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レーヴァティン

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第七十話 セビーリアに向かいその十二

「カトリックでござったが」
「別に他の宗教や宗派弾圧してなかったな」
「はい、そこは弁えていたでござる」
「暴走はしてなかったんだな」
「左様、しかし宗教が暴走するとでござる」
「これまで話した通りだな」
「暴走した正義はその時点で正義ではなくなるでござる」
 進太はこのことは厳しい声で言った。
「邪悪になるでござる」
「それその通りだよな」
「暴走しても正しいことをしていると称する輩がいれば」
「そいつはこれ以上はないまでに馬鹿だな」
「重く用いては駄目でござる」
「無能な働き者は向いている仕事に就ければ有能な働き者になってもな」
「どうしようもない輩は違うでござる」
 人格でそうした輩はというのだ。
「腐り果てた輩やそうした輩は」
「無能な働き者どころじゃないな」
「害毒でござる」
 それに他ならないというのだ。
「皆殺しにして神が見分けられるなぞと言う輩も然りでござろう」
「そういう奴こそ殺すべきだよな」
「まず最初に」
「それか追放か」
「殺すのは最終手段でござるな」
「そうそう殺すのもよくないよな」
「無益な殺生は避けるべきでござるよ」
 進太はこのことは忠告した。
「それも政でござる」
「そうだよな、ただな」
「殺すしかない様な外道がいるのも事実でござる」
「それこそ暴走しても正義とか言う奴はな」
「自分自身を振り返らないでござる」
 あくまで自分の行いが正しいと信じ続けるというのだ、それがどれだけ残虐か醜悪な所業になろうとも。
「だからでござる」
「もうそれこそな」
「殺してもでござる」
 例えそうしてもというのだ。
「仕方ない場合もあるでござる」
「それも政だよな」
「ましてや無差別な虐殺を容認するなぞ」
 アルビジョワ十字軍の際のバチカンからの使者の様にだ。
「生かしていけはいけない場合もあるでござる」
「最終手段としてか」
「そうもなるでござる」
「やっぱりそうか、しかしな」
「出来るだけでござる」
「殺さない方がいいな」
「そうした連中みたいに無闇はでござるよ」
 こう注意した進太だった、そうした話をしつつだった。
 久志達を乗せた船はローマから順調にセビーリアに向かった、途中モンスター達も出たが彼等の敵ではなかった。


第七十話   完


                   2018・6・15 
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