| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生と奇麗な薔薇園

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三幕その六

「いつもお空を飛んで蚊や蠅を捕まえて」
「そして食べてくれるからですね」
「有り難いですよ」
「そして蜘蛛もですね」
「そうです、実はです」
 ここでこんなこともお話した教頭先生でした。
「今日本では獣害が問題になっていますね」
「猪や鹿が田畑を荒らしてですね」
「はい、何かと」
「それは何故かというと」
「彼等に天敵がいなくて増え過ぎて」
「それで餌を求めてですね」
「田畑に出て来ています」
 日本で起こっている問題の一つです。
「昔は彼等にも天敵がいました」
「ニホンオオカミですね」
「先生が再発見してくれた」
「昔は日本全土にいましたね」
「はい、山に」
 日本の山のあちこちにです。
「そうして獣を狩ってその分獣害を抑えてくれていました」
「日本では狼は有り難い存在でしたね」
「田畑を荒らす獣を食べてくれるんですから」
 農耕がとても大きな重点を占めていた日本なら尚更です。
「それならです」
「そんな有り難い獣はいなかったですね」
「はい」
 その通りというお返事でした。
「まさに」
「そうでしたね」
「ですからニホンオオカミがいなくなり」
 本当に絶滅したと思われてです。
「そしてでした」
「獣害が増えたのですね」
「猟師の人達もいてくれますが」
「人手の問題もありますしね」
「この問題もありまして」
「やはり獣を食べてくれる存在が必要ですね」
「それも自然の中に」
 生態系にというのです。
「本当に今日本は獣害が問題です」
「何かとですね」
「そうです、田畑において」
「そしてそのことからですか」
「我が校では虫はそうして対処することにしています」
 蜻蛉や蜘蛛を養殖して外に放ってというのです、お話をする先生達の周りにも蜻蛉が数匹すいすいと飛んでいます。
「こうすれば自然にですから」
「虫が減りますね」
「お池にボウフラもいますが」
 蚊の幼虫です、これが成長して蚊になるのです。
「ヤゴ達が食べてくれますし」
「このこともいいことですね」
「はい」
 まさにというのです。
「お池にいるボウフラの段階でも食べてくれるので」
「そのこともいいことですね」
「あと実は」
「実は?」
「ミズグモも養殖していまして」
「あのクモもですか」
 ミズグモと聞いてです、先生は思わず声をあげました。
「かなり奇麗なお水でないといないですよね」
「ミズカマキリやタイコウチも。大学の農学部の協力を受けて」
「そうしてですか」
「要職してです」
「お池にですか」
「放ってもいます」
「水棲昆虫もとは」
 先生は驚きを隠せないお声のまま教頭先生に応えました。
「凄いですね」
「はい、こうした昆虫もいると、ですね」
「素晴らしいと思いまして」
 そうしてというのです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧