中学のパソコン室に集めたのだが。
「おい、大輔は?」
何時まで経っても大輔の姿が見えないことに太一が尋ねると、ヒカリ達は明後日の方向を見つめながら事情の説明をした。
「ジュンお姉ちゃんが…」
「またあの人かよ!?何であの人は何時も何時も何時も何時も何時もこういう時に限って何らかの面倒事を起こすんだよっ!!で?今回は何をやらかしたんだよ?」
実際に3年前と言い、ジュンは最悪のタイミングで面倒事を引き起こすために太一は頭を抱えるが、取り敢えず京に事情を聞くことにした。
「それがですね、ジュンさんの部屋が何度綺麗にしても数日で汚くなっちゃうから、ジュンさんの私物は殆ど排除して、お菓子とかもリビングで絶対に摂らせるとか、汚くしようとしても絶対に出来ない環境にする作戦が本宮家で始動したんです。」
「何だよ京ちゃん。それ!?それジュンさんの自業自得だろ!?大輔関係ねえだろ!?」
「弟ですからねえ」
「弟だからって姉の仕出かしたことに巻き込まれる…何て理不尽な世の中だ…!!」
世の中の理不尽に嘆く太一だが、光子郎がこのままでは話が進まないと判断したのか強引に話題を変えた。
「…取り敢えず…話を進めますね」
照明が落とされ、薄暗いパソコンルームに新旧含めた選ばれし子供達の大半が揃っていた。
光子郎が今回のために急いでセッティングしたことが分かる状態であった。
普段生徒達が使うにしてはあまりにも非効率的に置かれたコンピューターが部屋の大部分を占領しており、みんなはそれらの隙間に狭そうに立っている。
「大輔さんは家の事情で来られませんが、ミミさんや丈さん、空さんは?」
「ミミさんは、丁度アメリカから帰国する飛行機の中……今、無闇にネット移動は出来ませんから」
伊織の問い掛けに、光子郎が答えてくれた。
今、ネットの中にはとんでもない危険な存在がいるのでネットを介した移動が出来ないのだ。
「丈さんは、高校の入学手続きに……」
電話がやかましく鳴り響く中、大勢の受験者達がいる高校の事務室前で丈の叫び声が聞こえた。
「いえ、確かに合格したはずなんですー!!」
学校のウェブサイトなどで発表された合格者名簿には、全てとある人物達の名前しか載っていなかったのだが、それは太一達にはさして重要な事ではなかった。
丈にとっては何処までも果てしなく不幸な事だが。
「空さんは……」
「テニス部の合宿。今こっちに向かってる所だ」
光子郎の代わりに答えたのはヤマトだった。
「あの、一体何があったんですか?」
取り敢えず集められた理由を芽心は光子郎に尋ねる。
「尤もな疑問ですよね。これを見て下さい」
光子郎はリモコンを操作し、教室の前部に掛けられていた大型スクリーンに1枚の映像を映し出した。
「あ、あああああ!!?」
「おやまあ?」
スクリーンに映し出された映像に芽心は絶叫し、賢はその横で目を見開いた。
何せ、映し出された映像は付き合い始める前の太一との買い物の物だったからだ。
おまけにモザイク処理されてないので顔で判別可能。
「お兄ちゃんとお義姉ちゃん…今より若いからかなり前の写真かもね」
「おいこらヒカリ。俺と芽心はまだ若いぞ」
話が逸れそうになったので光子郎は更に別の写真に切り替えた。
先程の太一と芽心同様に仲睦まじくどこかの街を歩く男女。
もちろんモザイク処理はされられておらず、2人共顔の判別は可能だ。
「あ、悪質なイタズラですよね!!」
京がヤマトの方を見つつ、フォローを入れたがヤマトは答えない。
「因みにこれも」
「へ?NOーーーーー!!!?」
最後の映像は賢と京の買い物シーンの映像であり、勿論モザイク処理されてないので判別可能状態。
どうやら、全てネットでばらまかれているらしい。
「因みに大輔君とヒカリさんの画像も確か内容はお手製のお菓子を大輔君がヒカリさんに………ん?」
「どうしたんですか光子郎さん?」
「(何故か後ろから凄い殺気を感じる…)いえ、何でもありません」
途中で言葉を切った光子郎にタケルは疑問符を浮かべるが、何でもないと言って会話を切った。
光子郎は背後からのヒカリの威圧感に気付かぬ振りをしながら画像を消して、この事件の首謀者の名を口にした。
「……ディアボロモンの仕業のようです」
「ディアボロモン?」
まだ記憶に新しいその名前に芽心は3年前の恐ろしい騒動の記憶を遡る。
「3年前にネットに現れたデジモンですよね?でもオメガモンとメイちゃん達が倒したじゃないですか?」
「そうだな…3年前に俺達が…倒したはずだった……」
ヤマトが低く応え、太一が険しい顔で言った。
「奴はまだ、生きていたんだ」
「……どういう事なんですか?私は確かにメイちゃん達がディアボロモンを倒したのを見たんですよ…?」
「恐らく、あの戦いで生き延びたデータが、増殖したんでしょう。あれだけの攻撃を受けて生き残るとは恐ろしい生命力です…」
ディアボロモンはデータ容量が少ない幼年期のクラモンをメールに添付し、現実世界に送り込んでいるという。光子郎はパソコンの画面を子供達に向ける。
「このメールを開くと、クラゲのような変な生き物が出てくる仕組みです」
目玉が一つしかないデフォルメされたクラゲのようなデジモンの画像が表示されていた。
「核ミサイルまで発射しようとした奴だ……」
「現実世界に現れたら、何を仕出かすか分からないよ!!」
三年前の戦いではまだ幼く、参加した時点で究極体に相手が進化していたこともあってあの時は足手纏いになってしまったが、敵の恐ろしさはヤマト達と同じくらい知っている。
そして太一が、光子郎に尋ねた。
「……光子郎、ネットの中にゲート開けるか?」
「何処かに、クラモンを送り込んでいるマザーがいるはずだ」
「そいつを、叩く!!」
握り拳を掌に叩きつけ、勇ましく太一が言い放った。
ヒカリがそんな兄を振り返り何事か言おうとしたが、彼女よりも早く芽心が太一に言い寄る。
「私も行きます!!ディアボロモンの狙いは私も含まれてるはずです」
芽心の言うことは正しい。
何せ画像は太一や自分と言った3年前の事件に関わったこと人物ばかりだったのだから。
「いや、芽心はクラモンの方を頼む。奴らがこっちの世界で進化したら大変だからな。大輔が動けない以上、クラモンがディアボロモンに進化しちまったら、止められるのはラジエルモンとバンチョースティングモンだけだからな。」
「そうですね。ネットのマザーのディアボロモンはオメガモンに任せましょう」
2人に言われた芽心は不安そうに太一を見上げた。
芽心とて太一達を信頼していないわけではないが、ディアボロモンは何をしてくるのか分からない恐ろしい相手だ。
そんな相手に恋人を送り出すなど心配に決まっている。
芽心のそんな不安を何となく察知した太一は安心させるように彼女の頭にポンと手を置いた。
「大丈夫だって、確かにディアボロモンはヤバい奴だけど、何かを仕出かす前に倒せば良いんだよ。」
太一とてディアボロモンの恐ろしさは理解している。
だからこそ、最初から本気で攻めるつもりだ。
そして、全ては敵の目論見通りとなった戦いが、幕を開けた。
ページ上へ戻る