デジモンアドベンチャー Miracle Light
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最終話:冒険は終わらない
前書き
02メンバー全員視点
時系列は凄い未来…大輔とヒカリの…
《八神ヒカリ》
私には、叶えたい夢がある。
最高の仲間達と、大好きな人と、大人になるまで…ううん、大人になってからもずっといたい。
大好きなパートナー達と一緒にもう一度、みんなと一緒に冒険したい。
そしてそれを、常に私の傍に居てくれた人が叶えてくれた。
「ヒカリちゃん、ブイモン達が呼んでる」
大輔君、昔の事件で引きこもっていた私を外に引き上げてくれた優しい人。
「うん、そうだね」
彼が差し出してくれた手を掴んで、私はブイモンとテイルモンの元へと向かう。
「…私は、大輔君の隣にいてもいいんだよね?」
「あのさ、ヒカリちゃん。ヒカリちゃんがいてくれないと俺が困るんだけど?」
呆れたように笑う大輔君に離さないで欲しいと思った。
ずっとずっとこうやって、いつまでも2人でいられたらいいね
左手の薬指に填められた指輪がキラリと輝いた気がする。
《本宮大輔》
誰もが俺のことを勇敢だって言う。
炎…勇気のデジメンタルと名を改められた進化アイテムを使うからそう思われるんだろうな。
でもだからって俺は今までの戦いで全く恐怖を感じていなかったのかと聞かれれば答えはNOだ。
俺だって死ぬのは怖いし、強敵相手に恐怖を感じない訳じゃない。
だけど、俺の傍には何時もヒカリちゃんがいてくれたんだ…ヒカリちゃんは何時も俺に助けられてるって言ってるけど…俺が頑張れるのはヒカリちゃんがいるからだ。
だから俺は…何時だってヒカリちゃんを守れる男でありたい。
「ヒカリちゃん」
「なあに?」
「ヒカリちゃんに会えて良かった。ヒカリちゃんに会えてから凄く楽しくて幸せだよ。これからもよろしくな」
それを聞いたヒカリちゃんは凄く綺麗な表情で涙を浮かべながら頷いた。
《一乗寺賢》
僕と兄さんの能力に明確な差が出始めてからの僕の人生は正に苦痛以外の何物でもなかった。
勿論年齢の差もあったことは否定しようもない。
それだけ3年もの歳の差は大きい物だが、周囲の人間にはそうは見えないらしい。
周囲の人間からすれば天才と言う存在は生まれついてのスーパーマンみたいな物なのだろうと当時の幼い僕でも何となく理解出来た。
僕の両親は兄さんばかりに目を向けるようになり、僕は常におまけのような扱いとなっていった。
でも兄さんからすればそれは重圧でしかないのか、僕に八つ当たりするようになって、僕と兄さんとの仲に亀裂が入り、最早僕の理解者はワームモンくらいしかいないと思っていたのだけれど…ある日…僕は永遠の友を手に入れた。
「大輔、ヒカリちゃん…結婚…本当におめでとう…2人共…絶対に幸せになるんだよ」
目の前にいる2人に僕は優しく微笑んだ。
「ああ、ありがとう」
「ありがとう賢君」
対する2人も笑顔だった。
彼らとの出会いが僕の未来を優しい物に変えてくれた。
多分、大輔達に会わなかったら…僕はきっと兄さんのように暴走していたかもしれない。
隣でヒカリちゃんと会話をしている京さんを見遣りながら、僕はこの出会いに感謝した。
《高石タケル》
僕が大輔君達と出会ったのは1999年の冒険の夏の日だ。
初めて会った時、僕達よりもデジモンに関わっていた大輔君達は本当に頼りになる存在だった。
あの時の僕は本当に体力がなくて、大輔君達にも沢山迷惑をかけちゃったけど、大輔君達はそんな僕に嫌な顔を1つしないで待ってくれていた。
僕よりもずっとずっと先にいる大輔君達に焦って兄貴の優しさに反抗してしまったりしたけど、大輔君達は慌てる必要なんてないって言うかのように僕のペースに合わせてくれた。
背伸びなんか無理してしなくて良いんだってことを教えてくれた。
「ありがとう大輔君」
「ん?何だよいきなり?」
「昔から、君やヒカリちゃん達には沢山面倒をかけちゃったよね」
「何言ってんだよタケル。俺達は仲間だ…助け合うのは当たり前だろ。それに俺達だってお前に助けられたんだからおあいこだ。」
「そうだね、ありがとう大輔君。ヒカリちゃんと幸せになってね」
「おう」
今まで助けてくれた大輔君達…彼らが困った時は僕は全力で助けると心に誓った。
《井ノ上京》
うーん、こういう時はどういう風に言えば良いのかしらねえ。
目の前にいるドレスを纏うヒカリちゃんは本当に同性の私でも素直に綺麗だって言える程。
私の知るヒカリちゃんは大輔達と仲良くて、大輔達と一緒にいる時は普通の女の子だって思うけど、デジタルワールドにいる時は本当に凛とした所を見せたりして、何時もドジばかりでパニクる私とは対象的だった。
正直、そんなヒカリちゃんにコンプレックスを抱いたことだって少なくない。
でも本当に仲良くなれたきっかけは賢君とお付き合いしてからで、初めての恋愛と言うこともあって身近に相談出来そうなのがヒカリちゃんしかいなかったからだ。
話してみるとヒカリちゃんは親身になって相談に乗ってくれた。
自分の体験談を用いて話してくれるからヒカリちゃんも最初は自分と同じ気持ちで大輔とお付き合いをしていたらしい。
話していくうちにヒカリちゃんも私と同じで女の子なんだなあって心から思ったわ。
『聞いて下さいよ京さん!私、昨日ようやく大輔君と腕を組んで歩けたんですよー!!他にも、一緒に買い物してデートのためにお洒落した服が似合うって…』
大輔とのデートの話を聞いた当時の私。
人が聞けばたかがと思うかもしれないが、当時のヒカリちゃんからすればそれは本当に大事なことだったの。
何せ大輔は常に忙しく動いているしね。
ジュンさんやらブイモン達の喧嘩の仲裁、他にも学校生活や将来に向けての努力、デジタルワールドでみんなに指示と…正直何時何処で大輔は休んでいるんだろうと本当に不思議に思ったもん。
良く過労死しないわね…だから結果的に大輔とヒカリちゃんが一緒にいられる時間は普通の恋人からすればかなり少ない。
ブイモン達も分かってるんだけど喧嘩してしまうんだからどうしようもないわよね。
正に犬猿の仲だわ。
だから、こういう些細なことで喜ぶヒカリちゃんは本当に可愛くて、応援したくなっちゃったのよね。
寂しい思いもしたかもしれないけど、その甲斐あって結ばれた目の前のヒカリちゃんに私は尋ねた。
「ねえ、ヒカリちゃん」
「何ですか京さん?」
「幸せ?」
それを聞いたヒカリちゃんは一瞬、キョトンとした後に眩しいくらい幸せそうな笑顔で頷いた。
「世界で一番幸せです」
その笑顔を見た私は、とても満足感を覚えたわ。
ちょっと大輔、こんな良い子のヒカリちゃん泣かしたらただじゃおかないからね!!
《火田伊織》
僕は大輔さんとヒカリさんの晴れ姿を見て、昔のことを思い出していました。
大輔さんとヒカリさんと賢さんは昔の僕からすればヒーローだったんです。
誰にも見えないデジモンからみんなを守る当時の大輔さん達の後ろ姿は僕よりも少し大きいくらいだったはずなのに、警察官として働いているお父さんと同じくらいに大きく見えたんです。
ブイモンもワームモンも僕にブイモン達が暮らしていた当時のデジタルワールドの話を聞く度に僕はデジタルワールドを見てみたいと思いました。
そして僕が選ばれし子供となって大輔さん達と行動を共にするようになってからは、毎日が好奇心を刺激する毎日で僕は子供らしくはしゃぐこともありました。
ただ、当時の僕は良くも悪くも今以上に頑固だったので、そのせいで大輔さん達に迷惑をかけてしまいましたが。
そして今の僕は背も大きく伸びて、大輔さんとあまり背丈の差はありません。
でも今でも大輔さんを大きく感じます。
やっぱり僕達のリーダーだったからでしょう。
僕は大輔さんに歩みより、ヒカリさんとの結婚の祝福の言葉と一緒に大輔さんに伝えたいことを伝えました。
「大輔さん、ヒカリさんとのご結婚…おめでとうございます」
「おう、サンキュー伊織。」
僕の言葉に大輔さんは優しく笑って答えてくれました。
この笑顔は昔から変わらないです。
「大輔さん、僕はあなたのように大切な人を守れるくらいに身も心も強くありたいです」
僕だって今では彼女もいるんです。
僕の頑固な部分も含めて僕を受け入れてくれる大切な人なんですよ。
だから僕は大輔さんのようになりたいと思うんです。
それを聞いた大輔さんは優しく、昔の僕にしてくれたように頭を撫でた。
「無理して俺のようにならなくていい。お前はお前のやり方と進み方で守れよ」
「はいっ!!」
大輔さんの言葉に頷きながら、僕は大輔さんに力強く返事を返しました。
大輔さん、ヒカリさん…幸せになって下さいね。
僕の気持ちは多分…いえ、絶対この場にいる全員共通の想いだと僕は思います。
後書き
ラストは伊織です。
ある意味最後は大輔達を最も幼い視点で見てきた伊織が締めに最適かなと思いました。
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