こんなチートでもありですかい?そうですかい。
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第25話。変人とセバスチャン。
前書き
エーテルに関して自己解釈が少々。深く考えないでくれると幸いです。
「なぁ・・・・マスター。」
「なんやセブ。」
正月も終わり、2月の中旬に差し掛かった頃。晋吾は自室兼研究室で何やら作業をしていた。
ちなみに和室である。和室におかれたパソコン数台はわりとシュールであった。
話しかけたのはもはや置物と化しているホムンクルスのセブ。好きに呼べと言っていたが、まさかマスターと呼ばれるとは・・
「私の体はいつになったら出来るのだ?」
そう。実はこのセブ、まだ達磨状態でなのだよ。
「んー。もう少しや。」
「この間もそう言っていたぞ。腕と足の動作実験だったか?あれは成功したのではないのか?」
実は四肢を1つずつ取りつけての動作実験は成功した。
魂と肉体を結ぶ精神及び神経を疑似的に形成させるエーテル。ホムンクルスの鋳造の時にも使われるらしい。
姉ちゃんは『知識』はあるけど技術がないため、セブの魂と機械の腕をエーテルでつなぐことができないとのこと。
仕方がないので爺ちゃんに聞いてみた。そしたら広辞苑10冊分ぐらいの本が送られてきた。ちょっと感動した。
二人で10月あたりからあーだこーだ言い合って先週、何とか作ることができた義手・義足の様なもの。
セブにつけて、指やら関節やらが動いた時は二人で飛びまわって喜んだ。フッ、やはり開発はいい・・・・
しかしエーテルとやらは反則だ。魔術協会において第五架空元素であり、すべての物質の素であるエーテル。
これに熱・冷、湿・乾の要素が加わることで風火水地の四要素になる。四大の要素に溶け合い、形を成す為に必要な媒介とされる。
魔術の世界で言うエーテルはこんなものだ。簡単に言うとこれがないと魔術が成立しないというもの。
しかし、科学的見方は違う。俺から言わせるとこれは高性能情報変換粒子とでも言うか?
ちょっとした科学的な話になるが、こいつがあれば8バイト64ビットの情報が、一瞬にして膨大な数に変換できる。しかも逆も可能ときている。
正直これさえあれば人工知能なんぞ余裕だ。人の思考情報も演算できる超高性能CPUがあるからな。
どーしよー。めっちゃ使いて―。科学的なアプローチでのエーテルの証明は・・・・多分可能。
2・3年ぐらいの時間はかかると思うけど何となく筋道は見えている。
しかし、そんなことしたら魔術側の攻撃が半端なくなることは必然。シロちゃん達も危なくなる。
クッ!こんな裏コードみたいの知りたくなかったわ。やりたいけど我慢我慢。・・・・最終手段としておこう。
まぁ、とりあえず実験は成功したのだ。しかし、まだセブが達磨である理由は・・・・
ぶっちゃけ出来具合が気に入らなかったからである。
それもそのはず、晋吾がかつて製作していた時はある程度材料工学が発展していて、より柔軟な運動を見せた。
簡単な話、ウィーンガチッガチャガチャ、と言った鈍い機械音が何とも言えないのだ。
まぁ、駆動音にロマンを感じないわけではないが、俺が目指しているのとは違いのだよ。
「と、言うことでなんかないの姉ちゃん?」
「柔軟性がある金属ね~。お爺様に聞いてみましょっ。」
「お~。」
爺ちゃんフル活用である。ちなみに始めの材料も爺ちゃんから貰いました。爺ちゃん大好きだぜ。
2月14日。女たちの・・いやある意味男たちの聖戦でもあるバレンタイン当日。
そんな中、晋吾と凛はいつもの部室で・・・・
「うめぇ」
「中々美味しいわねこのチョコレートケーキ」
「おう。舞弥姉ちゃん御用達のケーキ屋さんのや。」
いつものようにのんびりとしていた。ちなみにケーキは晋吾が買ってきた。
クラスメイトにはバレンタインでなんか動揺しない熟練カップルとして見られ、男子からは羨望を、女子からは尊敬の視線を浴びていた。
が、二人は「そんなこと知ったこっちゃねぇ」といった様子。
実際、
「これバレンタイン割引で安かったんよ。」
「へ~。私も買いに行こうかしら?」
「そんな金あるんかい?」
「・・・・馬鹿にしてるの?」
こんな感じである。お前ら中学生か?
「ところで凛ちゃんはチョコ誰かにあげたん?」
「・・・・誰にもあげてないわ」
「あれか。高嶺の花を演じているとチョコもあげられないんやな。」
バッカでーって顔をしてたらレイガン打たれた(ガンドって言うらしい)痛くも痒くもないのでそのままケーキをパクつく。
凛ちゃんも何度も経験して(遠坂邸にて。始めは驚くってレベルではなかったが)悟ったらしく、平然としている俺に突っ込みも入れなかった。
「義理チョコぐらいやったらええのに。」
「なによ。私があげようがあげまいがあなたに関係ないでしょ?」
「クラスの連中めっちゃ狙ってたんやん。」
比喩ではなく、クラス一の美少女である凛は今日一日、監視と言うほどの目線を受けていた。
スゴイ勢いでアピールしてくる奴もいて、本来ならうざったらしくってありゃしないのだが、そこは我らが遠坂凛。華麗に綺麗に優雅にスル―した。
ちなみに、何故晋吾がこんなことを言ってくるのかと言うと、若い子の恋愛を酒(今飲んでいるのは紅茶)のつまみにするおっさんくおりてぃーが発動しただけだった。
「所であなたは貰ったの?」
「おお。何個か貰ったで」
自他ともに認める変人である晋吾だが、フレンドリーになった席周辺の娘とかに貰ってたりもしていた。
意味合いとしては一成のおこぼれと言うのが近かったりする。
「へ~。ふ~ん。そう。」
「俺。凛ちゃんからも欲しかったんやけどなー」
「え?あ・・・・ん・・ゴホン。そっ・・そう?」
「マブダチなのに義理チョコくれないのはないわー」
「・・・・なんか釈然としないわね。」
まぁ、恋だの愛だのそんなのかんけーねぇいつもの晋吾であった。
ちなみに士郎は、兄も凛からチョコを貰っていないことを知り、
まだまだ望みはあると、来年はもっと凛ちゃんと仲良くなることを強く決意するのであった
爺ちゃんから頼んでおいた素材が来た。
ダマスカス鋼だってさ。・・・・包丁でも作れと言うのか?木目状の模様を持つ金属を見る。
「へぇ。ダマスカス鋼なんて流石お爺様ね。」
マジで?姉ちゃん曰く、柔軟性に富み、木目に沿って容易な魔力伝達が可能な金属とのこと。
「爺ちゃんからくるからファンタジー鉱石が来るもんだと思ってたわ」
「ファンタジー鉱石?」
「ミスリルとかオリハルコン的な。」
「んー。でも一般的にダマスカス鋼は製造方がはっきりしないという神秘が含まれているわ」
え?ああ。そうか、この世界ではまだ分かっていないのか。魔術師たちが神秘を減らさないように化学的研究をさせないとか?
気を取り直して製作に入る。ダマスカス鋼は刀剣の金属として有名で、
もし絹のネッカチーフが刃の上に落ちると自分の重みで真っ二つになり、鉄の鎧を切っても刃こぼれせす、柳の枝のようにしなやかで曲げても折れず、手を放せば軽い音とともに真っ直ぐになる
なんて伝説もあるぐらい有名である。まぁ、海外版日本刀のようだ。
この世界だからか知らんが、その伝説が誇張ではないことが分かった。本当に柳の枝みたいにしなって戻った。ねぇわ。って思った。
ありえねーと思ってもこの柔軟性は非常に助かる。と、言うことで。
「シロちゃん。複製頼む。」
「ホントにいいのか?こんなことして?」
「ダイジョーブデース。」
不安を煽る博士のような発言をしてシロちゃんに投影を促す。なんかあった時のストックは必要なのだよ。おもに壊れた時とかね。
ちなみにシロちゃんは金属の投影が得意らしい。一番楽なのは銅だってさ
親父曰くだけど属性が金属なんだと。なんかカッコいいよな属性・金属。・・・・やっぱ厨二か。
2回目なのでサクサクと作業が進み、1週間後、完成に至る。
「どう?セブ」
「うむ。悪くない。新鮮な感覚だな。」
「う~~ん。ええんやけど・・う~~~~ん」
びみょーだ。腕や足のしなやかさは完璧。まるで人間見たいだ。しかし関節部が微妙。結果としてバランスが・・・・
「少しぐらい妥協しなさい晋吾。セブだって、いつまでも達磨さんじゃ可哀想じゃない。」
「な・・んだと?」
姉ちゃんに諭されるとわ・・・・
「まぁ・・我慢するかの。改めてよろしゅうな。セバスチャン」
「ああ。今まで働けなかった分存分に働くぞマスター。」
働きもののセバスチャンであった。
3月に入りかけたある日の晩こと。
「親父。人間ドックって知ってるか?」
「人間・・ドック?犬?」
「確か日本語訳は船渠せんきょやったかの?」
「・・・・もしかして病院?」
「Yes」
そう言うと逃げようとする親父。しかし舞弥姉ちゃんに拿捕される。どこに逃げようと思ったんだ?
「放すんだー。放すんだ舞弥ー。」
「すみません切継。しかし、私も不安なのです。」
「え?何?切継さんどこか悪いの?」
「それを調べてもらうのが人間ドックやろが」
パタパタと暴れる親父を抑える舞弥姉ちゃん。なんかシュールだ。
「まぁ、ええ。明日行くからな。」
「明日!?」
「おう。もう病院はおさえてるんよ。」
「ニイさん相変わらず行動が速いな。」
「それが俺の強みです。」
特に深く考えず、親父ぐらいの年齢なら定期健診ぐらいしないとなーと思っていた晋吾。
しかし、この行動が衛宮家を大きく動かすとは露にも思えるはずがなかった。
後書き
セブようやく動けるようになるの巻でした。彼は衛宮家の名執事として働き、のちに赤い弓兵の師(弓のではない)となるとかないとか。
そしてさりげなくバレンタインイベント実行。中1ではこんなもん。年々、年を重ねていくとともに起こる変化に注目!!ってところでしょうか。
そして切嗣病院フラグ。舞弥の心情としては確実に悪い結果だろうと分かっているが、実際どの程度なのか知りたいって言ったところ。
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