ドリトル先生と奇麗な薔薇園
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第九幕その十
「ロンドンコヴェントガーデントとかにね」
「ああ、あそこにですか」
「よく言ったよ」
「あそこは有名な歌劇場ですね」
「有名だけれど高くてね」
「学生の舞台ですから」
悠木さんは先生に笑って答えました。
「それに歌劇ではないですから」
「普通の舞台なんだね」
「はい、ミュージカルでもないです」
「そこは宝塚とは違うね」
「宝塚もベルサイユの薔薇をしますが」
「あそこはミュージカルだからね」
それで演劇をするのが宝塚です、演技だけでなく歌もあるのがあの劇場の大きな特徴であり素晴らしいところです。
「妹も好きみたいだよ」
「妹さんは宝塚もですか」
「日本の素晴らしい文化の一つだってね」
「言っておられるんですか」
「日本はこんなものもあるのかってね」
そこまで言っているというのです。
「言っているんだ」
「そうですか」
「その宝塚ともまた違うんだね」
「はい、その演出はです」
それはというのです。
「歌とかはなくて」
「お芝居でだね」
「やっていきます、ですから」
「うん、楽しみにしているよ」
「お待ちしていますね」
「是非ね、しかしね」
ここでこうも言った先生でした。
「ベルサイユの薔薇は主題歌もいいよね」
「薔薇は美しく散る、ですね」
「タイトルもいいしね」
「歌詞も音楽もですね」
「どれも素晴らしいよ」
アニメのそれもというのです。
「名作の音楽もまた名曲である」
「そうなりますね」
「僕はそう思うよ、あの素晴らしさは」
主題歌のそれはというのです。
「一度聴いたら忘れられないね」
「芸術ですよね」
「本当にね、あの曲は使われないね」
「はい、音楽はBGMで流しますが」
それでもというのです。
「ミュージカルでないですし」
「著作権の問題もあって」
「使わないです」
「そうするんだね」
「クラシックの曲を使うつもりです」
「そうするんだね」
「はい、そちらもご期待下さい」
また笑顔で言った先生でした。
「宜しくお願いします」
「それじゃあね」
笑顔で応えた先生でした、そして悠木さんから受け取ったチケットを今は大事にしまいました。それでお家に帰ってからお家に来た王子にそのお話をしますと。
王子は笑顔になって先生にこんなことを言いました。
「僕も行くしね」
「その舞台にだね」
「僕は別の人からお誘いを受けてね」
それでというのです。
「そのベルサイユの薔薇を観に行くよ」
「それじゃあ僕達と一緒だね」
「先生はトミーとだね」
「動物の皆も一緒だよ」
彼等は先生といつも一緒なので舞台を観に行く時もなのです。
「そうしてね」
「舞台を観て」
「楽しませてもらうよ」
「それはいいことだね、しかしね」
ここで王子は面白そうに笑って先生に言うのでした、ちゃぶ台の向こう側にいる先生に。
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