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レーヴァティン

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第六十四話 あやかしその十

「そして軍勢も合わせて」
「そうしてだな」
「総力を結集させて戦わねば」
 紅葉は英雄に真剣な顔で述べた。
「勝てないでしょう」
「そして勝たねばだな」
「世界は救えません」
 魔神が眠らせ海で覆っているその世界はというのだ。
「到底」
「そうなるな」
「だからです」
 それ故にというのだ。
「戦いまでに用意を備えていきましょう」
「そうだな」
 英雄も紅葉のその言葉に頷いて応えた。
「ではだ」
「はい、それでは」
「順序を進めて」
「魔神を倒していきましょう」
「それなりの力を備えてな」
「そうしていきましょう、今のわたくし達は」
 紅葉は自分達のことをさらに話した。
「まずは十二人全員揃え」
「そして旗揚げをしてな」
「島を統一し軍勢を整えるべきです」
「それから魔神に向かうな」
「そうなります、ただ恐ろしい力を持った神なので}
 ここでだ、紅葉は英雄にこうも話した。
「恐ろしい力で我々が戦いを挑もうとしたら」
「神罰か」
「神の側から見ればこの言葉が当てはまるでしょう」
 敵であるこの神にとってはというのだ。
「そしてです」
「その力によってだな」
「我々を滅ぼそうとするかも知れません」
「ああ、何か西の島の宗教であったな」
 船乗りはかなり酒の酔いが回っていた、だが思考ははっきりしていてその思考から述べた。
「何かの塔が神様のいる場所、極楽か高天原かに近付こうとしたんだよな」
「人間達がですね」 
 紅葉が船乗りに応えた。
「そうでしたね」
「ああ、神様の場所に行こうとしたんだったな」
「バベルの塔です」
 紅葉は自分達の世界の知識を話した。
「そのお話ですね」
「塔か」
「はい、そこに神は人間の傲慢を見て」
「あれっ、何で傲慢つまり偉そうなんだよ」
 船乗りにはわからない理屈だった、それで紅葉の今の言葉に目を瞬かせて理解出来ないという顔で返した。
「一体、というか極楽とか高天原なんて人間が行けるか」
「絶対にですね」
「そんな場所は死んで行くだろ」
「それは日本いえこの島の宗教でのお話で」
 紅葉は自分達が起きている世界のことを言いそうになったがそれは止めた。
「しかしです」
「あっちの島じゃ違うんだな」
「あの宗教では」
 キリスト教、この島では耶蘇教と呼ばれ入っているが殆ど馴染みのない宗教だ。その宗教の教えではというのだ。
「そうです」
「人間もか」
「神の世界に行けるとです」
「考えられてか」
「生きたまま」
「それが偉そうだってのか」
「人間は人間なので」
 この考えだからだというのだ。
「死んで祀られて神になったり悟りに至り仏になることはです」
「あっちじゃないんだな」
「ですから」
 それ故にというのだ。 
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