レーヴァティン
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第六十四話 あやかしその十一
「人は永遠に人のままで」
「神様は神様か」
「絶対です、そして神は至高の存在なので」
「人間がそこに行っちゃいけないか」
「この国でも神仏のおわす場所には入らないですね」
「そういうことか」
「はい、それでバベルの塔はです」
紅葉はさらに話した。
「神の怒りの雷によってです」
「壊されたんだな」
「はい」
「そうか、凄い話だな」
「これが神の怒りです」
「そんなとんでもない高さの塔さえ壊すんだな」
「そして洪水で世界を滅ぼすこともです」
今度はノアの洪水だ、紅葉はこの話もしたのだ。
「出来るのですから」
「その神様じゃなくてもそれ位の力はあるか」
「はい、そしてその魔神と戦うのですから」
「かなりの力が必要だ、力を限りなく強く持ちだ」
そしてとだ、英雄は紅葉の言葉を受けてさらに言った。
「それでも足りないとだ」
「他のものをですね」
「加える」
力に加えてというのだ。
「そうする」
「知恵やそうしたものをですね」
「入れていく」
力が及ばなければというのだ。
「そうして戦いだ」
「勝ちますね」
「そうする、幾ら力が強くとも無敵ではない」
「魔神といえど」
「絶対に無敵の存在なぞ有り得ない」
英雄は言い切った。
「何者もな」
「神でさえも」
「俺は一神教の信者ではない」
このことについてもだ、英雄は言い切った。
「尊い存在だとは思ってもな」
「絶対にしてですか」
「無敵の存在なぞ有り得ない」
「決してですね」
「斉天大聖もそうだった」
孫悟空のことだ、物語から出て来た神であるがもう道教では神の一柱となっていて信仰の対象になっている。
「天界を一人で掻き回すだけの力があったがな」
「釈尊にはでしたね」
「手の平の中にあった」
西遊記にある有名な逸話だ、そこから罰を受けて三蔵法師のお供をして天竺まで旅に出たのである。
「あれだけ強大でもな、そしてだ」
「釈尊もですね」
「釈尊は修行でそこまで至った」
孫悟空ですら手の平にある位の力を持ったというのだ。
「そしてさらに高みがあるからだ」
「修行を続けておられる」
「絶対がないからな」
「さらなる高みをですね」
「目指している、ゼウスもオーディンもだ」
ギリシアや北欧の主神とされている神々もというのだ。
「時として敗れ滅ぶ」
「そのこともあってですか」
「無敵の存在なぞないと言える」
それも言い切れるというのだ。
「俺はな」
「そうなのですね」
「そしてだ」
英雄はさらに話した。
「俺は力が足りないならな」
「知恵で、ですね」
「魔神を倒す、何を使ってもだ」
必ず、というのだ。
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