レーヴァティン
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第五十九話 名古屋の街その六
「呼び出してです」
「その力を使えるのだな」
「はい、召喚した神が力を使います」
「そうした意味で召喚士も神の力を使えるか」
「そうです、最早一軍を消し去るまでに」
「絶大な力か」
「神の中でもかなり高位の神を召喚するので」
だからだというのだ。
「それこそ万単位の軍勢すら瞬時に消し飛ばせます」
「そうか」
「高位の召喚士はそれぞれ特別な神も召喚出来ます」
そうした神もというのだ。
「日本や中国の神も」
「日本のか」
「仏も」
「では不動明王の様な仏も召喚出来るか」
「おそらく」
こう英雄に答えた。
「そうかと」
「不動明王はあらゆる魔を降すな」
「まさに最強の仏です」
明王の中でも最高位とされている、その名であるアカラナータはヒンズー教の主神の一柱であるシヴァの別名でもある。つまり不動明王は元々はシヴァの姿の一つであるのだ。
「あの明王は」
「そして若しかするとか」
「その不動尊か不動尊に匹敵する神仏までもをです」
「召喚出来るか」
「そうかも知れません、召喚の術は八段階あります」
「そこは他の術と同じだな」
英雄は良太にすぐに述べた。
「陰陽術や僧侶の術とは」
「それぞれの段階に四種ずつあり」
「合わせて三十二種だな」
「そうです、しかし優れた召喚士は」
「その八段階よりさらに上の神仏も召喚出来るか」
「別と言ってもいいかも知れませんが」
「それでか」
「はい、若しかすると」
その召喚士もというのだ。
「不動尊やそうした極めて高位の神仏も」
「召喚してその力を使えるか」
「そうかも知れないです」
「それなら有り難いな」
ここまで聞いてだ、英雄は確かな声で述べた。
「仲間になると」
「大きな力になりますね」
「全くだ、術を使えるに越したことはなくな」
「その力が強ければ強い程」
「有り難い」
英雄は極めて冷静な声で述べた。
「だからな、会ってみないとわからないにしろだ」
「お会いするのが楽しみですか」
「今からな、では探すか」
その召喚士をだ、こう話してだった。英雄はそのういろうも口にした。最初に彼が食べたのは先程話に出ていたコーヒーだった。
そのコーヒーのういろうを一口食べてだ、英雄はこう言った。
「美味いな」
「おお、美味いか」
「ああ、かなりな」
コーヒーの話をした当季にも答えた。
「いける」
「そうか、それならじゃ」
「御前も食うか」
「ああ、最初からあるなら食うつもりじゃった」
当季は英雄に笑って答えた。
「それで、ぜよ」
「今から食うな」
「コーヒーからな」
そちらのういろうからというのだ。
「そうする」
「そうか、それではな」
「それぞれ食ってみるぜよ」
七種類のういろう達をというのだ、こう話してだった。
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