DQ5~友と絆と男と女 (リュカ伝その1)
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61.見た目に騙されるな。
<ボブルの塔>
ポピーSIDE
お父さんが怒ったところを初めて見た。
凄く…怖い…
でも、お父さんは怒るのが嫌いなんだと思う。
だって、今のお父さんは凄く悲しそう…
本当はきっと、モンスターでも殺したくないんだと思う。
ゲマが消え去った跡に、キレイな小さい石が2つ落ちていた。
「お父さん!きっとこれが『竜の目』だよ!塔の中にあった竜の像の目にはめ込むんだと思うわ!」
私はなるべく明るい声で話しかけた。
「わぉ!ポピーちゃん鋭い!さすがはリュー君の娘!」
スノウがお父さんに抱き付きながら明るく喋る。
きっとスノウも、いつものお父さんでいてほしいんだ…
だから戯けて話しかけているのだろう。
さっきまでお父さんにベタベタするスノウが嫌いだったけど、ちょっと好きになっちゃった。
それにしてもベタベタしすぎよね!
ゴレムスくらいある竜の像の頭に竜の目をはめ込むと、口が開き中に入る事が出来た。
お父さんは「趣味悪い仕掛けの像だな…これを造った奴とは友達になりたくないね!」だって。
いつものお父さんに戻ってくれたみたいで良かった。
中には『ドラゴンオーブ』が奉られてある。
「これがプサンの言ってた物かな?」
「多分そうだと思う。凄いパワーだね!」
ティミーがドラゴンオーブを手に取り眺める。
「じゃぁ…こっちの杖は何だろう?」
お父さんは奥に飾ってあった竜の姿を形取った杖に近付き興味ありげに突いてる。
「剣…無くなっちゃたし…貰っても…いいかな?」
そう言いながら杖を手に取り構える。
カ…カッコイイ!!
「キャー!!ちょ~格好いい!!それもうリュー君の為だけに存在している物よね!『貰っちゃう』どころかリュー君の持ち物よ!」
誰も反対意見を言わない…
当然だ…誰がどう見てもお父さんの為に存在している杖だ。
「伝説の勇者より…ティミーより格好いい…」
王者のマントを靡かせ、竜の杖を持つ姿は伝説の勇者を超えた存在にしている。
「ちぇ!天空の鎧が揃えば僕だって!」
私の呟きにむくれるティミー…子供ねぇ~…
ポピーSIDE END
<天空城>
天空城へ戻ってくると、何やら皆さん大騒ぎ中。
一旦グランバニアへ戻って出直そうかな?
「おぉ!リュカ殿!!ちょうど良い時に!」
やべ!見つかっちった!
「実はこの城に不審者が居たのです!」
尋ねて無いのに教えてくれた。
「へー…」
「どうぞこちらへ!」
天空人が俺の手を引き歩き出す。
ちょ、何で俺が!?
関係無いじゃん!
「あ、あの…何で僕を連れてくの?」
「その男が不届きにもリュカ殿の名を出したのです」
別に名前くらい幾らでも出してよ!
巻き込まれたく無いよ~…
玉座の間に来ると、数人の天空人に囲まれて、何やらいい訳ぶっこいているプサンが居た。
不審者ってアイツ!?
プププッ…20年間もトロッコで回ってたから人相が変わっちゃたのかな?
プサンと目が合うと、瞳を輝かせて俺の元へ近付いて来た。
「リュカ!待ってましたよ!それでドラゴンオーブは?」
ティミーの腰の袋からオーブを取り出しプサンに見せる。
「おお、まさしく「そ、それは…ドラゴンオーブ!!」
天空人達がざわめき出す。
「いけませんぞ、リュカ殿!ドラゴンオーブを素性の知れぬ者に手渡しては!!」
何だよ…今まで休眠していたクセに、偉そうに命令するなよ!
「大丈夫だよプサンは。変な人だけど悪い人じゃ無い。ちょー変な人だけど…ものっそい変な人だけど…」
俺は苦笑いのプサンにオーブを渡す。
オーブを受け取ったプサンは、オーブを抱き締め瞑想をする。
するとプサンが眩く輝きだした!
次の瞬間、プサンは消え…巨大な黄金のドラゴンが目の前に佇んでいた。
………何これ?
<天空城>
ピエールSIDE
私達の目の前に、神々しい黄金のドラゴンが姿を現した。
な、何だ…
「マ、マスタードラゴン様!!」
天空人の一人が驚き叫んだ!
マスタードラゴン!?
この天空城の主、マスタードラゴンだと!?
「何これ?…マスターベーションって言うの?」
「やだー!リュー君のエッチ~!!」
こ、この馬鹿共!!
「馬鹿者!!この方はマスタードラゴン様だ!竜の神、マスタードラゴン様だ!!」
分かってんのかバカ!
「え?プサンだよ。眩しかったけど見てたもん。このマスターベーションはプサンだよ」
だから、プサンがマスターベ…違った、マスタードラゴン様なんだ!
「マスタードラゴンだ、馬鹿!間違えるな!」
「どっちでもいいよ、そんなん。それよりプサン!お願いがあるんだけど…」
ど、どっちでもよくないだろう!
「何かなリュカ」
マスタードラゴン様も怒る様子もなく、リュカの不躾な発言に対応する。
「うん。ドラゴンオーブと一緒に、この杖もあったんだけど…貰っていい?」
「無論だ。その杖は『ドラゴンの杖』と言う。扱える者が所有するべきだ」
何でこの男は神に対してタメ口なんだ…
「それとさぁ…セントベレスの山頂に登りたいんだけど…何か方法無い?」
せめて物を頼む時くらいは、敬語を使ってもらいたい…
「私が皆を送り届けよう」
「まぢ!?大丈夫?結構高いよ?」
「私を見くびらないでもらいたいな」
「だって…20年間もトロッコで回っていたんだもん!」
天空人を始め、ティミー、ポピー、サンチョ殿…みんな直立不動でマスタードラゴン様を見つめている。
何時もと変わらないのはリュカと、リュカにまとわりつく馬鹿女だけだ。
ピエールSIDE END
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