ドリトル先生と奇麗な薔薇園
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第九幕その九
「そうなりました」
「成程ね」
「はい、ただお花は実際のお花ではなく」
「造花かな」
「造花はこれまでも長年部活で使ってきまして」
それでというのです。
「沢山持っていまして」
「ではだね」
「はい、その造花達をふんだんに使って」
そしてというのです。
「演出をしようと」
「そうなったんだね」
「もう床にこれでもかと置いたり」
その造花達をというのです。
「飾ることにしました」
「そうした演出でいくんだ」
「普通のお花ですとお金がかかりますし沢山のお花を使って花びらを散らしたりしますと」
「お花が可哀想かな」
「そうした意見も出まして」
悠木さんはそうしたお話もしました。
「それで」
「造花を使うことにしたんだね」
「花びらについても」
それもというのです。
「沢山使うので」
「それでだね」
「はい、造花でいきます」
「それで思うことは」
ここで先生は悠木さんに言いました。
「お花は色や形だけでなくね」
「香りもですね」
「それも大事でね」
「舞台を観る人達にですね」
「香りを演出に使う意味もね」
「先生のアドバイスにはあったんですね」
「そうだったんだ、では」
「そちらのこともです」
既にと言う悠木さんでした。
「香水を各自持っていますので」
「それを使うんだ」
「はい、演出に」
「そうするんだね」
「香のこともです」
既にというのです。
「考えていました」
「それはいいことだね」
先生は悠木さんのお話に唸って応えました。
「やっぱりね」
「はい、何といってもですね」
「お花には香りも大事だからね」
「だからですね」
「香水を使うこともね」
「いいことですね」
「そう思うよ、ではベルサイユの薔薇は」
「はい、造花と香水を使って」
そうしてお花を出したというのです。
「そうした舞台にします」
「頑張ってね」
「そうさせて頂きます、そしてです」
「そして?」
「先生もよかったら」
悠木さんはお顔を少し前に出して先生に言うのでした。
「舞台を御覧に」
「行かせてもらっていいのかな」
「はい、是非」
悠木さんは先生に笑顔で答えました。
「いらして下さい」
「それじゃあね」
「チケットはこちらです」
日笠さんはチケットも出しました。
「どうぞ」
「有り難う、あっ安いね」
お金も見て言った先生でした、チケットに書かれているそれを。
「これも嬉しいね」
「安いですか」
「うん、実はイギリスにいた時は結構歌劇を観たけれど」
「歌劇もですか」
「妹が好きで連れて行けって言われてね」
それでというのです。
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