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レーヴァティン

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第六十話 召喚士その八

「このことは」
「冒険の時は別にね」
「贅沢もですね」
「飲み食いだけだっちゃ」
「それだけで済みますが」
「しかしだっちゃ」
「問題は旗揚げからです」
 そこから先のことを見てだ、謙二は愛実に話した。
「若し貴女がお屋敷や服に贅沢をしてです」
「それで国庫を傾けるとだっちゃ」
「その時点で拙僧は怒ります」
 こう言うのだった、本人に。
「宜しくお願いします」
「そうだっちゃな」
「はい、必ず」 
 そこはというのだ。
「よくある話なので」
「贅沢で国を傾けることはだっちゃ」
「無闇に豪奢な宮殿を建てる等して」
「ああ、あるっちゃね」
 宮殿のその話を聞いてだ、愛実も頷いて応えた。
「中国とかフランスとか」
「煬帝やルイ十四世ですね」
「ベルサイユ宮殿とか凄いっちゃな」
「芸術的には凄くともです」
「ああしたものを建てるとだっちゃな」
「膨大な予算の浪費です」
 国としてはそうしたものに他ならないというのだ。
「服や食事も過度になりますと」
「そうだっちゃな」
「庭園等もです」
 家に普通にある様なそれではない、宮殿の庭園若しくは権力者だけが楽しむ公園の様なもののことである。
「そうしたものに過度に贅沢をします」
「お金なんてだっちゃな」
「それこそ面白い位にです」
 幾らあろうともというのだ。
「消えていってしまいます」
「雲散霧消だっちゃな」
「はい」
 この言葉通りにというのだ。
「そうなりますので」
「気をつけることだっちゃな」
「過度の贅沢な」
「そうなるっちゃな」
「はい、そして」
「そして?」
「日本ではあまり贅沢の話はないです」
 権力者のそれはというのだ。
「過度の宴や服に凝る、そして建築の類のそれは」
「そういえばそうでござるな」
 智も謙二のその言葉を聞いて頷いた、
「日本ではそうした話がほぼないでござるな」
「本当に少ないですね」
「宮殿や別荘を建てたりなぞ」
「ないですね」
「建築は特にないでござる」
「あるにはあるのですが」
 日本にも権力者が建てさせた建築物はある、例えば豊臣秀吉は聚楽第や伏見城等を大坂城とは別に建てさせている。
「しかし過度ではなく民を使役しても」
「民に支払うことはでござるな」
「多かったですし」
 秀吉も民に気前がよかった、それで使役されても人気があったのだ。
「特に」
「これといったそうした贅沢は」
「なかったです」
 所謂権力者の病と言われる建築癖を持った権力者は非常に少なかったというのだ。その秀吉以外はだ。
「必要な建築以外は」
「ないでござるな」
「はい」
 まさにというのだ。
「日本では」
「そうしたこの島も」
「権力者が贅沢で楽しむための建築は」
「ないですね」
「そうでござるな」
「そうです、そう考えますと」
「余計にでござるな」
「建築等の贅沢は」
 謙二はまた愛実を見て話した。 
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