転生とらぶる
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機動戦士ガンダム
2127話
「何? その情報は本当か?」
「ああ。ダグラス大佐自ら知らせてきたのを思えば、間違いなく可能性は高い。とはいえ、まだ完全な確証はないが」
俺の言葉に、ラルが短くそう答える。
ダグラスからの連絡……とはいえ、ダグラスにはシャドウミラーの通信装置を渡していなかった――というか、これから危ない橋を渡る自分達がそれを持っていると危ないと断られた――ので、実際には、あの時ダグラスと一緒にいたジェーンが手を回して知らせてきたのだが。
ジェーンがキシリアの配下であった事を考えれば、少しだけ罠ではないかという思いがない訳でもなかったが、あの倉庫で告白したジェーンの様子を見れば、恐らく罠という事は有り得ないだろうと思い直す。
「となると、俺が動いた方がいいか?」
「そうしてくれとの事だ。これが人質を取られている者達が撮った映像データだ。これを見れば、見ず知らずのアクセルでも向こうは信用してくれる筈だ」
そう言い、ラルが俺に映像データの入ったディスクを渡してくる。
しかも映像ディスクだけではなく、再生装置まで一緒に渡してきた。
……まぁ、人質にされている連中がどんな状況になっているのか、分からないしな。
意外と普通の生活をしている可能性もあるが、同時に独房のような場所に軟禁されている可能性もある。
そのような場合は、映像ディスクだけを持っていっても再生出来ないなんて事になりかねない。
「それで、場所は?」
「5バンチのボルドーだ。……まさか、あのような場所とは思わなかったが」
そう言い、ラルは5バンチのボルドーについて説明する。
純コロニー産のワインを少数だが生産する事に成功したコロニーで、そのワインは一部の官僚やルウム戦役の功労者に渡されているらしい。
「また、随分と予想外の場所だったな」
「そうだな。だが、ボルドーで作られたワインはキシリアのお気に入りらしい。そのような場所だけに、馬鹿な騒動を起こすような奴はいない……といったところか」
「なるほど。それは否定出来ないな」
キシリア機関という諜報機関を持つキシリアは、一般の者達にもかなり恐れられている。
そのような人物お気に入りの場所で騒動を起こそうものなら、それこそどんな報復をされるものか……
「分かった。それで俺はどうすればいい? 今からすぐに助けに行くのか?」
「可能か?」
「俺は問題ない。ただ……そうだな。ケンの家族達という事は、当然女子供だろ? そこに俺が行っても怖がられるだけじゃないか?」
「いや、今のお前の姿なら、問題はないだろう」
ラルのその言葉に、そうか? という疑問を抱くも……現在の自分の姿を考えれば、それもしょうがないかと思い直すのだった。
「ここがボルドーか」
ラルと話してから、数時間後……その頃には、俺の姿はもうボルドーにあった。
もっとも、普通にここまでやってきたのではなく、情報局に所属しているタチに連絡を取り、ズム・シティからボルドーに移動する輸送船がどこにあるのかを教えて貰い、密航してきた訳だ。
ボルドーの宇宙港に到着したら、密航する時にも使った影のゲートを使って外に出る。
すると、何という事でしょう。俺の姿は、あっという間にボルドーにあるのでした。
……なんて、TV番組風のナレーションを考えていてもしょうがないか。
まずはジェーンからの情報にあった住所に行って、ケンの妻と子を確保する必要がある。
脱出する時は、色々と面倒そうではあるが……影のゲートを使えば、また密航するのは難しい話ではないだろう。
ともあれ、現在の俺は観光客の振りをしてボルドーを見て回る。
完全にコロニー産の葡萄でワインを作ったというだけあって、このボルドーには葡萄畑がかなり広がっている。
アルコールの類は飲めない――訳ではないが止められている――俺だが、それでもこの光景が凄いというのは分かる。
コロニーの中に葡萄畑……ミスマッチではあるが、それでもワインを作れているという事は、恐らく問題はないんだろう。
寧ろ、コロニーのような場所でワインを作るという事は、地球で作られているワインとまた微妙に違う味になるのかもしれない。
宇宙という環境があるからこそ、そのような事になる……かもしれない。
この辺りはあくまでも俺の予想だが、恐らくはそんなに間違っていないと思う。
実際、このボルドーで作られたワインは、政府の人間とかで半ば独占しているらしいし。
「ま、何はともあれ……観光を楽しみますか。折角の1人旅なんだし」
周囲にいる観光客に、意図的にそんな台詞を聞かせる。
……何人かの大人が、俺のような子供にはまだボルドーを観光するには早いと言ってきたのは、取りあえずスルーしておく。
ともあれ、ボルドーの中を見て回る。
ジェーンから聞いた場所に真っ直ぐ向かうと色々と目を付けられかねないし、そうならないようにする為には、やっぱり観光客であると見せておいた方がいい。
そんな訳で見て回ったのだが……うん、特に面白いものはない。
いや、ワイン好きとかなら色々と試飲とか出来て嬉しいのだろうが、俺はそういう真似が出来ないしな。
俺が見学に来るにはまだ早いといったアドバイスは、奇しくも正解だった訳だ。
俺がワインの試飲なんかをしようものなら、最悪このボルドーというコロニーが崩壊してもおかしくはない。
せめてもの救いは、マクロス世界に行った時のように別の世界に転移する可能性は低いだろという事か。
……ないと言い切れない辺り、自分の酒癖の悪さに呆れてしまう。
「こんにちは。君は1人?」
葡萄畑を見て回っていると、ふとそんな風に声を掛けられる。
畑の手入れをしていた、初老の女が声を掛けてきたのだ。
「ああ、ちょっと1人で見て回ってるんだ。もっとも、ここは俺には早かったみたいだけど」
「まぁ、ワインだしね。……ああ、そうだ。これを食べてみるかい?」
そう言い、女は実っていた葡萄の房を1つこっちに渡してくる。
それを口にするが……
「お、美味い」
何かでワイン用の葡萄ってのはあまり美味くないって聞いた事があったんだが……少なくても、この葡萄は十分に甘く、美味いと表現出来るだけの味だ。
そうして俺は葡萄をくれた女と少し話し、その場を離れる。
最初はキシリア機関の人間かとも思ったんだが、多分違うな。
勿論、ただ情報提供しているだけという可能性は否定出来ないが。
ともあれ、その後も色々と歩き回りながら観光をしていく。
一応、現在はジオンの独立戦争中なのだが……まぁ、戦争中だからこそジオンは現在圧倒的優勢で、サイド3は何の心配もいらないという風にしたいと思っている。
そんな可能性も、否定は出来ないのだが。
途中でワインの葡萄を使ったソフトクリームとかを買いながら色々と歩き回り……やがて、時間は夕方となる。
ここはコロニーなので、正確には夕暮れという時間に合わせて環境を変えるといった方が正確なのだろうが。
ともあれ、夕方になったことで葡萄畑で働いていた者達も帰っていく。
当然そうなれば、このコロニーに見学に来ていた者達も、ホテルなり宿なりといった泊まる場所に向かい始めた。
よし、人の移動が多くなる、この時間を待っていた。
そのまま近くにあった建物の隙間に入ると、影のゲートに身体を沈める。
そうして次の瞬間に姿を現したのは、ジェーンから教えて貰った、ケンの家族達が住んでいる住居。
人質という形ではあったが、一応ある程度の自由はあるらしく、家の外で働いたり子供を遊ばせたりといった事もしているらしい。
ただ、結局のところは一般人だからという理由からか、それともキシリア機関として他にやるべき事が多くて人手がないからなのか、もしくは逃げ出すようなつもりはないからか……取りあえず、ケンの家族が住んでいる家には盗聴器や監視カメラはなく、見張りの類も存在しない。
母親と娘、それと他にもケンの仲間の家族と思われる者達と共同生活をしている。
……いや、考えてみればおかしくはないのか。
もしケン達がジオン軍の中でも重要な地位にいるのであればまだしも、結局のところはただの兵士でしかない。
勿論その技量を買われて強制的にスカウトした以上、ある程度の期待はしてるのだろうが。
ともあれ、結局はただの1兵士ということで、人質を厳重に見張っている……といった風でないのは、俺にとって助かった。
一応スライムの類を使って、家の中に監視カメラとその手の物がないのを確認すると、取りあえずケンの妻と娘の前に姿を現す。
「きゃっ……んん、んー!」
当然と言えば当然だったが、影から出てくるという俺の姿を見た瞬間、ケンの妻が悲鳴を上げそうになる。
それを咄嗟に口を押さえ、隣にいた娘の方も口を押さえ……うん、今のこの状況で俺の姿を見れば、間違いなく俺が犯罪者にしか見えないな。
そう思ったが、これが一番手っ取り早いのは間違いない。
「落ち着け。俺はケンの……友人? いや、まだそこまで親しくないな。知人? 同志? まぁ、ともあれそんな存在だ」
「……ん?」
いきなりケンの名前を出されたからだろう。ケンの妻は、暴れるのを止める。
娘の方も、父親の名前を俺が出したからだろう。騒ぐのを止めて、じっと俺を見ていた。
そんな2人を確認してから、俺はそっと手を離す。
手を離した瞬間にまた騒がれるんじゃないかと思って少し慎重になったが、幸い2人は特に騒ぐような事はなかった。
俺のようなあからさまに怪しい存在よりも、ケンの事が重要だということなのだろう。
「ケンは……あの人は、無事なんですか?」
「ああ、問題ない。ただ……いや、それよりもこれを見て貰った方が分かりやすいか。このディスクの中に入っている映像を再生出来るか? これ、ケンから預かってきた映像データなんだが」
「ちょっと待って下さい。……大丈夫です。見ても構いませんか?」
「ああ。俺が何か説明するよりも、直接見た方が手っ取り早く分かりやすいだろ」
俺が頷くと、すぐに映像データが再生される。
そこに映し出されたケンは、少し戸惑った様子で映像の向こうから話し掛ける。
そこで話された内容は、人質となっている者達をこの映像を持っていったアクセルという人物が解放してくれるという事。
そして、解放された後は一時的に匿って貰うが、本当にすぐにまた会えるという事。
……俺が異世界の存在だったり、ジオン・ズム・ダイクンの子供たるセイラの名前、そしてセイラがルナ・ジオンという国を建国する事……それらに関しては、言っていない。
いやまぁ、今は少しでも急いでここを脱出する必要がある以上、長々と話をしているような暇はないしな。
幸い、この大きな家で共同生活をしているのは、全員がケンの仲間達の家族らしいし。
人質は別々にしておいた方が逃げにくいと思うんだが、今のジオンにはそれだけの余裕もないのか。
もしくは、どうせ逃げられないと判断しているのか。
その理由はどうあれ、こっちとしては助かるのは間違いない。
異世界やらアルテイシアやらルナ・ジオンやらといった話は、それこそホワイトスターに行ってから、改めて説明すればいいんだし。
実際に自分たちが異世界にいるのだから、説得力が違うよな。
エルフとかワイバーンとか、魔法とか。その辺りを見せれば、異世界だと認識してくれるだろう。
あ、でも意外とアトラクションか何かだと判断するか?
そんな風に思っていると、映像が終わる。
ケンの妻の目には、涙が浮かんでいた。
自分が人質になり、その結果としてケンがMSパイロットとして戦わされているというのは、色々と思うところがあったのだろう。
娘の方も、久しぶりに見るだろう父親の姿に思う所があったのか、薄らと目に涙がある。
本来なら、もう少しケンの映像に浸らせてやりたいところだが、生憎と時間がない。
今はこの建物にいる人質の連中を、なるべく早く纏めて連れていく必要がある。
そんな訳で、悪いと思うが話し掛ける。
「そんな訳で、今夜中にここを出て避難場所まで連れて行くつもりだが……この建物に暮らしている中で、見張りっているのか? 一応俺が確認した限りではいなかったと思うけど」
「え? あ、はい。見張りはいません。ただ、週に何回か様子を見に来るだけです」
「……本当に大雑把なんだな。もしかして、俺が来るまでもなく逃げられたんじゃないか?」
「いえ。宇宙港の方は厳しい警備がしかれていますし、私達は一般人ですから。それに、このコロニーの住人の中には見張りがいるとも臭わされていますから」
「なるほど。ともあれ、ここに誰も見張りがいないのなら、問題はない。早速全員引き連れて脱出するから、皆を集めてくれ」
そう告げる俺の言葉に、ケンの妻は少しだけ驚き……そして力強く頷くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1435
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