レーヴァティン
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第六十四話 あやかしその十二
「魔神を倒す」
「それでは」
「あの魔神を倒して世界を救う」
「それがこの世界に来た理由だからですね」
「そうだ、それにだ」
英雄はさらに話した。
「魔神が海を覆う位好き勝手にしていることもだ」
「好きではないでござるか」
今度は智が聞いてきた。
「左様でござるか」
「そうだ、神だか何だか知らないがな」
「世界を一人好き勝手にしていることは」
「我慢出来ない、それは俺の運命も好き勝手にするということだ」
世界の中にある、それならそうなるというのだ。
「だからだ」
「このことはでござるな」
「決して放置出来ない」
「それ故にでござるか」
「俺は魔神を倒す」
智にも言うのだった。
「世界を奴の手の中から取り返す」
「そうするでござるか」
「歴史はhistoryというが」
英雄は英語も出した。
「世界の過去から現在、未来への動きはな」
「日本語に訳するとそれは」
「彼の歴史となるが」
「その彼は」
「神か」
英雄は智に問うた、横で船乗りは何の話かわからないまま聞いている。それは外の世界から来た者達とは違っていた。英語を知っているのか知らないのかで大きな違いが出ていた。
「誰だ」
「よく神と言われるでござるが」
「歴史の人のものだ」
英雄はそこでの神を否定した、それも完全に。
「この彼とはだ」
「人でござるか」
「人の数だけ歴史がある筈だ」
「では」
「彼とは人だ」
はっきりとだ、英雄は言い切った。
「人それぞれの歴史だ、だからだ」
「魔神が世界を好きにしていることは」
「そんなことは叩き斬る」
「斬るでござるか」
「そうしてやる」
また言い切った。
「絶対にな」
「その剣で」
「そして軍勢でな」
「それでも足りぬなら」
「頭でだ、幾ら神が頭が切れそうとも」
それでもというのだ。
「奴は一人だ」
「三人寄ればっちゃな」
ここで言ってきたのは愛実だった。
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