レーヴァティン
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第六十話 召喚士その九
「戒めるべきです」
「どうもうちは無駄遣いを言われるっちゃ」
その愛実も言った。
「子供の頃から」
「実際そうだからぜよ」
当季はその愛実に述べた。
「だからぜよ」
「お小遣いは大事に使えとかだっちゃ」
「言われていたんじゃな」
「そうだったっちゃ」
「そしてこの世界でもじゃな」
「言われてるっちゃ」
見世物小屋の主にも言われたというのだ。
「そうだっちゃ」
「それじゃあぜよ」
「そうした言葉を忘れずにだっちゃな」
「やっていくことぜよ」
「そういうことだっちゃな」
「マリー=アントワネットは普通の贅沢じゃったというが」
当季はあまりにも有名なフランス王妃、革命で断頭台の露と消えたこの王妃のこともここで話に出した。
「まああまりじゃ」
「贅沢はしないことっちゃな」
「程々ぜよ、何でもじゃ」
「程々っちゃな」
「そうぜよ」
まさにというのだ。
「それがいいことぜよ」
「そうだっちゃ」
「そうぜよ、全部程々ぜよ」
まさにというのだ、そしてだった。
一行は街の中を見回りつつ耕平を待った、耕平は夜遅くになって宿に戻って休んでいる一行のところに来て言った。
「ちょっとなあ」
「俺達を探すのにか」
「ああ、宿に入ってたんやな」
「夜遅くになったからな」
英雄はその当季に答えた。
「それでだ」
「そこに入ってたんか」
「ああ、しかしな」
「見付けたな」
「気配を辿ってな」
一行のそれをというのだ。
「それでここまで来たで」
「そうか」
「そや、それでや」
「名古屋城のことはだな」
「ばっちり頭に入れてきたで」
会心の笑みでの返事だった。
「やるべきことはやってきたわ」
「それは何よりだ」
「ああ、それでそっちはやな」
「街のことを見て回って続けている」
「言葉が現在形ってことは」
「明日も見て回る」
こう耕平に返した。
「そうする」
「そうか、むしろ城よりもやな」
「街だ」
こちらを見て回ることに重点を置いているというのだ。
「政を考えてな」
「そういうことやな、ほな明日からな」
「御前もだな」
「街を見回るわ」
「そうしろ」
「そうするわ、それでな」
耕平は英雄に応えてからだ、そのうえで。
愛実を見てだ、にんまりと笑って言った。
「七人目は別嬪さんか」
「そうだっちゃ」
愛実は耕平の別嬪という言葉に明るく返した。
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