レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六十六話 自分達の船その六
「それならだ」
「闘技場に出るか」
「そしてだ」
「稼ぐか」
「それだけでなく暇潰しもしてな」
「鍛錬もするか」
「実戦でな」
闘技場のそれでとだ、英雄は幸正に答えた。
「そうする」
「よし、では酒が醒めたらか」
「出る」
闘技場の勝負、それにというのだ。
「そして勝って来る」
「よくわかった、では我もだ」
「闘技場の勝負に出るか」
「実は常連だ」
闘技場の勝負のそれにというのだ。
「海賊でもあるがしかしな」
「それと共にか」
「闘技場で闘ってもいる、これがまた面白い」
「命を賭けたやり取りでか」
「実にな、ではだ」
それではとだ、また言ってだった。
英雄はまた牡蠣を食べた、今度は唐揚げだ。牡蠣は唐揚げにしても実に美味く納得がいくものであった。
そしてだ、その牡蠣を食べつつだった。英雄は幸正に問うた。
「海賊というが」
「安心しろ、盗むことはな」
「していないか」
「我はそちらには興味がない」
海賊という職業でもというのだ。
「魔物を倒したり用心棒をしてだ」
「この世界では暮らしていたか」
「そうしていた、我は盗むよりも戦うことにだ」
「興味があるか」
「弱い者から奪うなぞな」
「そうしたことに興味はないか」
「一切な」
まさにというのだ。
「強い魔物と戦うことが好きなだけだ」
「弱い者いじめが好きなら」
峰夫がシニカルな顔で述べた。
「それこそ近くの船を襲ってでありますな」
「どれだけでも奪える、しかしな」
「そうしたことはでありますか」
「我は好きじゃない、弱い者を敷いた蹴るのは弱い奴だ」
こう看破したのだった。
「弱い奴が武器を持っただけだ」
「そうした輩なので」
「そうした輩と同じことはしない、富なら魔物と戦ってだ」
「そうして手に入れてきたでありますか」
「今までな、そしてだ」
「これからも」
「そうするつもりだ」
こう幸正に答えたのだった。
「我はな」
「そうした海賊もいるでありますか」
「少ないがな」
それでもとだ、幸正は答えた。
「いることはいる、そしてだ」
「そして?」
「そうした外道はいると治安が悪くなる」
こうもだ、幸正は言うのだった。
「そして退治すると報酬も貰えるからな」
「だからでありますか」
「魔物を倒すがてら賞金首としてだ」
その扱いでというのだ。
「片っ端から捕まえて括って首から下を湖に入れて港に戻る」
「そうするとどうなるでありますか」
「運がよければ奉行所に突き出してそこで打ち首だ」
その海賊達はそうなるというのだ。
「船が港に入るまでに生きていればな」
「では運が悪ければ」
「首から下が魔物なり鮫に喰われてな」
「なくなっているでありますか」
「そうなる」
まさにというのだ。
ページ上へ戻る