魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第55話 新学期、俺の平穏は何処へ………
「キャロ、忘れ物ないですか?」
「大丈夫です星お姉ちゃん」
キャロは靴を履き、側にあるバックを背負った。
いいねぇ、帰ってきたらしっかり写真撮っとかないと…………
「それじゃあ、レイ、フェリア、キャロの事頼みますね」
「ああ、誰一人キャロには触らせない」
「フェリア、レイはダメそうなのでお願いします」
「了解した」
了解したって何だよ…………
「わ〜もうこんな時間!!星なんで起こしてくれなかったんだよ〜!!」
大きな声を上げてライが暴れていた。
「ちゃんと起こしました!!それでも起きなかったライが悪いんです!!」
「そんなことより早く着替えろ。このままだと我らも遅刻するぞ!!」
「わ、分かってるよ〜」
そう言ってライは部屋の中を行ったり来たりしている。
全く…………
「じゃあ俺たちは行くな」
「はい、行ってらっしゃい」
「キャロ、車には気をつけるんだぞ」
「はい、行ってきます!!」
こうして俺達は先に家を出た…………………
「行った?」
「ああ、行った」
「ふぅ〜疲れた」
「お疲れ様、ライ」
「2人共酷いよ〜僕だって今日くらいはしっかり起きてたのにさ」
「ライが寝坊してたほうが変に思われないだろ?」
「そうですね。そう思われたくなければ、これからはしっかり起きるようにするんですね」
「2人共意地悪…………」
そう言ってふてくされるライ。
「それでは私達も準備しますか」
「そうだな、早く着替えて職員室に行かなければ………」
「楽しみだな〜レイだけじゃなく、フェリアやフェイト達も居るんだよね」
「そうですね、高町なのはも…………レイに手を出したら…………」
だんだん怖い笑みになる星。
「せ、星、それは行ってからにしよう」
「そうですね。それじゃあ着替えましょう」
黒くなる前にいつもの星に戻せて安心する二人だった……………
「キャロ大丈夫かな………苛められたりしてないかな…………もしそうだったら……………」
「零治少し落ち着きなよ………」
「ダメね、心ここにあらずって感じね」
キャロ平気かな……………
今いる場所は教室。
隣にはフェイト。前にはアリサが自分の席に座っている。
はやてとなのははまだ終わってない宿題を一生懸命終わらせている。
すずかはそれを手伝っている。
今更頑張ってもな…………
フェリアは隣の教室に行って妹達の様子を聞きに行った。
「キャロ………」
「はあ、重症ね」
アリサがため息をついたその時、
「みんな、この教室に転校生がやってくるぞ!!しかも三人も!!」
一人の男子生徒が騒ぎ始めた。
「ほら、転校生だって。しかも3人。うちのクラスから3人転校したから3人入るのかしら?」
「そうだと思うよ。零治はどう思う?」
「キャロ……………」
「アンタね……………」
イライラし始めたのか、肩がわなわな震えているアリサ。
「アリサ、抑えて抑えて…………」
「目を覚ましなさい!!」
「あがっ!?」
俺の頭にチョップを繰り出したアリサ。
痛いというより、何か響くな……………
ってあれ?
「俺は一体…………」
「目を覚ました?」
「俺、眠ってたのか?」
「寝てたというより、心ここにあらずって状態だったわよ」
「心あらず?何で?…………………」
「それはキャロちゃ………」
「フェイト駄目!!」
「………………キャロ」
大丈夫かな…………心配だな…………
「ほらまた戻った」
「ごめん……………」
「仕方ないわね…………はっ!!」
「あがっ!?あれ?俺は一体………」
*ここからはループになります。
「みんな久しぶりね。夏休みはしっかり堪能した?今日から2学期だけど、気を抜かず頑張っていきましょう!…………って言ってるそばから………どうしたの零治?」
頭に多くのタンコブを付けて、ボーッと空を見ている零治。
寝ているわけでも無く、ただボーッとしているだけ。
「ああ、気にしないでください、少し休めばいつも通りになりますから…………」
フェイトがそう言ったけれどイマイチ分からないわね………
「一体どうゆうこと?」
「シスコンと言えば分かると思います」
「アリサありがとう、理解できたわ。全く…………後で星の説教ね…………」
ハァと私はため息を吐いた。
星の言っていた通りになったわね。
まあそんな零治でも転校生を見ればそんな態度でいられなくなるでしょうね。
楽しみだわ。
モテない男子諸君!せいぜい楽しませて頂戴。
「さて、知ってる人もいるかもしれないけど、今回うちのクラスに3人転校生が来ます。男子諸君喜びなさい!!3人とも女子よ。しかもとびっきりの美少女!!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」」」」」
流石男子、ノリがいいわね!!
「それじゃあ呼ぶわよ、3人共入ってきて!!」
そう言って私はドアを開けた。
なにやらシャイデが俺のことをバカにしたような気がするけど、気にならないな…………
いつもなら反論するけど。
そんなことどうでもいいくらいキャロが気になる。
いっそ、サーチャー飛ばして監視しようかな…………
転校生3人?
どうでもいい。
どうせ神崎辺りが質問攻めしてアリサが仕切るって感じになるんだろ?
美少女?
俺の周りにはそれしかいないけど?
「それじゃあ呼ぶわよ、3人共入ってきて」
でも俺も男。
美少女と言われれば調べない訳では無い。
そう思って前を見るといつも見慣れている3人がここの学校の制服を着ていた。
「なんでお前らがこの学校にいるんだ!?」
俺はつい叫んでしまった…………
「零治、うるさいわよ!それじゃあ順番に自己紹介して」
「初めまして、有栖星と言います。シャイデ先生は私達の保護責任者です。あっ、いつもレイがお世話になってます。これからよろしくお願いします」
星、お前は俺のオカンか。
「僕は有栖ライ!趣味は運動。好きなものは甘いもの。好きな球団は阪神タOガースです。みんなよろしくね〜!!」
ライの自己紹介は完璧だな。この明るさが人気なのかもな。
「我は有栖夜美と言う。皆よろしく頼む」
………………夜美?
「夜美、あなたもう少し言うこと無いの?」
「いや、自己紹介はどうも苦手で…………」
まあ、何となく前の学校で孤立気味な理由が分かったな。
「まあいいわ。星は今は零治の家でお世話になってるの。みんな仲良くしてね」
「「「「「「「「「「何だってえええええええ!?」」」」」」」」」
な、何て自己紹介を………………
「コイツ、どこまで……………」
「まさかの手元にあんな美少女がいたなんて…………」
「FUCK!!FUCK!!」
ああ、既に戦闘状態になってるわ…………
「零治………アンタ転校の事知らなかったの?」
俺の様子を見ていたアリサが聞いてきた。
「全く……………あっ、だから夜によく集まってたのか!!」
「フェリアは気がついてた?」
「私は3人に既に聞いていたからな」
「あれ?俺聞いてないんだけど…………」
「驚かせてやりたかったのだろう」
そんなドッキリいらないよ…………
事前に知ってれば俺、学校に来なかったのに…………
「俺、帰ったらキャロを思いっきり抱きしめるんだ………」
「零治、それ死亡フラグに聞こえるんだけど………」
「フェイト、俺はキャロの為ならどんなことしても生き残る。例え魔法で全て吹っ飛ばして人類全てを敵にまわしても………」
「それをやったら私が捕縛するから」
とてもいい笑顔でフェイトは宣言しました。
「諦めなさい、というかなのはのオハナシよりはマシでしょう?」
「あれって俺何されてるか覚えてないんだよね。だから魔王とか呼んでるけど一体何されてるのだろう?」
なのはが「魔王?」とか呟いてこっちを見てるけどスルーする。
いいから宿題終わらせろ。
「まあ取り敢えず頑張ってね零治」
「無事を祈ってるわ」
フェイトとアリサ、案外冷たかった…………
「フェリア………」
「私はあの集団に関わりたくない」
俺には誰も味方がいなかった……………
「さて、恒例の質問タイムに入るわよ!!じゃんじゃん質問しちゃって!!」
「ハイ!!」
早速SBS団の一人が手を上げた。
「中森君!」
「スリーサイズを教えてくだ………へぶっ!?」
側にたまたま落ちていた軟式の野球ボールを俺はめい一杯の力で投げた。ボールは中森の顔面にヒット!!
「何しれっと最低な事を聞いてるんだよ!!」
そんな俺に女子から拍手が……………
ヤバイ、ちょっと照れくさい。
「まあ自業自得ね。次、誰かいる?」
「はーい!」
「筒郷さん」
ヤバイ!!彼女は別名つつぬけさん。スキャンダルを的確に発見する新聞部のエースだ!!
「零治君との関係を教えてください!!」
うわっ、女子の目の色が変わったぞ…………
「か、関係って………」
「べ、別に僕たちは………」
「特にな、何も…………」
モジモジしてる3人は可愛いけど、SBS団だけでなく、良介と圭以外の男子からも殺意の視線を感じる。
俺は身の危険を感じ、即座に良介とアイコンタクトをした。
ピキーン!!
(お前の死は無駄にしない………)
(速攻で切り捨てた!?)
な、ならば圭に助けを………
ピキーン!!
そっぽを向いている…………
(何か反応してくれ!!)
俺の数少ない親友にも切り捨てられた……………
「キャロ、俺を導いてくれ……………」
いつの間にか質問タイムは終わり、俺の処刑のカウントダウンも着々と過ぎていった…………
一時間目の休み時間をなんとかやり過ごし、
今は二時間目の休み時間。
「おい、話があるんだが……………」
いきなりバカが話しかけてきた。
こいつには珍しく真剣な顔だ。
いつもこんな感じでいれば普通にモテると思うんだけどな。
「お前について行って処刑なんて勘弁なんだけど…………」
「今はその用件じゃない。それは後でやる」
やるのかよ……………
「それとは別に話がある、付いてこい」
そう言ってバカはさっさと教室を出ていった。
「いや、俺は何処に行けばいいんだよ………」
俺が立ち上がる前に、既に教室から姿を消したバカ。俺、何処に行けばいいか知らないんだけど………
アイツ、シリアス気取ってるくせに結局こうなるのかよ………
「レ〜イ!!」
いきなり俺の背中にライが乗っかってきた。
「ライ、ここは学校なんだ。そして嫉妬の視線で俺の心はかなりダメージを負ってるから降りてください、お願いします!!」
マジで、もう学校に平穏が無くなる!!
「ちぇ〜レイの背中、気持ちいいんだけどな…………」
渋々俺の背中から降りるライ。
「ライ、質問攻めはどうした?」
「星と夜美を生け贄に逃げてきた」
ひどい…………
「ちゃっかりしてるわね…………」
アリサの言う事はごもっともだ。
「零治君〜!!」
そんな時、なのはの宿題を見ていたすずかが声をかけてきた。
「どうした〜!」
「桐谷君が用があるって〜!」
「どこか行ったって言っておいて〜!」
「桐谷君、どこかへ行っちゃって」
「悪いすずか、もろに聞こえてるんだが…………」
そう言いながらコッチに来て俺を殴ってきた。
「痛いわ!!それにこれ以上トラブルはゴメンなんだよ………」
「桐谷!」
「おおライ、無事に転校してきたんだな」
「うん、これからよろしくね」
「ああ、よろしく頼む。それより………」
「レイ兄!!」
この声は………………
「おはようっス!!相変わらずおにゃのこをはべらせて、流石っス!」
「おにゃのこって言葉が出るお前の頭が俺はとても心配だよ………」
「おにゃのこを馬鹿にしたらアカンよ!!この響き、グッジョブ!!」
「流石っス姉御!!」
「ウェンディ!!」
ガシッと抱き合う2人。
「はやて、お前は早く宿題やったほうがいいんじゃないのか?」
「そうやった!!我が妹よ、姉の手伝いを………」
「星姉〜!!」
「見捨てへんといて〜」
ウェンディはその足で星達の所へ行ってしまった………
はやて、いいから宿題しろ。
「零治君…………」
「ファイト!」
頼ろうとしたなのはに綺麗なサムズアップをさし上げた。
睨みながら「後でオハナシだから………」って呟いていたけど………
っていうか俺は悪くない筈………
「あっ、ウェンディ。どうですか、そっちは?」
「バッチリっス!セインとノーヴェは今頃質問と言う凶器で心がズタズタになってるっス!」
それを聞いて、私達に群がってた人が少し引きました
「それに明らかに困ってるのに質問攻めしてくる奴らに興味ないっス、一回死んでみる?って優しく言ったら、みんなどっかに行っちゃたっス」
ウェンディ、それは友達出来なくなりますよ…………
「ウェンディ、それだと友達が出来なくなるぞ…………」
夜美も私と同じみたいです。
「普通の人間には興味ないっス!!宇宙人、未来人、超能力者にしか興味ないっス!!そう言ったっス」
あれ?どこかで聞いたことがあるような……………
「ウェンディ、あなたってそんなキャラだっけ?」
「いや、ウケ狙いで言ったんスけど、マジに思われたっス…………」
ということは既にクラスで孤立してるのかしら?
「ウェンディ!!アンタ、こんな所にいたの!!」
そこに縦ロールの金髪の女の子がやって来た。
「おい、菊地カナタだぜ………」
「相変わらず可愛いな…………」
近くにいた男子が言ってました。
菊地カナタ…………確か、アイドルグループのメンバーでしたっけ?
「おードリル!向かえに来てくれたんスか?」
「ドリル言うな!別にアンタを迎えに来たわけじゃないわよ!アンタを見てないと私が先生に怒られるのよ!」
「はいはい、ツンデレ乙〜」
「アンタね!!」
「きゃ〜キレたっス〜!!」
そう言いながらウェンディは逃げていってしまった…………
「ちょ!?待ちなさい!!」
カナタさんもウェンディを追って出ていってしまった。
「ウェンディは大丈夫だな」
「そうですね…………」
そんな相変わらずなウェンディを見て私達はため息を吐きました。
「アイツな…………」
ウェンディは嵐の様に去っていった。
どこにいてもアイツはマイペースだな。
「それで桐谷、何のようだ?」
「今日の放課後、会長から呼び出し「断る!!」…………何故?」
「キャロを迎えに行く!!」
それを聞いて桐谷はため息を付きやがった!!
「何でだよ!!お前だって心配だろ!?」
「キャロは優しい子だから友達だっていっぱいできてるさ。心配しなくても大丈夫だよ」
「そんなの分からないじゃないか!!俺は自分で見るまで流されん!!」
「お前な…………」
どう言おうとこれは譲る訳にはいかない!!
「だから今日はお前だけで「………レイ?」何だよ今大事な話を………」
振り向いたら、可愛い笑顔の星が………
「レイ、私は過保護すぎるのはいけないと思うのですが………」
「い、いや……………でも…………」
「少しオハナシするべきですかね…………」
「ヒィ!?」
これは………やばい………
「誰か助け………」
しかしここには誰もいない…………
あいつら…………
「さて、場所を移動しますか………」
「ハイ…………」
俺は星に引っ張られながら教室を出た。
夜美にアイコンタクトで助けを求めたが、笑顔で手を振られた。
後に、俺の震えている様子を見たクラスメイトが星に『冥王』の異名を付けていた。
『冥王』に『魔王』…………
うちのクラスにはラスボスがいっぱい…………
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