レーヴァティン
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第六十九話 西に向かいその七
「十一人目のいるところにな」
「はい、明日のお昼にはです」
その服を仕立てに出した夕子が言ってきた、見れは今はその法衣ではなく尼僧の黒と白の法衣を着ている。
「もうです」
「服の仕立ても終わってるよな」
「それで法衣を受け取ってから」
「船に乗るな」
「そうなります」
「そうか、ローマからセビーリアはどれ位だ」
「船で五日程です」
「それ位か」
「はい、それ位でです」
「着けるんだな」
「船だとすぐです」
そのセビーリアまでもというのだ。
「実際にです」
「近くてか」
「途中湖にいるモンスターも出るでしょうが」
「陸で行くよりずっと楽か」
「そうなのです」
「よし、じゃあまた船旅を楽しむか」
久志は夕子の言葉を聞いて笑って言った。
「こっちに来るまでそうだったけれどな」
「あの時がもう懐かしくなってるね」
その船旅の話になってだ、淳二は笑ってこう言ってきた。
「ここに来て暫く経ってるし」
「そうだよな、北の方にも行ってたしな」
久志は赤ワインをピザと共に楽しみつつ述べた。
「その頃を思うとな」
「懐かしいよね」
「あの川の船旅もな」
「あの時はギャンブルもしてたね」
「船の中でな」
「ギャンブル!?負けるわよ」
留奈はギャンブルと聞いてすぐに顔を顰めさせてこう言った。
「あんなのしても」
「あれっ、御前ギャンブル嫌いか」
「嫌いよ、だって親戚でギャンブル狂いがいてね」
留奈は久志に応えて自分の親戚の話をした。
「大変なの見てきたから」
「借金作って家族に迷惑かけてか」
「いえ、そこまではいってないけれど」
「ならいいだろ」
「何言ってるのよ、家族もお仕事も顧みないで麻雀に競馬にパチンコよ」
そうしたものに没頭もっと言えば狂ってというのだ。
「それで漫画家してるけど」
「あれか、漫画も描かないでか」
「担当さんいつもまずは雀荘に行ってね」
麻雀を行っているそこに行ってというのだ。
「自宅兼仕事場まで連れて行ってからだったから」
「それがいつもかよ」
「もう大変だから」
「そういうの見てきてか」
「だから言うのよ」
「ギャンブルはするものじゃないか」
「ええ、これで借金作って家族に迷惑かけたら」
そこまでいけばというのだ。
「生きてちゃ駄目よ」
「そこまでか」
「そう、それに徹夜で麻雀したら」
所謂徹マンである。
「その間お酒に煙草でしょ」
「あとつまみだな」
「身体にも悪いし」
「それでか」
「そう、ギャンブルなんてね」
それこそと言う留奈だった。
「やるものじゃないわよ、賭けて負けてお金もなくなるしね」
「それがギャンブルだよ、勝ったらね」
淳二はプリプリとして怒って言う留奈に笑って話した。
「儲かるし」
「儲からないでしょ」
「そうかな」
「悪銭身に付かずよ」
この言葉も出す夕子だった。
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