ドリトル先生と奇麗な薔薇園
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第七幕その四
「その中で飛鳥時代や奈良時代の人達が愛を育むこともね」
「あるのね」
「ううん、何か不思議な光景だね」
「ちょっと想像しにくいわ」
「どうにも」
「その想像しにくいものを想像してしまうのが日本人だから」
先生もこのことがわかってきたのです、日本に住んできて。
「だからね」
「それでだね」
「日本人なら出来るかも知れないんだ」
「薔薇を昔の日本の中に置くことも」
「そうかも知れないよ」
こうしたことを皆にお話した先生でした、そしてです。
その日の三時のティータイムは和風のものでしたがお抹茶に苺大福に三色団子に和風ゼリーといったものでしたが。
ゼリーの中の花びらを見てです、動物の皆は言いました。
「これは梅?」
「梅のお花?」
「赤や白でとても奇麗ね」
「ピンクのもあるし」
「うん、この和菓子にしても」
先生はそのゼリーを見つつ皆にお話しました。
「お花が中にあるね、そしてひょっとしたら」
「薔薇もだね」
「和菓子の中に入るかも知れない」
「そうかも知れないんだ」
「そうも思うよ、だって苺大福だって」
このお菓子も見て言う先生でした。
「餡子と苺の組み合わせを思い付くかな」
「こんなの普通思いつかないよ」
「洒落になってない位美味しいけれど」
「誰が考え付いたか知らないけれど」
「とんでもないものだよ」
「そう、そのとんでもないものに薔薇が加わることも」
それもというのです。
「ないとは言い切れないね」
「それはね」
「確かにそうね」
「日本人ならね」
「それも考え付くかもね」
「その発想があるからね」
だからこそというのです。
「日本のお菓子でもね」
「薔薇が入るかも知れないんだね」
「将来は」
「それも美味しく」
「その可能性はいつもあるよ、それにしても」
ここでお抹茶、熱いそれを一口飲んで笑顔で言う先生でした。
「お抹茶は何時飲んでも美味しいね」
「先生お抹茶も大好きになったわね」
「他のお茶もだけれど」
「麦茶とか梅茶とか玄米茶も飲む様になって」
「他には烏龍茶やレモンティーも飲む様になったしね」
「イギリスにいた時とはまた違ってきたわね」
「うん、イギリスにいた時はミルクティーだけだったよ」
本当にそれしか飲んでいなかったのです、イギリスにいた時は。
「本当にね」
「けれどそれがね」
「もうだね」
「日本に来てから」
「色々なお茶を飲む様になったね」
「そうなったよ、世界中のお茶を飲む様になったよ」
このことについてもにこにことお話する先生でした。
「有り難いことにね」
「そうだよね」
「そこも変わったよね」
「何ていうかね」
「先生そこも変わったね」
「うん、このお抹茶を飲むと」
先生はまた一口お抹茶を飲んで言いました。
「禅、詫び寂びを感じるね」
「日本独自の感覚だよね」
「この国で生まれて育まれてきた」
「それを感じるね」
「お茶は日本でも凄いからね」
素晴らしい文化になっているというのです。
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