DQ5~友と絆と男と女 (リュカ伝その1)
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62.一つの事に気を取られると、周りが見えなくなる。よくあるよね。
<大神殿>
ティミーSIDE
僕達はマスタードラゴン様の背に乗ってセントベレス山頂上の光の教団大神殿に降り立った。
空気が薄い…
僕もポピーもあまり動いていないのに、肩で息をしている。
「私はここで待機してよう」
「そだね。プサンのその身体じゃ建物内に入れないもんね」
プサンじゃなくてマスタードラゴン様なんだけど…お父さんは気にしてない…
マスタードラゴン様と別れ神殿内へ入ると、入口すぐの脇の部屋から懐かしい感じが漂ってきた…
「お父さん…こっちの部屋に何かある」
僕はそう声をかけると勝手に部屋へ入っていった。
部屋の中には神々しい鎧が飾ってある。
間違いない…『天空の鎧』だ!
僕はふらふらと天空の鎧に近付いていく…すると突然頭上で金属がぶつかり合う音が響いた!
僕の頭の上に、この部屋を警備しているシュプリンガーの剣が振り下ろされ、それをお父さんが防いでくれていた…
僕はシュプリンガーの存在に全然気付いていなかった!
ピピンとピエールの連撃によってシュプリンガーはあっさり倒さる。
「ちょっと、ティミー!油断しすぎよ!ここはもう敵地なんだからね!」
ポピーに怒られてしまった…
お父さんは優しい笑顔で頭を撫でてくれる…まだまだ子供だって意味だろうか…
悔しいなぁ…
ティミーSIDE END
<大神殿>
ポピーSIDE
大神殿の礼拝の間は異様な雰囲気に包まれていた。
奥にある祭壇に向かい、大勢の信者が祈りを捧げている…
でもみんな変!
生気を失った様な光のない瞳で操り人形みたいにお祈りをしている。
祭壇を見ると黒髪の教祖らしき女性が、更に奥のご神体の様な石像に祈りを捧げている。
「あれは…まさか…」
お父さんは独り言の様に囁くと、信者の群れを掻き分けて祭壇まで歩き出した。
私達は慌ててお父さんの後に続く!
「ちょ、リュカ!待ちなさい!迂闊に行動したら危険よ!」
ドリスは後を追いながら呼び止めるが、お父さんは振り向きもせずひたすら進み続ける。
祭壇に辿り着いたお父さんは、何かに取り憑かれた様に前だけを見ている…私達の声が聞こえてない様だ…
教祖らしき女性が、こちらへ振り返り微笑みながら手を差し伸べる。
「リュカ…一目で貴方だと分かりましたよ。私はマーサ…貴方の母です」
母!?マーサ!?
目の前の女性は自身をマーサだと名乗った…お父さんの母だと告げた!
違う気がする…理由は分からないけどイヤな感じのする女性だ…
お父さんは一歩ずつ前に進む…マーサと名乗る女性の方へ…
「お前には苦労をかけましたね。パパスに…あんな男に任せたのが間違いです。本当にごめんなさい」
お父さんは何も反応しない…パパスお祖父様の悪口を言われたのに!
お父さんはお父さんじゃ無くなってしまったのか!?
「さぁ、リュカ!母と一緒にイブールさ「ちょっと邪魔!退けよ、おばさん!」
え!?
みんなも驚いている…私達だけじゃなく、マーサと名乗る女性も…
「ここに居たんだ…やっと見つけた!見つけたー!!」
お父さんは奥にあるご神体を掲げ、喜び踊り出した!
いったい何事!?
「リュ、リュカ!それはこの大神殿の神聖なるご神体です。元の場所に戻しなさい!」
マーサと名乗る女性は、厳しい口調でお父さんを叱咤する。
「違うよ。ビアンカだよ。僕の奥さんのビアンカだよ」
ビアンカ!?
お母さんなの!?
その石像は私達のお母さんなの!?
「リュカ!その石像を戻しなさい!お前は私と共にイブール様に仕えるのです。元へ戻しなさい!」
マーサと名乗る女性は、しつこくお母さんの石像を戻す様に怒鳴り散らす。
「ヤダよ、バ~カ!つか、お前誰だよ!?」
………どうやらお父さんは、お母さんの石像に気を取られ、さっきまでの話を聞いていなかった様だ…
ティミーと同じ…一つの事に集中すると、周りが見えなくなる…親子ねぇ~
「わ、私はお前の母、マーサです!」
「あ゛?何言ってんの?バカなの?お前のどの辺がマーサなの?目が濁ってんじゃん!どうせ低俗なモンスターが化けてんだろ!バレバレだつ~の、バ~カ!!」
この状況を勝手に不安がっていた私は馬鹿みたいだ…
お父さんが凄すぎるのかなぁ?
もうよく分からない…
「て、低俗…低俗だと…」
マーサ(偽)は、わなわなと震え邪悪なオーラを放っている。
お父さんが言った通りモンスターが化けている様だ!
「何だ?何震えてんだ?………おしっこか?おしっこ我慢してんのか?我慢すると身体に悪いぞ!待っててやるから行ってこいよ!」
お父さんは敵を挑発するのが上手い…ブオーンの時も挑発してた…
でも、あの時はナチュラルだったからなぁ…
今回のはわざとだよね!?
だってありえないもの…この状況で…
普通おしっこと間違えないもの…
「おのれ…馬鹿にしおって…人間風情が!」
マーサ(偽)の身体が3倍くらいに膨れあがり、そのおぞましい姿を露見させた!
「おわ!!何か膨れちゃったぞ!だからおしっこ我慢するなって言ったのに!」
どうやら今回もナチュラルだった様です…
ポピーSIDE END
<大神殿>
「おのれ…馬鹿にしおって…人間風情が!」
おばさんの身体が3倍くらいに膨れあがり、一つ目の化け物に変わった!
「おわ!!何か膨れちゃったぞ!だからおしっこ我慢するなって言ったのに!」
この世界じゃ、おしっこ我慢しすぎると化け物になるのか…気を付けよ!
「我が名はラマダ!イブール様の忠実なる僕!貴様らをこの場で滅ぼしてくれる!」
ラマダと名乗る化け物は手にしたこん棒を振り回し、強烈な攻撃を繰り出してきた!
俺はビアンカ(石像)を抱え、逃げまくる!
ティミー、ピピン、ピエールの三人が斬りつける!
俺はビアンカ(石像)を抱き抱えたまま、飛びはね逃げまどう!
ポピー、マーリン、サーラが魔法を浴びせ続ける!
俺はビアンカ(石像)と一緒に後方で待機する!
ゴレムスがラマダの鳩尾に強烈な一撃を入れ、ゴレムスを踏み台にしたドリスがラマダに延髄切りをカマし、ドリスの背中にしがみついていたプオーンが激しい炎でトドメを刺す!
俺はビアンカ(石像)のオッパイを揉む!堅くてつまらん!
俺一人だけ戦闘をせず後方へ避難してたので、みんなが非難する!
「ま、まぁまぁ…そんな事よりさ…これ…どうやって戻すの?堅いオッパイはつまんないだけど…」
みんな呆れてくれた。
怒られるより呆れられた方が良い。
「くっくっくっ…そ、その…石像には…」
まだ息のあるラマダが何か言い出した。
「その石像には…イ、イブール…様…の…呪いが…かけられて…いる…」
「で?」
「イーブル様…がご健在…の…限り…お前の…つ…妻は…石…の…ま…ま…」
そこで力尽きた。
わざわざありがとう。
イブールを探し出そうと思ったら、信者(元奴隷)達の正気が戻り騒ぎ始めた。
ちっ!めんどくせーなー!
取り敢えず近くにいた信者(元奴隷)に話しかけ落ち着かせる。
すると有力情報ゲット!
イブールはここの地下に居るらしい。
しかもこの祭壇に隠し階段があるらしい。
この信者(元奴隷)が「貴方は昔僕の家にあった、お守りの像に似ています」って、よく訳の分からん事を言っていたが無視。
ドリスとピピンに信者(元奴隷)達をプサンの元に連れて行き、グランバニアへ連れて行かせる様指示を出した。
でもドリスが…
「何言ってるのよ!私もイブールの所に一緒に行くわよ!」
って、いつもの様に我が儘を言い出した。
さすがにキレたね、俺!
「勝手な事言うな!何時も何時も我が儘言いやがって!」
「な!?」
「彼ら信者(元奴隷)をこのままここに置いておく訳にはいかないだろう!一旦グランバニアで保護するんだ!その為には王族の一員であるドリスが引率しないとダメだろう!」
「そうですよ…ドリス様。グランバニアの兵士である私と、王族であるドリス様が、責任を持って行うべきです。さぁ…参りましょう」
ドリスとピピンは信者(元奴隷)を伴って外へ…プサンの元へ移動して行く。
俺に怒鳴られたドリスは少し涙目だった…後が怖いな…
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