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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第三幕その五

「そうかな」
「あっ、結構多いよ」
「この辺りは蜘蛛もね」
「ジョロウグモもクサグモもね」
「あとジグモもいるし」
「そちらも多いのよ」
「じゃあ蜘蛛も多くなる様にしているのかな」
 この八本足の虫によく似た生きものもというのです、蜘蛛は昆虫ではないことは図鑑でも書かれています。
「これは」
「ああ、蜘蛛もね」
「悪い虫食べてくれるから」
「数いるとね」
「有り難いわよね」
 動物の皆も頷きます。
「道産子さん達を困らせる虫もいるけれど」
「その虫を食べてくれる虫もいる」
「食物連鎖の中でね」
「そうした虫もちゃんといるね」
「そうした虫が多くなる様にしているかな、これは」
 ここでまた言う先生でした。
「農業科の先生に聞いてみようかな」
「実際にそうなのか」
「そのことをだね」
「聞いてみるんだね」
「そうしようかな」
 こうしてです、先生は実際に近くで学校の中を見回って異常はないかチェックしていた農業科の教頭先生に尋ねました。すると教頭先生もすぐに答えました。
「はい、実は」
「そうしてるんですか」
「そうしてです」
「害虫を駆除しているんですか」
「蜻蛉や蜘蛛を育てて」
「そしてですね」
「ヤゴや子蜘蛛を自然の中に放っています」
 お池等にです。
「そうしています」
「だからですね」
「はい、農業科には結構蜻蛉や蜘蛛が多いんです」
「彼等に害虫駆除をしてもらっていますか」
「どちらも役に立ってくれています」
 蜻蛉も蜘蛛もというのです。
「そうしてです」
「害虫が少ないですか」
「蚊や蠅が」
「それはいいことですね」
「あと雀は駆除していません」
 教頭先生は先生と一緒にいるチープサイドの家族も見ながらお話をしました。
「特に」
「お米を食べてもですね」
「それはあれです、音や案山子で対処しています」
「昔ながらのやり方ですね」
「確かに雀はお米を食べますが」
 折角の収穫をです。
「ですがそれでもです」
「それ以上にですよね」
「害虫を食べてくれますので」
 だからだというのです。
「彼等は特にです」
「駆除をしないで」
「食べてもらっています」
 その害虫達をというのです。
「そうしてもらっています」
「それはいいことですね」
 先生もお話を聞いてにこりとなりました。
「農学部のアイガモ農法と一緒ですね」
「そうですね、うちは主に虫ですが」
「農薬よりもですか」
「勿論農薬も使っていますが」
「それと一緒にですね」
「農薬は多少弱くして」
 そのうえでというのです。
「蜻蛉達を増やしてです」
「害虫を駆除していますか」
「蜻蛉はいいですよ」
 笑顔でお話する教頭先生でした。 
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