レーヴァティン
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第六十九話 西に向かいその六
「そうだよな」
「はい、教会の法衣がです」
「それか」
「聖骸衣の様に素晴らしい加護がありまして」
十字架にかけられた後のキリストの骸を包んだと言われているその聖遺物と同じだけのというのだ。
「武器も術もです」
「防いでくれるんだな」
「非常に素晴らしい法衣です」
「それが今着ている法衣か?」
久志は夕子が今も着ている枢機卿の紅の法衣を見て尋ねた。
「それがか」
「はい、最初は普通の法衣でしたが」
「枢機卿の法衣に仕立て直したんだな」
「色も紅にして」
「それでか」
「今はこの枢機卿の法衣がです」
「そのまま教会の法衣なんだな」
久志は夕子の説明に納得した顔で頷いて応えた。
「じゃあそれを着て冒険の旅に出るか」
「それだと目立たない?」
清音は久志のその言葉を聞いて微妙な顔になって述べた。
「枢機卿の法衣のままだと」
「そういえばそうか」
「枢機卿ってのは特別だからね」
「王侯貴族にも匹敵する存在だからな」
「だからその法衣のままだと」
「じゃあまた仕立てるか」
「それでしたらすぐに仕立ててくれます」
夕子がまた言ってきた。
「一日もすれば」
「おい、一日でか」
「仕立ててくれる方がローマにおられまして」
「その人に頼んだらか」
「枢機卿の法衣もです」
紅の非常に目立つその法衣もというのだ。
「ごく普通の法衣になります」
「一日でそれは凄いな」
「様々な魔術を使っての仕立てらしく」
「魔術か」
「妖精の力も使うそうで」
その力も使ってというのだ。
「それで、なのです」
「一日で仕立ててくれるか」
「色も自由に変えてくれます」
「そこまで行くと凄いな、殆どな」
それこそとだ、久志は夕子のその話を聞いて述べた。
「青い猫型ロボットの道具だな」
「あちらですか」
「殆どあれだな」
そこまでのものだというのだ。
「あれもとんでもない道具ばかりだけれどな」
「そこまでのものですか」
「一日で魔法の品を仕立てるんだからな」
全く別の外見の法衣にするのだからだというのだ。
「かなり凄いだろ」
「それであの漫画の道具の様だと」
「実際に思ったぜ」
「凄い技術の持ち主なのは確かだよね」
このことは間違いないと言ったのは剛だった。
「じゃあその人に法衣を預けて」
「それで一日で仕立てる間にな」
「君はね」
剛は久志にも言った。
「今のうちにね」
「ああ、業者さんと話してな」
「お屋敷の用意しようね」
「それじゃあな」
久志も剛のその言葉に頷きそうしてだった、彼は実際に業者達のところに行ってそのうえでだった。
ことを済ませていった、そうして言ったのだった。
「じゃあ法衣の仕立てが終わったらな」
「その時は」
「セビーリアへの船に乗るか」
仲間達に居酒屋で話した、夕子は既に法衣を仕立て屋に出していてそのうえで服が仕立てられるのを待っていた。
それでだ、こう言ったのだった。
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