こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第26話。変人の転機。
人間ドックにブチ込んだ親父の診断結果が来た。医者曰く、
「即刻入院してください。」
「マジで?」
「マジです。」
肺とか心臓とかが虫息とのこと。てゆうか内蔵全部ヤバいらしい。
一番近い病状は老衰とのこと、全体的な機能低下が著しく、絶対安静を心がけること、ご家族の協力と努力で自宅休養もできること、最後に
いつ死んでもおかしくないと言われた。
「なんか現実味がないんやけど。」
「・・・・」
舞弥姉ちゃんと二人で院内の休憩室で珈琲を啜りながら、晋吾は事実を真に理解できないでいた。
頭の中に浮かぶのは「あのオヤジが?なんかの冗談か?」という疑問。
余りにも普通に生活していた切継が深刻な身体機能の低下に見舞われていたとは露にも感じなかった。
いや、風邪がひきやすかった。すぐに息が切れていた。睡眠時間が長かった。よくよく考えればいくつかその節が見える。
ひ弱だとか使えんとか言っていた俺が恥ずかしい。
「晋吾。」
「ん?」
「実は・・切嗣がこうなった原因があるんだ。」
「なんやと!?」
「親父!!」
「こらこら晋吾、病院は静かにしないとダメだぞ?」
「舞弥姉ちゃんから聞いたで。アリンコにやられたって。」
「アリンコ?」
「・・・・アンリ・マユの呪いのことを話したんですが、アリンコって呼ぶんです。何故か。」
親父はアリンコにやられたらしい。思えば親父に会った時に遭遇した猫嫌いの黒いのがそうなのかもしれない。
まだ冬木に居るか?いるようには感じないが・・・・まぁいいか、どうせ犯人は現場に戻ってくる。
今はそんなことよりも親父だ。
「呪い消せば治るんか?」
「いやどうだろう?もう大分弱ってきていると感じるし・・けど大丈夫。病気は気合で治すんでしょ?」
むんッと胸を張る親父。いや・・今まで確かにそう言い続けたけどさ。
結局親父はひとまず入院することに。数日様子見て自宅休養するとのこと。
この時の俺は、それでもまだ、現実味を感じられず。問題を先送りにしてしまうのであった。
再び桜の咲く季節になった今日この頃。とうとう俺らも2年生となった。
「一緒のクラスだとええのー。シロちゃん。」
「どうだろう?普通双子って一緒のクラスにしないんじゃない?」
結果・・・・違うクラスだった。
「な・・ん・・・・やと」
「あっ、柳洞一成ってニイさんの友達だよね?確か柳洞時の子だっけ?一緒のクラスだ。」
「マジか。超いい奴だからよろしくな。」
一成はシロちゃんと一緒らしい。
「おっ、凛ちゃんと今年も一緒やわ。」
「ふーん」
一生懸命キョーミありませんよーって感じを出しているシロちゃんだが、めちゃめちゃ気にしている。
相変わらず可愛い奴だな。
「と言うことで今年もよろしゅう。」
「・・・・おかしいわね?今日の星の巡りはバッチシだったのに。なんで同じクラスになるのかしら?」
アレじゃね?相手が宇宙そらだからじゃね?
始業式が終わって数日が経った後。
「衛宮家緊急会議よ。」
「姉ちゃんどうしたんー?」
突然姉ちゃんが入院中の親父以外(俺、シロちゃん、舞弥の三人)を集めて緊急会議を始めた。
セブ?洗濯してるよ?
「実は・・・・真祖の姫君が日本に来ているのよ。」
「ッ!真祖の!?」
舞弥姉ちゃんが驚くが、俺とシロちゃんはなにそれー?って感じだ。
「死徒については知ってるな?」
「おうよ舞弥姉ちゃん。前に教えてもらったね。」
「真祖は一言で言えばはじめから吸血鬼だったモノよ。」
あー。そう言えば前にちろっと言ってたかも。真祖にかまれると死徒になるってな。
「んで、姫君ってなによ。」
「んー。説明すると長くなっちゃうんだけど聞く?」
「いや、いいです。」
「ともかくやんごとなき人ってこと?」
シロちゃんの言葉に、まぁそれでいいわと姉ちゃんは言う。結構いい加減になってきたな。姉ちゃん。
「で、なんでこんな会議こと始めたん?」
「結論から言うわ。しばらくの間、門限16時ね。」
「んなアホな!!」
「仕方がないでしょ~っ。真祖の姫が来てるんだから!」
「異議あり!長子の横暴を許すな!説明を要求する!!」
「とにかく寄り道しないで帰ってくればいいの!シロウもしばらく部活休んでね。キリツグの看病とか言えば大丈夫だわ」
「ちょっと姉ちゃん。横暴だよ。」
「イリヤ。それでは晋吾達も訳が分からんだろ。」
舞弥姉ちゃんの助け船。このロリっ子じゃ話にならんわ
「真祖が来ている理由はあの『ロア』なのよ?魔術師だったらしばらくは外にでないわ。」
「いや俺ら『ロア』すら知らないし。」
「簡単に言うと普通の死徒のウン十倍強い奴らが殺し合うのよ?確か三咲町ってとこで、場所は関東首都圏だから遠いけど、用心すること他ないわ。」
「おk。状況を把握した。シロちゃん早く帰ってきてね?」
「うん。分かった」
みんななんかの拍子で火の粉が降りかかるのを嫌がっているんですな。慎重で陰湿な魔術師ならではですね。
あっ、真祖。思い出した。あれか、星が作ったって奴か。吸血鬼だったのか、知らんかった。
ん~、一応親戚(?)みたいなもんだし挨拶しに行った方がいいかね?ほら、裏社会って挨拶が基本(表もだな)みたいだから
と、言う訳でやってきました三咲町。門限は守りますよ?16時にかえりゃいいんでしょ?俺にとって関東に出るぐらいの距離なぞあってないモノよ。ぶっちゃけ日本狭いお。
町に入るとすぐに分かる真祖の存在感。一言、すんげぇ。こんな圧倒的な存在感を何でみんなは感じないんだ?
ああ、自然とリンクしているからか。ある意味納得。人間には無理やな。精霊を感じろって言っているのと同じだし。
こうして真祖がいるであろう。マンションの前に立っているのだが・・・・どうしよう?
多分6階なのだが、その前にはセキュリティが立ちふさがる。セ○ム入ってます。
・・・・うん。凛ちゃんと同じ感じで行くか。真祖ーって呼ぶの微妙だから姫ーって呼ぼう。
ん?呼ぼうと息を吸い込み始めたら真祖が移動を始めた。どうしたんだろ?
しばらくするとエレベーターから降りてきて真っ直ぐこっちに向かってくる。
「・・・・」
「・・・・」
無言である。なんか言え。
しかし、アホみたいな美人である。まつ毛なげ―。胸でけー。あと金髪からの光の反射具合がヤバい。キラキラ―。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
まだ無言である。あと目線がブリザード。
「こんにちは」
「・・・・・・・・こんにちは」
しゃべった!しゃべったよ!!
「何しに来た。アポストロス」
「ほ?挨拶に来ただけやで?あっ、これつまらないものですが」
そう言っていせんべいの詰み合わせと玉露を差し出す。失礼のないように上のほうを買ってきたぜ。
「貰っておく。」
貰ってくれるらしい。
「・・・・うち来る?」
「ご厚意に甘えさせてもらいます。」
そのあと20分ぐらい俺がもってきたせんべいを片手にお茶を二人で飲んだ。
んで、「また来るわ―、なんかあったら呼んでなー。力になるでー」っていったら「うん。分かった」って言ったのを確認して家に帰った
見送りは不要。もうすぐで3時半だから、流石の俺も急がんといけないのですよ。最近姉ちゃんが姉の貫禄が出てきたのか怒ると怖いのよ。
「てなことがあったんよ」
「・・・・どう考えても嘘だと思えるのに、あなただったらって考える自分が憎い。」
昨日の姫に会ったことを凛ちゃんに言ったらこう言われた。凛ちゃん。そんなに自分を責めたらあかんで?
「そう言えば、分かってると思うけどしばらく私は同好会出られないわよ?」
「おー。凛ちゃんはことが終わるまでじっとるんやな」
「当たり前でしょ?過去にも巻き添え食った奴らもいるのよ?」
凛ちゃんは真祖の件が終わるまですぐに家に帰るとのこと、本格化し始めたら学校も休むってさ。
「まぁ、安心して新入生の方は任せとき。」
「こんな同好会来る人いるのかしら?」
「来たら来たで、来なかったら来なかったでええと思ってるから別に平気や」
「まぁ、そうね。別に人数いなきゃ出来ない訳じゃないし・・」
「そんな所や。じゃ凛ちゃんまた明日なー。」
「ええ。さようなら」
無駄に優雅に挨拶して帰る凛ちゃんであった。
先ほどの会話からも分かる様に、今日から新入生の部活動の参加が始まる。
しかし、正直勧誘とか乗り気じゃないため、いつもの教室の前で一成と作った奴で遊んでいるだけだが。
「おー、一成まってたでー」
「何してるんだ?」
「二足歩行式無線ラジコン熊。『クーちゃん』を散歩させてるんねん」
そう言ってコントローラを操り、一成の足元まで前進し、一成の足にソッ・・っと手を添えるクーちゃん。
「・・・・なんか可愛いな」
「そうやろ?2号機『マー君』を作ってあるさかい。部屋から椅子と一緒に取ってき」
「ホントか?」
そうして二人で熊を散歩させていた。一成は始めラジコン操作に苦戦していたがすぐに慣れたようだ。
おかしいな。二足歩行でしかもちょっと大きい(普通のぬいぐるみサイズ)から普通のラジコンよりもはるかに難しんだけど・・・・このチートめが!
俺だって自分で作っておいて、なれるのにっていうか普通に歩かせるのに時間がかかったのに・・・・
若干ひねくれながらクーちゃんはずがずが歩いて行く。歩いて行く。しばらくして、・・・・・・・蹴られた。
「「「あっ」」」
俺、一成、蹴った人物が同時に声を出しクーちゃんは足を260度開脚し、右腕を120度回した状態で地面を熱い抱擁を交わした。
「クーーーーゥウウウウウ!!」
「え・・あ・・・・」
「大丈夫かクー!返事するんや!」
そう言ってコントローラの中央のボタンを押す。
『クゥ~~~~~~』
「クーお前って奴は・・・・」
晋吾が勝手にし始めた一人芝居にオロオロとしていた加害者Aは一成になだめられていた。
「少女よ。落ち着くんだ。こいつのことは無視してかまわん。」
「え・・でもこの子怪我しちゃってる・・・・」
「安心せい。このぐらい余裕で直せるわ」
そう言うと少女は幾分か落ち着きを取り戻したようだ。
「そうですか」
「・・・・なあなあ。嬢ちゃん」
「?何でしょうか?」
「なんか作るの興味あらへん?」
「え?」
「晋吾。嬢ちゃんとか失礼だぞ」
「何いっとるんねん。お前やて少女とかぬかしてたやろ」
「ぬっ。これは失礼。」
「あっ、私、間桐桜です」
「柳洞一成だ。」
「晋吾や。衛宮晋吾やで」
間桐姓で衛宮って名前で反応したってことは、あの家のご息女ですねありがとうございます。でも、そんなの細かいことは気にしない。
「同好会。入らへん?」
後書き
いつまでもつかキリツグ!実は原作キリツグはこの時期(士郎中2)ではもう死んでるんですよね。
原作5年前ですから中1の時点でお亡くなりになっているはず。ここまでキリツグを生かせているのは何か?それは気合という名の家族への愛です。とか言ってみる
まぁ、とりあえず晋吾の血による治療は絶対にないと断言しておきます。
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