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レーヴァティン

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第六十六話 自分達の船その五

「破滅だ」
「またどえらいことをやらかしてっちゃな」
「信頼を完全に失っても気付かない様ではな」
 そうならない筈がないとだ、英雄は言った。そしてそうした輩を見てきたから焦らず回り道をすることもだ。
 彼は言った、そして生牡蠣をさらに食べてこうも言った。
「百は食えるか」
「ああ、この牡蠣やったらな」
 実際にとだ、耕平も生牡蠣を食べつつ英雄に応えた。二人共酢醤油で食べている。
「幾らでもな」
「喰えるな」
「百は食えるわ」
「酒も美味いしな」
「これはどんどんいけるわ」
「全くだ、だがな」
「だが?どないしたんや」
「生牡蠣を百以上食ったといえばな」
 そのことからだ、英雄はこうも言った。
「ビスマルクか」
「ドイツの鉄血宰相やな」
「一九〇以上の背の大柄でだ」
 しかも堂々たる体格だったという。
「大食漢でもありな」
「生牡蠣を百個以上もか」
「食ったことがあったらしい」
「それはかなりやな」
「俺達もそれだけ食えるな」
「美味やからな」
「このままいくとな、本当に美味い」
 だからこそというのだ、無論他の面々もどんどん食べている。
「生牡蠣も焼いたものもフライもな」
「唐揚げもな」
「どれも美味い、これならだ」
 まさにというのだ。
「百以上食える、そしてな」
「それだけ食ってか」
「後はだ」
 牡蠣を腹一杯それこそ百以上食った後でというのだ。
「準備が出来るまではな」
「くつろぐか」
「待つしかない」
 出向の準備、それが整うまではだ。
「だからな」
「この街におってか」
「今は牡蠣を食うが」
 それだけでなくというのだ。
「それだけではないしな」
「牡蠣以外の海の幸もか」
「食いながらだ」
 そのうえでというのだ。
「出港を待つ」
「そうするしかないな、確かに」
「外に出て魔物を倒してもいいが」
 街の外にというのだ。
「他にすることもないしな」
「ほな飲み食いしてぐうたらしつつか」
「今は待つ」 
 これが英雄の考えだった、だがここで。 
 幸正は牡蠣フライを食べつつだ、英雄に話した。
「闘技場はどうだ」
「闘技場?」
「この街にはある」
「そこで賭けをしろというのか」
「違う、自分が出るか」
 他ならぬ英雄達がというのだ。
「そうするか」
「暇潰しを兼ねてか」
「そして鍛錬も兼ねてな」
「しかも勝てば銭も入るか」
「悪い条件ではないと思うがどうだ」
「よし」
 返事は一言だった、英雄はそれで決めた。 
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